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  • 連載 伊尾喜大祐のシン・イオキネマの夜明け 第13回
    「部屋の仕様が具体的に見えてきた!」

    取材・執筆 / 伊尾喜大祐
    2022年2月18日更新

ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!

防音仕様はどこまで必要か

この龍井プランを浅田氏は「すごい防音仕様ですよ!」と絶賛。さらに「実は私も図面完成させてきたんです」というからびっくり。そこには部屋の仕様はもちろんのこと、スピーカーやプロジェクターなど機器のレイアウト図、機器の位置に合わせたコンセントの位置指定図、ケーブル用配管をどう天井裏に通すか指定した図、天井裏の補強材の位置指定図までも含まれていました。

その上で浅田氏は「本当に防音を考えれば龍井プランまでやるべきとは思いつつも、ややオーバースペックにも感じました」。氏の経験上、防音について8〜9割の人は考えすぎであるといいます。音が漏れる/漏れないは、テレビやコンポのボリュームを上げる/上げないの問題でしかなく、近隣に迷惑をかける音量で聴かない限り、防音仕様にしなくてもよいという考え方もあるわけです。とはいえ伊尾喜の場合は、ある程度の大音量で聴くのが仕事であるので、これを踏まえた上で浅田氏はこう話します。

「壁面に関しては間違いなさすぎるスペックですが、むしろ外壁側を減らして部屋を広くしたいくらい(笑)。」二重壁をやめれば多少広くできますが、外への防音は失敗すると取り返しがつかないので、ここは龍井プランで検討を進めることに。

次回はこちら>>>第14回「議題は機器を収める壁面収納家具へ」

前回はこちら>>>第12回「建築仕様についてブレストを実施!」

遮音性も考慮した下がり天井を提案

また、天井についても防振吊り天井方式を採用しなくてもふたつの案で対応できそうといいます。ひとつめは全体を二重天井にする案。目に触れる部分は化粧天井にするので、穴を開けてスピーカーを設置したり、ケーブル用配管を通しても防音上は問題なし。その上の層をグラスウールで充填した防音天井にします。ただ部屋全体が低くなることで、特に書斎スペースの部分は圧迫感が強くなりそうです。

ふたつめは部屋の両サイドを下がり天井にする案。両サイドから下がり部分をつくり、間接照明やケーブル用配管を入れてしまいます。6本のアトモス用スピーカーもここに埋め込むイメージに。ふたつめの案の場合、下がり天井は両サイドだけなので、プロジェクターはシンプルに天吊り設置すれば天井高をキープ可能。この提案を聞いた龍井氏も「施工的には天井全体を二重にしない方がシンプルですし、そもそもお金もかかりませんね(笑)。プロジェクターの下も2050mmぐらい取れるので、頭をぶつける心配もなし。いいですね! 下がり天井案でいきましょう!」。

また、露出コンセントは一般住居に似つかわしくない上に「そもそもカッコ悪いです(浅田氏・笑)」。その代わり、例えばフルテックのような電源専門メーカーのコンセントパネルを導入するなどして、ホームシアタールームにふさわしい仕様に仕上げてみてはという提案も。

シアターのプロ・浅田氏の提案

  • 浅田氏は、部屋を真上から見た平面図、横から見た側面図などからなる指示図面の叩き台を持参。トップスピーカー設置と遮音性を両立するため、部屋の両サイドに下がり天井を設けてはどうかと提案してくれました。
  • 機器配置図のたたき台。機器はいずれも未定ですが、トップスピーカー6本は両サイドに埋め込み、サラウンドスピーカーは壁掛けなどを想定しています。フロントスピーカーは収納家具の前に置くイメージです。