13年ぶりにAVアンプ入れ換えに始まり、サブウーファーまで2台体制にバージョンアップした読者popoさん(仮名)。AVアンプをマランツ「CINEMA 30」へ新調したついでに、サブウーファーもイクリプス「TD520SW」に入れ替え、さらに2台設置へとバージョンアップ。しかし最大の懸念は、実はリアスピーカーRchのBOWERS & WILKINS「Nautilus 805」でした。
前回までのあらすじPart1「13年ぶりのAVアンプ入れ換え」
前回までのあらすじPart2「サブウーファーをバージョンアップ」
13年目のシアタールームでトラブル解消&強化する
2011年新築のpopo邸にあるホームシアターは、防音/音響工事専門会社アコースティックエンジニアリングの長濱さんの手によってルーム・イン・ルームとされた完全防音仕様。オーナーであるpopoさんの趣向に合わせた調音も施された贅沢なシアタールームです。
サウンド自体に不満はなかったものの、動作が怪しくなってきたAVアンプをマランツ「CINEMA 30」に入れ換え、サラウンド5chすべてをバイアンプ駆動する「5.1ch Full Bi-Amp」モードに設定。さらに、サブウーファーをイクリプス「TD520SW」の2台体制としました。ここで[Part2]の最初のカットとラストカットを再掲しますが、あれれ? サブウーファーが2個になったものの、センタースピーカーがなくなっています。
実は、サブウーファーを入れ換えた同日、不具合があったリア(Rch)スピーカーのBowers & Wilkins「Nautilus 805」の出張修理もおこなわれたのでした。担当してくれたのは、D&Mホールディングスから委託を受けている修理専門会社「ティーエス・プロ」。それも、以前の記事で筆者が取材した、Nautilusの匠で神奈川営業所サービスセンター長でもある矢後さん! 何たる奇遇!!
CINEMA 30のスピーカー設定をしているとき、サラウンドRを受け持っているNautilus 805の「ウーファー」が鳴っていなかったんです。過入力でトゥイーターが飛ぶということはあっても、ウーファーが飛ぶというのはあまり聞きません。popo邸のNautilus 805は天井に吊られており「よく頭をぶつけていたので、中で(ファストン端子が)外れちゃったのかな」などと首をひねっていました。
症状はあらかじめ伝えてあったので、矢後さんはすぐにウーファーユニットを外して診断開始。テスターで測ってみると、インピーダンス(抵抗値)がほとんどナシ。すると「過入力によりコイルが溶けちゃってますね・・・」と矢後さん。どんだけ爆音で鳴らしているの!? と驚愕。そして残念ながら、交換パーツの在庫もなし。診断終了と相成りました。
“修理”してお気に入りのスピーカーを使い続けたい
「音は気に入っているので、スピーカーは新型に買い替えたくない」というpopoさん。どこかで中古のNautilus 805を購入して入れ換えますか? などと話していると、ふと目に入ったのが、センタースピーカーの「Nautilus HTM2」。
「HTM2のドライバーは、もしかすると805と同じドライバーかもしれません。もしそうであれば、センターのウーファーユニットを外してリアに回し、センターは新品などを別途購入されてはどうでしょう?」と矢後さん。それはナイスアイデア! やおら矢後さんはサービスセンターに電話し、Nautilus 805のドライバーとHTM2のドライバーが同じものかパーツ番号を確認してくれました。
同一口径で外観上同一に思えるドライバーでも、微妙に違うことがあります。以前KEFスピーカーで調べたことがあるのですが、同じシリーズかつ同口径のドライバーでも、モデルによって異なる設計になっていたことがあったんです。
リアスピーカーが片方ないとサラウンド再生はまったくできませんが、センターはなくてもファントムで楽しめます。ほぼお一人様で楽しむpopoさんならなおさら、スクリーンのセンターにセリフが定位するというメリットもあります。
popoさんが納得する間に、Nautilus 805とHTM2のウーファーは同一ドライバーであることが判明。popoさんの了解を得て、HTM2のウーファーを外し、サラウンドRchの805に “移植” します。
こうして、ティーエス・プロ矢後さんの機転により、13年目のpopo邸シアタールーム機器入れ換え大騒動は、ひとまず完結。近くの居酒屋で祝杯を挙げたのでした。その後popoさんから連絡があり、「あれから何本も映画を観ていますが、調子いいですよ!これでまた気兼ねなくシアターが楽しめます!!」とのこと。無理なく末永く、これからもホームシアターを楽しんでくれることでしょう。