前回はそうした音の基本を解説しましたが、音は空気などを伝わっていくため、空気が通るところがあれば「音漏れ」は生じてしまいます。第2回はこうした「音漏れ」をテーマにして、講師のヤマハ株式会社の青山将士氏に話を伺いました。" /> 防音室をつくろう! 第2回「部屋の音漏れって何?」 – ホームシアターCHANNEL
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ガイド

  • 防音室をつくろう!
    第2回「部屋の音漏れって何?」
    迫力あるサウンドで楽しみたいから
    部屋から漏れる音について考えよう

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイル プラス編集部)
    2019年7月31日更新

迫力を追求すれば「音漏れ」は生まれる

映画やスポーツをホームシアターで迫力たっぷりに楽しもうとすると、音量は大きくなりがちです。前回はそうした音の基本を解説しましたが、音は空気などを伝わっていくため、空気が通るところがあれば「音漏れ」は生じてしまいます。第2回はこうした「音漏れ」をテーマにして、講師のヤマハ株式会社の青山将士氏に話を伺いました。

  • 音漏れとは逆に、騒音が家の中に入ってきても音楽リスニングに集中できません。音を外に出さないだけでなく、音を入れない環境づくりが快適なホームシアタールームの第一歩になります。

実は音は漏れても大丈夫!?

青山氏 音が“漏れる”という言葉を見るとマイナスなイメージがありますが、実は街のざわめきや小鳥の鳴き声、車の音など、外は様々な音で溢れています。そうした音は決して小さくなく、様々な音が重なりあって私たちの耳に届いています。この周辺環境の音は、国によって環境基準が設けられています。

  • 日本では環境基本法に基づく、人の健康の保護を目的とした騒音レベルの基準があります。たとえば、一般的な住居用に提供される地域の場合は、昼間は55dB以下、夜間は45dB以下の音が望ましいとされています。
    出展:環境省「騒音に係る環境基準について」 (https://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html)を簡略して掲載しています。

青山氏  私たちが防音室を設計する際もまず周辺環境の音を測定します。その後、室内で発する音の大きさを想定して、部屋の遮音性能を検討します。極端な話ですが、家の周辺が繁華街のように騒々しければ、多少音が漏れていても気づきにくいですし、逆に閑静な住宅街なら音漏れは気になってしまいます。もちろん遮音性能は高い方がよいですが、性能を上げればその分部屋が狭くなってしまうのと費用も高額になるため、個々人の環境に合わせた性能が確保できればよいのです。

  • 音は引き算して考えることができます。外の暗騒音を55dBとした場合、ピアノの音量は90dB程度です。そのため遮音性能は35dBあればよい、というのが防音室設計の基本的な考え方です。
    出展:株式会社ヤマハミュージックジャパン制作「音の手帳」。

音漏れしてもよい音、してはいけない音

青山氏  では音は漏れてしまって構わないのでしょうか。それは間違いです。たとえば満員電車で遭遇するイヤホンの音漏れは、どんなに小音量でも不快と感じる人が多いでしょう。逆に自分の子供が家で元気に遊ぶ音は、大きな音かもしれませんが不快とは感じないでしょう。このように音漏れは心理的な影響も大きいのです。

  • イヤホンの音漏れのように、知らない人から聞こえてくる音漏れは不快に感じます。そのためホームシアタールームの場合は、近所付き合いをしっかり行うことも重要。そしてマナーとして音が漏れないように工夫すれば、誰にも気兼ねすることなく映像世界に浸ることができます。

家の中でも、音が漏れやすい場所がある

青山氏 音は最終的には空気を伝わって耳に届きます。そのため空気が漏れる場所からは音も漏れます。最近の住宅は気密性の高い設計も多いので、壁や天井からは音は漏れにくくなっていますが、物理的に外とつながっている換気扇、見た目では遮蔽されていますが窓やコンセントなどは、壁と比較して音が漏れやすいところ。静かにしたい方向に、こうした「音の弱点」をつくらないように設計することも重要です。

  • 住宅における音漏れを考える場合、飛行機の音のように空気を伝わって耳に届く「空気伝搬音」と、壁や天井、床などが振動して音が伝わる「固体伝搬音」の2種類の対策が必要です。
    出展:株式会社ヤマハミュージックジャパン制作「音の手帳」。
  • 隣の家との間に窓がある場合は、内窓などを使った二重サッシにすることでも音漏れを低減することができます。今後、本連載でもこうした具体的な対策方法もご紹介していきます。

次回は部屋を「いい音」にする第1歩を解説

青山氏 防音室だけでなく、高気密・高断熱の住宅は音が漏れにくいですが、室内で音を出せばその分、反響音が大きくなります。引っ越ししたばかりの何も家具がない部屋で、声が響いたことを経験したことはありませんか? そうした部屋は音を悪くする「音響障害」が発生しています。次回は、こうした音響障害を解説していきます。

  • 【講師】
    青山将士氏
    ヤマハ株式会社 音響事業本部コミュニケーション事業統括部 マーケティング&セールス部国内営業グループ。一級建築士。