VGP phileweb

  • DTS 12.2chのフルシステムのデモルームも誕生
    期待高まる今後の動向に迫るDTS探訪記
    IMAX Enhancedをデモルームで体感!

    取材・執筆 / 松原ひな子(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2022年8月22日更新

世界屈指のデジタル音声フォーマット

「DTS」とは、世界屈指のサラウンド・デジタル音声フォーマットのブランドとして名高いブランドのひとつ。ブルーレイやDVDなどメディアパッケージに収録されている音声、ホームシアターやカーオーディオ、さらにはPCやゲームなどにも音声技術が採用されており、サラウンドを牽引してきました。

立体音響を楽しむことができるイマーシブサウンドの音声フォーマット「DTS:X」の開発、さらに他では見ることのできない高画質・高音質のコンテンツを楽しめるとして注目されている「IMAX Enhanced」でも採用されるとともに、すべてのIMAX Enhanced機器の認証も請け負うなど、幅広く活躍しています。

DTSが開発した高音質のロスレスオーディオフォーマットの「DTS-HDマスターオーディオ」は、洋画・邦画問わず、さらにドラマや音楽ライブ、アニメにおいても、ブルーレイパッケージ化する際に採用され、制作サイドからも人気を博しています。

今回、DTS Japanにある新デモルームに潜入することができました。DTS社が推奨する12.2chの環境による本領発揮のサウンドを、本稿でレポートしていきます。

  • DTS Japanのデモルーム。12.2(7.2.5)chのサウンドシステム、IMAX&DTS:X対応のAVアンプ、IMAX Enhanced認証テレビなど、プレミアムな機器が並びます。
  • <取材協力>
    dts Japan 株式会社
    シニアセールスディレクター
    塚田 信義 氏

12.2chフル活用による圧倒的な臨場感

  • 「IMAX Enhanced」は、IMAXシアターの臨場感を、ホームで楽しめる認証プログラムです。IMAXとDTSが定める映像と音声の性能基準を満たしたコンテンツとハードが認証されます。

まずは、『IMAX ENHANCED DEMO CONTENT VOLUME 1』を視聴しました。再生するとすぐに音が部屋全体を包み込みます。映画館で体感する音よりも、ひとつひとつの音像が自身へと向かってくるような感覚で、一音一音がダイレクトに伝わってきます。ロケットの発射シーンでは、実際に発射場に立っているかのような臨場感で、身体に響く迫力ある低音だけでなく、微細な環境音までしっかりと聴こえてくるため、よりいっそうリアリティが高まる印象です。DTS:Xのサウンドを、12.2chシステムによって余すことなく引き出された音が織りなす立体感と没入感に圧倒されました。

  • IMAX Enhancedの音声フォーマットにはDTS:Xが採用されており、IMAXシアターの醍醐味でもある低音域の表現を損ねないようリマスターされています。

IMAXシアターと遜色ない映像美を体感

ディズニープラスで配信中の作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のIMAX Enhanced版を視聴。認証テレビと非認証モデルの比較もできました。特に注目したいのがスケール感です。IMAX Enhanced ならではの1.90:1のアスペクト比は、シネマスコープとは異なり、上下に黒帯がない表示で映像を楽しめます。

画面いっぱいに広がる映像は、目に入ってくる情報量が一気に増える印象で、細部の作り込みも鮮明に感じられます。登場人物の頭部や上下にあった装飾が見切れなくなったことで視野が広がり、目の前にある感覚も強まります。アクションシーンは激しい上下の動きを追えるようになり、遠景のあるシーンは全体の立体感や奥行き感の表現が豊かになりました。

色表現にも違いがみられます。IMAX Enhanced版は、独自のDMR技術によってIMAXシアターでの視聴と変わらぬような忠実度の高いチューニングが施されています。色の鮮やかさ、濃度、明部の階調などに、その差が表れており、IMAXシアターで味わえる画と音の魅力を、そのままホームで楽しめることを実感できました。

  • IMAXのオリジナルアスペクト比である1.90:1の画角は、上下に黒帯のない状態で表示することができます。シネマスコープサイズと比べると最大で26%ほど表示範囲が拡がります。
  • IMAX Enhancedのコンテンツには、IMAX独自のDMR(デジタル・メディア・リマスター)が施されています。独自のポストプロダクションプロセスを設けて、映画制作者による完全な監修のもと、グレーディングが行われています。
  • ディズニープラスでは、マーベル作品を中心に現在15タイトルのIMAX Enhancedコンテンツが配信されています。BRAVIA COREでは、ソニー・ピクチャーズ作品も楽しめます。

Play-Fiで音楽のホームリスニングが変わる

  • 「DTS Play-Fi」は、同社が提案するワイヤレス・オーディオ技術です。Wi-Fiを介して機器同士を接続し、連携させることができます。

「DTS Play-Fi」は、30以上のブランドから400を超える製品で採用されているワイヤレス・オーディオ技術です。機器がPlay-Fiに対応していれば、Wi-Fiを介して対応機器同士をグルーピングすることができます。この連携によって、ホームシアターシステム/オーディオシステムの拡充、グルーピングされた機器で音楽を再生したり、またアプリで設定すれば機器の一括操作も可能になります。

同社が特に注目しているのは、マルチルーム再生ができる点です。Play-Fi対応の機器であれば、例えば普段はリビングでリアスピーカーとして活用しているスピーカーを、別の部屋に持っていけばそのスピーカー単体で音楽を再生できたり、リビングのテレビで視聴している映像の音を、キッチンなど別の部屋に置いたスピーカーでも聴けたり、音楽や動画の音声の視聴方法の幅が格段に拡がります。これらを感覚的、かつスムーズにできることが大きな魅力です。

また、Wi-Fi環境を活用し、独自の技術によって遅延が発生しないこと、ロスレスフォーマットの再生も行えるため高音質も追求できる点など、Play-Fiならではの特長も注目されています。国内では、「ONKYO」や「PIONEER」の AVアンプに採用されており、ワイヤレスでの音楽再生を楽しめますが、スピーカーやテレビの対応製品は現在発売されていません。ホームシアターシステムへの導入に向けて、今後への期待が高まります。

  • 同じくワイヤレスで機器を接続するBluetoothなどとは異なり、Play-Fiはロスレス圧縮のため、音質的にも有利になります。クリティカル リスニングモードでは最大192kHz/24bitでの再生も可能です。
  • 機器のブランドで制限されることはなく、Play-Fi対応機器であればグルーピングが可能です。ユーザー好みのシステムを構築できるのも魅力です。
  • Play-FiにはAndroid、iOS、Kindle Fire、Windows用にそれぞれ専用アプリがあります。目視できない位置にある機器でもアプリで指示を飛ばせるため、お気に入りの音楽を家族や仲間と簡単に共有できます。

今回の取材では、劇場での視聴体験に匹敵するほどの没入感を家庭でも楽しめるIMAX EnhancedとDTS:Xのサウンドの体験視聴、多様化するライフスタイルに合わせて映画や音楽を楽しめるDTS Play-Fiの技術内容についてお話を伺い、DTSの今を垣間見ることができました。

音による没入感を追求し続けてきたDTSだからこそ、提供できる体験や価値があることを改めて実感できたと同時に、これからの活躍にも期待が高まりました。DTSの今後の動向に注目です。

  • ほかにも、ホームエンターテインメントを統合する海外向けのサービス「TiVo」の新機能や、車室内監視システム「DTS AutoSense」のデモなど、ユーザーエクスペリエンスに特化した音の体験を追求するXPERI社のサービスのデモを体験できました。

DTS Japanデモルーム詳細

  • IMAX Enhanced認証テレビであるSony「BRAVIA XRJ-83A90J」が中心に据えられていました。
  • AVアンプはIMAX Enhancedに対応しているMarantz「AV8805」を導入しています。
  • 平面のスピーカー7チャンネルにはKEFのQシリーズ「Q950」、センタースピーカーにはKEFの同シリーズ「Q650c」が設置されていました。
  • 高さ方向の音も再現するべく、ハイトスピーカー5チャンネルにも、平面と同じくKEFのQシリーズ 「Q350」が採用されています。
  • 低域を担うサブウーファーは、KEF「Kube 12b」がLRに1基ずつ設置されていました。