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レビュー

  • PANASONIC「MZ2500」 【PR】シネフィルが惚れ込む大画面テレビ 4K有機ELビエラ「MZ2500」シリーズ

    VGP 取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2024年1月5日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

  • パナソニック「MZ2500」シリーズ。

VGP2024総合金賞を獲得! プロが認めたテレビ「MZ2500」

パナソニックのMZ2500シリーズは、VGP2024総合金賞を受賞しました。この有機ELテレビは、2023年に大きく進歩しました。その進歩の一つが、マイクロレンズアレイ有機ELパネルの登場です。このパネルは、有機EL発光層と前面ガラスの間に、1ピクセルあたり数千もの微小なレンズを敷き詰めており、明るさを大幅に向上させています。この進歩により、有機ELテレビは暗いという先入観を払拭しました。

  • パナソニックの4K有機ELテレビ「MZ2500」シリーズは、VGP2024では特別賞として「総合金賞」に、部門賞として65V型と55V型がそれぞれカテゴリーNo.1の「金賞」に選ばれています。

パナソニックは、他社製品がパネルのハイコントラストをストレートに表現したのに対し、明るさ訴求にとどまらず、黒の表現と暗部階調の豊かさを追求しました。さらに、ヘキサクロマドライブの進展により、明るさと暗さに埋没しない鮮明な色再現性を実現し、広大なダイナミックレンジと豊麗な色彩表現を併せ持つスケール雄大なテレビを作り上げました。

  • 1画素あたり数千個の微細なレンズを敷き詰めることで、パネルの発光性能を最大限引き出す構造を持つ「マイクロレンズ有機ELパネル」を搭載したことが最大のトピックです。このパネルは光を視聴者の方向へ導き、内部での光のロスを低減し、高効率でより明るい映像を実現するもので、これによってコントラストや視野角特性の向上に繋がっています。また、より高輝度で安定して有機EL素子を発光させるために、放熱をすばやく効率的におこなう必要があります。そこでパナソニックは独自の構造を採用することで、この課題をクリア、残像低減による高画質化も実現しています。

 MZ2500は、千差万別のルック(映像のたたずまい、表情)を持つ古今東西の映画において、そのポテンシャルを最も発揮します。映画を制する映像機器は、すべてを制するといえます。最近発売された4K Ultra HDブルーレイの新旧映画をTH-65MZ2500で視聴し、その表現力を再確認してみましょう。

高画質〜広大なダイナミックレンジと豊麗な色彩表現

 たとえば、最近に珍しく色調とコントラストを積極的に調整した映画「バビロン」(輸入盤)は、ドルビービジョンで制作されています。MZ2500の場合、カラーモードはドルビービジョンIQと同ダークのいずれかになりますが、前者を選ぶとピークが抑えられ、絶妙なコントラストが実現されます。たとえば、ブラッド・ピット演じるコンラッド邸のシーンは、ドラマの時間は朝ですが黄昏感があります。ここでディスプレイに求められるものは、明部階調の豊かさと光線をありのままに表現する高い信号対雑音比(S/N)です。MZ2500の的確な再現は、享楽の足元に没落と老いが忍び寄っている描写であることを教えてくれます。

 本機は暗部に厚みがあり、黒浮きや色付き、明部からの光漏れ、滲み、暗部ノイズが皆無です。黒は烏の濡れ羽色で美しいです。公権力が機能せず、力と富が支配する世界の象徴色でもあります。MZ2500はバックカバー一体型放熱プレートを備えており、輝度を高めるだけでなく、パネルの発光の安定性にも貢献しています。さらに、ブラックフィルターは外部からの反射を抑えています。

 ファッションドールが人間界に旅をして、本当の自分を発見するまでを描いた辛口ファンタジー『バービー』。映画の序盤の舞台はさまざまなバービーたちが暮らすバービーランドですが、アニメやCGを使わず、スタジオにドールハウスの実物大のセットを組んで、人形に扮した女優たちがその中で演技しています。この後、バービーが足を踏み入れる現実の世界と等価な対比を描くことが狙いです。

 バービーランドの基調色はピンクです。しかし、このピンクは一筋縄ではいかないものです。大道具と撮影監督は数十種類の印刷色見本をスタジオに持ち込みセットを彩色、色調を微妙に変えた無数のピンクが一つの世界を構成しています(ビーチの砂までピンク)。このこだわりを再現する際に、ピンクのニュアンスの違いを正確に再現できるかがポイントです。映画に溢れるさまざまなピンクのニュアンスを正確に画面に映し出し、バービーランドにとらわれていく錯覚を観客に味わっていただけることでしょう。

 MZ2500の黒表現の美しさと暗部階調の豊かさは、ティム・バートンの名作『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』で改めて印象づけられます。人形たちをうっすら彩る演色の美しさに、パネルのS/Nが発揮され、明暗の階調が豊富で繊細なライティングの工夫が再現されています。4K解像度の精細感が冴え、布帛や樹脂といった人形の素材感が描き出され、彼らがモーション撮影で動き回る様子は立体的で奥行きがあり、人形たちが演じている秘密の芝居小屋を覗き込んでいるようです。本機の場合、セットを照らし、情景を構成する光線が透明感豊かでピュアであり、ホラーテイストの奥にある童心と純粋なファンタジー性を浮かび上がらせています。MZ2500で観る本作は、黒が漆黒です。照明を落した試聴室の闇と画面が一体になり、ファンタジー世界に遊ぶ悦楽境地を味わえます。

 MZ2500と映画史を遡ってみましょう。『ローマの休日』はモノクロ旧作ですが、ドルビービジョンでリマスターされました。本作の屋外シーンはオールロケで撮影されています。マイクロレンズ有機ELパネルの搭載により、モノクロームの映像にイタリアの白昼の強い光と濃い影が生まれています。これがあってこそのエトランゼ映画。これまでテレビやプロジェクターでは表現しきれなかった映画の本当の顔がここにあります。

 MZ2500のコントラストは大胆でありながらも繊細です。小面積のコントラストの緻密さと黒の表現の細やかさは垂涎もので、オードリー・ヘプバーンの黒髪の艶と髪の毛の解像感、黒い瞳の中に好奇心を象徴する輝きが宿る描写は、伝説の女優の誕生に立ち会っている感動です。終盤はナイトシーンが続きますが、黒の表現が勢い余って少々重厚になり過ぎる場合もあります。しかし、豊富な画質パラメーターを調整していくと、フィルムの柔らかい質感の黒が画面に生まれます。

高音質〜映像と音声の定位が一致、セリフは小音量でも明瞭

 MZ2500は、65V型は16基、55V型は14基のスピーカーユニットを画面下部に一列に並べ、マルチチャンネル再生のフロントセクション(センター、L、R)の音声を担当しています。

 DSPは内蔵されていますが、出音は実音源で再現されており、愚直といってもいい正確なアプローチです。その威力は絶大で、映像と音声の定位がぴたり一致し、しかもスピーカー群が前向きで視聴者に正対しているので、セリフが画面に貼り付かず、明瞭で小音量でも聴き取りやすいです。

  • 65V型の場合、音声実用最大出力は160Wです。正面下部に全16個のユニットを内蔵した「ラインアレイスピーカー」を搭載するほか、上向き・横向きのスピーカー、重低音を再現するウーファーを配置することで、立体的なサウンドを実現する「360立体音響サウンドシステム+」を採用しています。波面制御技術を応用することで、セリフやボーカルの表現、音の定位を高めていることも、MZ2500シリーズならではの音響面の進化のひとつです。

 サラウンドの音場表現力にも富んでいます。『TAR』は計算され尽くしたサウンドデザインが出色の映画です。スキャンダルがSNSで炎上し追いつめられていく女性指揮者を描く映画ですが、主人公の心の内圧が高まっていくと現実の音とも幻聴ともつかぬ物音が聴こえるようになります。視聴者の背後までは無理ですが、MZ2500は、水平方向へ音を広げるワイドスピーカーと天地方向へ音場を拡張するイネーブルドスピーカーを搭載しており、主人公リディア・ター、イコール視聴者を不安な物音が包囲する状況を演出します。

デジタルシューティングからフィルム撮影、最新作から名画までオールマイティのテレビがここにあります。

MZ2500、有機ELテレビの現在の到達点で、映画再生のエキスパートの地位は当分譲らないでしょう。

SPEC

4K有機ELテレビ
PANASONIC
MZ2500シリーズ(65V型/55V型)
オープン価格

SPEC ●チューナー:BS 4K・110度CS 4K×2、地上デジタル×3、BS・110度CSデジタル×3 ●パネル方式:有機EL ●画素数:3,840×2,160 ●HDMI:4系統 ●音声実用最大出力:160W(65V型) ●外形寸法:1448W×903H×350Dmm(65V型)スタンド含む ●質量:約29.5kg(65V型)