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  • 「基礎から学ぶ、1歩先のホームシアター」第3回 シアターファンが知っておきたい!
    HDMI「eARC」の基礎
    最新イマーシブサウンドにフル対応したオーディオ伝送機能

    VGP 取材・執筆 / 鴻池賢三
    2021年6月2日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

HDMIの新たなオーディオ伝送機能

「もっと深くホームシアターを楽しみたい」、「映像と音響の技術を知りたい」、そんな声に鴻池賢三氏が応える連載「基礎から学ぶ、1歩先のホームシアター」。今回はHDMIに追加されたオーディオ伝送機能「eARC」について解説していきます。

eARCとは「Enhanced Audio Return Channel」の略称で、機器同士を繋ぎ、映像信号や音声信号などを1本で伝送する、HDMIに新たに導入されたオーディオ伝送機能です。

まずはeARCの前提となる「HDMI」や「ARC」について解説していきましょう。HDMIは、映像と音声をたった1本のケーブルでデジタル伝送できる規格として2002年に登場しました。以前は、映像と音声はそれぞれ専用のケーブルで接続する必要があり、またデジタル伝送とアナログ伝送が混在していたため難解なものでしたが、HDMIが誕生したことによって、映像と音声の接続が圧倒的に簡単になったのです。

その後、HDMIの伝送技術はさらに進化していき、バージョンアップを重ねていくことで、高画質・高音質信号への対応、利便性の向上を果たしていきました。2009年に登場したバージョンHDMI 1.4では「ARC(Audio Return Channel)」に対応。それまで「行ってくる」だけだった音声信号の流れに加え、「戻ってくる」ことを可能にしました。たとえば、一般的なホームシアターの場合、AVアンプからテレビまで映像信号を送るケーブルを繋ぎ、音声信号はテレビからAVアンプに送るために音声信号ケーブルを繋ぐ、つまりケーブルを2本使わないといけませんでした。しかし、ARCによって、テレビとAVアンプをHDMIケーブル1本つなぐだけで、映像信号はテレビに送るだけ、音声信号はテレビからAVアンプに戻すことができるようになったのです。

  • eARC(Enhanced Audio Return Channel)は、映像と音声の信号をケーブル1本で伝送することができるHDMIの新たなオーディオ伝送機能として誕生しました。”リターン”の文字通り、音声信号が「行ってくる」だけでなく「戻ってくる」ことにも対応しました。
  • 近年はサウンドバーにもeARC対応モデルが増えてきています。テレビとサウンドバーの両方がeARCに対応していれば、ドルビーアトモス採用のタイトルのサウンドを安心して楽しめるようになります。

最新イマーシブサウンドにも対応

HDMI 1.4で利用が可能になったARCは、伝送できるオーディオ信号が従来のS/PDIF(光/同軸デジタル)に準ずるもので、伝送帯域幅は最大1Mbps。最大192kHz/24bitの非圧縮フォーマットであるリニアPCM2.0ch音声、非可逆圧縮フォーマットであるDolby Digital、DTS、AACといった圧縮5.1chサラウンド音声に限られます。

しかし、eARCは最大192kHz/24bitのリニアPCM5.1chおよび7.1ch音声のほか、可逆圧縮フォーマットであるドルビーTrueHDとDTS-HDマスターオーディオ、ドルビーアトモスやDTS:Xといったオブジェクト方式でイマーシブサウンド(3Dサラウンド)と呼ばれる音声フォーマットも最大32chまで伝送が可能になりました。これは、HDMIの最新規格であるHDMI 2.1によって、同帯域幅が最大37Mbpsに拡張(Enhanced)されたことが要因です。

  • eARCなら、ドルビーアトモスやDTS:Xなどの立体音響フォーマットを伝送できます。

機器側のHDMI接続部分も確認

テレビには複数のHDMI端子が搭載されていますが、通常はどれかひとつが「ARC/eARC」に対応しています。「ARC/eARC」対応のオーディオ機器をテレビに接続する際は、「ARC/eARC」の記載がある端子を選びましょう。テレビ側には標準的に、「ARC/eARC」のオン・オフ設定を切り替える機能が入っています。正しく接続しても「ARC/eARC」経由でオーディオ機器から音声が聞こえない場合は、設定も確認しましょう。

  • eARCの機能を使う場合、HDMIケーブルは必ず「ARC/eARC対応」などといった印字がされている端子に接続しましょう。

eARC対応のHDMIケーブルを選ぼう

さらにeARCを利用するには、もうひとつ注意点があります。HDMIケーブルのバージョン、ケーブルタイプにも注意が必要です。「HDMI 2.1」のバージョン表記や「Ultra High Speed HDMI Cable」のケーブル対応が表示されているHDMIケーブル、またイーサネット対応ケーブルなどといった表記が対応の目印になります。ホームシアターファンがHDMIケーブルを選ぶときは、製品の仕様をチェックして、eARCに対応しているかどうか確認しておくと安心です。

  • eARCは「HDMI2.1」「Ultra High Speed」「イーサーネット対応」「eARC対応」などの印字を確認。

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