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  • 「基礎から学ぶ、一歩先のホームシアター」第2回 シアターファンが知っておきたい!
    「Wi-Fi6」の基礎
    速度と安定性が進化し動画ストリーミングもさらに快適!

    VGP 取材・執筆 / VGP審査副委員長 鴻池賢三
    2021年2月3日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

動画視聴を快適にする新しい無線規格

「もっと深くホームシアターを楽しみたい」「映像と音響の技術を知りたい」、そんな声に応える連載「基礎から学ぶ、1歩先のホームシアター」。今回は新しい無線規格「Wi-Fi6」について解説していきます。

Netflix、Amazonプライム・ビデオといった動画配信サービスが、映画やドラマを楽しむ方法としてすっかり定着していますが、実はそのなかには4K/HDRの高画質なコンテンツも数多く含まれています。そこで注目してほしいのが無線規格です。いまや動画視聴にはネットワーク環境の良し悪しが大きく関わり、Wi-Fiによるネットワーク接続のスピードと安定性が求められるようになってきています。

近年では光回線が主力となり、一般的なご家庭でも有線接続では数百Mbps〜1Gbps程度の通信速度は珍しくなくなりました。しかし、Wi-Fiとなるとそうはいきません。家族数人でWi-Fiに接続して動画を視聴すると、負荷が大きくなり、画質の低下や映像の途切れが発生することにつながります。そんな動画視聴時の悩みを解決してくれる可能性を秘めているのが「Wi-Fi6」なのです。

  • 高画質フォーマットである4K/HDRを採用した動画配信サービスとしては、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、YouTube、iTunesだけでなく、U-NEXTやdTV、Rakuten TVといった日本国内のサービスも含まれます。

高速かつ同時接続性やセキュリティも向上

そもそも「Wi-Fi」とは、モデム/ルーターと端末(PC、タブレット、スマホ、テレビなど)間の通信「LAN」(Local Area Network)を無線化するもので、「無線LAN」の規格のひとつです。メーカーに関わらない通信の相互接続性を実現するため、使用する電波の技術仕様が電子・情報工学の学術研究団体「IEEE」で規定され、旧来は「IEEE.802.11」という規格名で呼ばれていました。

しかし世代を重ねて規格名も増えてきたため、Wi-Fiを普及させることを目的とした業界団体「Wi-Fi Alliance」により、分かりやすさを考慮して「Wi-Fi + 世代番号」と呼称するようになりました。Wi-Fi6は6世代目の規格で、規格名は「IEEE 802.11ax」です。

執筆時点で、Wi-Fi6では理論値で最大9.6Gbps(9600Mbps)、実効1Gbpsに迫る高速通信に加え、同時接続時の速度維持(OFDMA)、接続端末の省エネ(TWT)化といった機能が追加されたことが特長です。

  • Wi-Fi規格は世代を重ねるごとに通信速度を高めており、Wi-Fi4では600Mbpsであったのが、Wi-Fi6では最大通信速度9.6Gbpsを実現しました。また、「Wi-Fi + 世代番号」という名称は第4世代の「Wi-Fi4」から記載されるようになりました。
  • Wi-Fi Allianceによる認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 6™」を受け、標準規格を満たした機器には、左の認証マークがついています。Wi-Fi6はセキュリティや相互接続性も高く、複数デバイスと同時接続を可能にした「MU-MIMO」をサポートしています。

安定した接続性で動画配信も高画質を維持

動画配信サービスの高画質化に伴い、必要な接続スピードも速くなっています。Netflixの場合、4Kコンテンツを安定した状態で視聴するには通信速度25Mbps以上が推奨、HD画質の場合は5Mbps以上が推奨されており、4Kの視聴にはより高速な接続が必要であることがわかります。また、高速なだけでなく安定した接続を維持することも重要です。25Mbpsという速度は、理論値で最高600MbpsのWi-Fi4でも充分余裕があるように見えますが、複数端末の同時接続による負荷、混信、などの状況によって接続速度が低下し、画質の劣下を招きます。

その点Wi-Fi6では、OFDMA技術の採用で同時通信の安定を実現。家族みんながスマホで動画を見ていたり、PCやIoT家電がWi-Fi通信を行っていても、通信の順番待ちがなく、安定した高速接続を維持することができます。ホームシアターで肝心な「高画質」を実現し、さらに維持させるなら、Wi-Fi6が効果的です。

  • Wi-Fi6では、複数端末との通信を効率よく行う「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」技術を採用しています。1通信ごとの帯域を分割して複数の端末に割り当てることができるので、通信待ちによる混雑が解消されます。
  • 新機能である「Target Wake Time(TWT)」は、端末ごとに通信するタイミングを調整することができます。これにより、通信待ち状態の低減や、通信を行なっていない端末をスリープモードにすることができ、端末の消費電力を抑えることができます。

対応状況や回線の契約もチェック

Wi-Fi6の新機能を利用するためにはまず、無線ルーターと端末の両方がWi-Fi6に対応している必要があります。iPhoneの場合、iPhone SE(第2世代)やiPhone 11以降がWi-Fi6に対応。テレビやIoT家電はまだWi-Fi6に対応した製品が少ないですが、今後は対応モデルが増えることが予想されます。

また、Wi-Fi6の最大の特長である超高速伝送には、ユーザーが契約しているインターネット回線も関わってきます。Wi-Fi6対応ルーターの最大通信速度に合わせ、回線も「ギガ越え」のものを選ぶとよいでしょう。

ほかにも、モデムとWi-Fiルーター間の有線LAN接続にも注目。LANケーブルは「CAT」という規格で分類されており、ケーブルに規格名やカテゴリ名が印字されている場合があります。CAT6A以上であれば最大通信速度10Gbpsに対応し、高速伝送が可能です。

  • ルーターをWi-Fi6対応モデルに変更する際は、モデムとつなぐためのLANケーブルの規格もチェック。「CAT」と呼ばれる規格はそれぞれ通信速度や伝送帯域が異なります。CAT6A以上が最大10Gbpsに対応します。
  • Wi-Fi6に対応した無線ルーターが各社から続々と登場しています。写真のBUFFALO「WXR-6000AX12S」は、「Wi-Fi CERTIFIED 6™」認定を受けた前身モデルに、さらにセキュリティ機能を搭載したハイエンドモデル。また、IO DATA「WN-DAX3600XR」やNEC「Aterm WX6000HP」などアンテナ内蔵型で設置性の高いモデルもあります。さらにこの3機種は10Gbps対応のWANポートを搭載。10Gbps回線サービスの性能を損なうことなく利用することが可能です。
  • iPhone以外にもWi-Fi6対応のスマホが増えてきています。Sony「Xperia 5 Ⅱ」(写真左)やGalaxy「Galaxy S20 Ultra」(写真右)など、ハイグレードモデルが対応しています。
  • ノートPCでもWi-Fi6への対応が進んでおり、中でもDYNABOOKは、写真の「F series」(写真左)や「V series」(写真右)を含む最新ラインアップ中19モデルが対応(2021年1月現在)。また、Appleでは独自開発プロセッサー「Apple Silicon」を搭載した「Macbook Pro」「Macbook Air」が対応。法人向けPCを販売する富士通の「LIFEBOOK NH series」などもWi-Fi6に対応しました。

4Kテレビの対応も期待!

スマホやPCは新モデルからWi-Fi6への対応が進んでいますが、テレビやストリーミング端末はこれからといった状況です。今後、Wi-Fi対応のAV機器を購入する際、新モデルが「Wi-Fi6」対応といったケースは多く遭遇しそうです。購入の際は「Wi-Fi6」への対応状況も確認することをおすすめします。ちなみに、話題のゲーム機「PS5」は、Wi-Fi6に対応。今後のオーディオビジュアルのシーンで、ますます重要度を増すネットワーク環境。是非、Wi-Fi6にご注目を!

  • 最新のゲーム機であるソニー「PS5」もWi-Fi6に対応。通信速度の高速化に加え、複数端末との通信が効率的になったことで、無線接続でのゲームプレイをより安定して行うことができます。また、LANケーブルを接続する必要がなくなるため、ゲーム機の設置場所の自由度もアップします。

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