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レビュー

  • ローラブルテレビが国内に初上陸!
    ホームシアターでの可能性をプロが語る
    LGエレクトロニクス「OLED RX」

    取材・執筆 / VGP審査員 折原一也/長濱行太朗(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2021年1月27日更新

    • VGP審査員
      折原一也

提案性に溢れる世界初のローラブルテレビ

ホームエンターテイメントのジャンルにおいて、革新的なアイテムを輩出し続けているLGエレクトロニクス。近年は有機ELの特性を活かすことで壁に隙間なく掛けられる4K有機ELテレビや世界初の8K有機ELテレビなど、デザイン性からクオリティまでこだわった有機ELテレビを多数開発しています。有機ELテレビの確固たる開発力とライフスタイルを変える提案性を併せ持ったLGエレクトロニクスから新たに誕生したのが、世界初のローラブル有機ELテレビ「OLED RX」です。

今回、初めて国内に上陸。VGPアワードで審査員を務める折原一也氏、ホームシアターショップ「ホームシアターのAURAS」からインストーラーとして山岡裕和氏と阿南幸治氏が、OLED RXがホームシアターにどのような新風を吹かせてくれるのかを、オーディオビジュアルとホームシアターの“プロの視点”から語ります。
※取材は2020年12月に実施しました。

  • LGエレクトロニクスのプレミアムシリーズの証である「LG SIGNATURE」の名を冠するOLED RXは、同社の本拠地である韓国で発売が開始されており、価格1億ウォン(日本円で約900万円)。国内での発売は未定です。
  • 東京都中央区京橋にあるLGエレクトロニクス・ジャパン株式会社で、間近でOLED RXを視聴することができました。世界屈指の規模を誇る家電製品の見本市のCESやIFAなどで参考出展されていたモデルですが、手に触れられるほどの距離でデモを体験できたのは今回が初です。
    ※写真撮影時のみマスクを外しています。
  • とても薄い有機ELを採用することで壁に貼り付けるような設置を可能にした4K有機ELテレビ「OLED WXシリーズ」など、有機ELの特長を熟知した高い開発力が魅力です。また、4K対応を果たした超短焦点プロジェクターや家のどこにでも持ち運べるコンパクトモデルなど、ホームシアターのスタイルの幅も広げてくれるプロジェクターも開発しています。

“巻き取り式”の機構はテレビの概念を覆す

OLED RXの特長は、なんといっても“巻き取り式”の手法を用いた世界初の機構を4K有機ELテレビで採用したことです。4K有機ELテレビは、55/65インチが主流のサイズであり、さらに77インチなど大型モデルが多いため、テレビの存在感がとても大きく、電源を付けていない時は黒い塊が鎮座することになります。テレビを見る時だけ画面があり、それ以外の時は画面を閉まっておく、そんなテレビの概念を覆してくれる提案を現実のものにしたのがローラブル4K有機ELテレビなのです。

  • テレビ画面をスタンドのボックスに巻き取って仕舞うことができるため、例えばテレビを部屋の中央に置いてもテレビの存在感を無くすことができ、またテレビによって隠れてしまうような景観も堪能することができます。

今回の取材では、ローラブル構造によるデモンストレーションを実際に見ることができました。リモコンで電源をオンすると自動的にテレビ画面が巻き上がり、動作音はひじょうに小さく、滑らかに巻き上がっていきます。また、テレビの土台になっているボックスに収納されていく際も、スムーズに巻き下がっていきます。画面が全て出ている状態が「Full View」、全部仕舞われている状態が「Zero View」、そしてもうひとつ約20cm程度の画面を出した状態でインフォメーションモードのような状態になる「Line View」、3つのスタイルを採用していることも特徴的です。

  • Line Viewでは各種モードを搭載しており、スマホなどのデバイス内にある写真などスライドショーでOLED RXに映し出せるモードをはじめ、モバイル端末と連動した音楽再生、そして焚き火や降雪、波などリラックスムービーを流してくれるモードが採用されており、バリエーションが豊かです。

ラインアップは65インチのみで、高画質エンジンは「α9 Gen3 AI Processor 4K」を採用、HDRフォーマットはHDR10/HLG/ドルビービジョン IQ、120Hzの倍速駆動に対応するなど、国内で発売されている2020年度の4K有機ELテレビと同様の高画質技術が投入されています。また、独自のAI機能「LG ThinQ」の搭載によって、Amazon AlexaやGoogleアシスタントの音声認識機能、AirPlay2搭載でAppleデバイスと連携も可能で、最新世代機としての機能性も余すことなく備えています。

  • LGエレクトロニクスの2020年度モデルに搭載された高画質エンジン「α9 Gen3 AI Processor 4K」を搭載。さらなる進化を果たしたAIプロセッサーを採用したことで、映画やスポーツなどの映像ジャンル、さらに人肌なども感知することで、従来モデルを超える再現性の高さを実現しています。

オーディオビジュアルの“プロの視点” 折原一也氏

新次元の映像体験を届けてくれる傑作

約20年前、NHK技研公開などで薄型テレビの未来モデルとして試作機が展示されていた”薄くて軽くて丸められる”テレビ。そんなモデルを開発するだけでなく、コンシューマーモデルとして遂に韓国発売に至ったOLED RX。筆者自身、2019年のCES会場で試作機のデモに参加、そして今回の日本支社でほぼ量産機のモデルを実際に見ることができ、そのさらなる完成度に驚きました。手で触れられるほどの距離まで近付いて視聴できたのも初めて。スピーカー一体型ラックからせり上がった65インチの有機ELパネルには、巻き取ることによる折り目なども一切なく、そして4K有機ELテレビならではの漆黒の暗部表現や眩いピーク輝度表現、精細感から色再現性まで、妥協のない高画質を実現できています。提案性だけでなくクオリティも兼備した、新次元の映像体験を届けるコンセプトモデルであることに間違いありません。国内発売も開始された際には、ぜひその眼で実物をみてほしい傑作です。

  • VGP審査員
    折原一也氏

ホームシアターの“プロの視点” 山岡裕和氏/阿南幸治氏

置き方に縛られない新スタイルの鍵に

今までもLGエレクトロニクスの4K有機ELテレビなど、お客様のお宅にインストールしたこともあり、特に壁に貼り付けられるスタイルのOLED WXシリーズを気に入る方が多く、我々のお客様はそれだけ部屋の意匠的な部分にこだわります。そのためローラブルテレビのOLED RXは、ターゲット層にぴったりと合うモデルであり、そして期待以上の完成度に驚きました。観たい時だけ画面を出し、普段は閉まっておけるローラブルテレビは、従来までテレビの置き方に縛られてしまう部分がありましたが、部屋のデザインやレイアウトなど新しいスタイルを確立してくれる存在になるでしょう。例えば、タワーマンションにお住まい方などは、景観を損なわないテレビの設置が可能になります。現在、65インチだけですが、70型~80型といった大型サイズのラインアップが増えていくことにも期待したいです。なにより、早く国内でも発売されるようになってほしいです。

  • ホームシアターのAURAS
    山岡裕和氏

ホームシアターのスタイルが一気に増える

OLED RXは、設置自由度の高いテレビとして、ひとつの完成形と言えます。巻き取り式の機構は、テレビの枠を広げるだけでなく、ホームシアターのスタイルも一気に増やしてくれる可能性を秘めています。大型サイズの登場や、上からテレビ画面を下せるようになれば、まるでスクリーンだけを導入してコンテンツを楽しんでいるような感覚を味わうことができるでしょう。webOSの搭載によってテレビ単体で動画配信サービスを楽しめるため、レコーダー/プレーヤーといった機器も不要なシンプルなスタイルでホームシアターを導入することも期待できます。業務用ディスプレイやデジタルサイネージにも活用できそうで、画面の出るサイズも自由に設定できればコンテンツの幅も広がりますし、弊社で取り組んでいるINTELUXでも採用している曲げたり鏡の中に仕込めたりなど、フレキシブルな機構にも対応できるため、業務用部分でも導入しやすく活用方法も広がります。

  • ホームシアターのAURAS
    阿南幸治氏
  • 「ホームシアターのAURAS東京」
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