CONTENTS
・端子は入出力で系統が大別されている
・システムのグレードアップで活用する端子
・録音機材と繋ぐにはREC OUTへ
・接続ケーブルの種類と使い方
・接続の豆知識〜同時駆動とバイワイヤー
端子は入出力で系統が大別されている
A級、B級やデジタルアンプなど、難しいテーマが続きましたが、今回はぐっと実用的なアンプの端子とそのつなぎ方です。大別すると入力系と出力系の端子になります。入力系とはアンプにつないで音を楽しむための機器、つまりプログラムソースが色々入ってくるところです。CDプレーヤーやFM/AMチューナー、AUX(Auxiliary:オグジアリー)という外部の補助入力端子もありますし、近ごろまた見直されてきたアナログのレコードプレーヤーをつなぐためのフォノ入力端子も見えますね。
一方、出力系といえば、見てすぐわかるスピーカー端子です。こうした端子の話は個別にするよりも、もう一度フロントパネルの操作ボタンやまたアンプのブロック図と見比べ、信号の流れをもう一度整理しながら理解するのが早道です。急がばまわれというではありませんか。
- 一般的なプリメインアンプの背面図
- 近年はオーディオアンプをテレビにつないでリビングで使用できるように、HDMI端子を実装する製品も増えつつあります。画像はMARANTZ「STEREO 70s」の背面
アンプには本来の増幅機能のほかに、入力ソースのセレクト機能や、スピーカー2系統を備えて好みで切り替えたり、トーンコントロールなどの音質調整機能がありました。信号の流れに沿ってみれば、微細な情報を扱う川の上流がプリアンプ部で、水量の豊富な下流がパワーアンプ(メインアンプ)部でしたね。大パワーを扱うパワーアンプの出口の端子が太いスピーカー端子というわけです。
- アンプの機能は「セレクター系」「ボリューム&バランス系」「トーンコントロール系」「電源系」という、4つのパートに分かれています。信号の流れに沿ってつまみが配置されています。
システムのグレードアップで活用する端子
入力系も出力系も、それぞれ役目を持つ端子が配置されているのですが、おや? ちょっと見慣れない端子を見つけました。プリアウト/メインインという端子です。これはブロック図でいうと、プリアンプとパワーアンプの繋ぎ目にあたるところ。通常は内部で接続されているのですが、一部のプリメインアンプにはそれを切り離すことのできる機能があるのです。それがプリアウト/メインイン端子。
普通はショートピンでつながっていて何もすることはないのですが「そろそろ別のプリやパワーアンプと組んでみたいなあ~」と、グレードアップしたくなったときはどうでしょう。この機能があればそれができるのです。プリアウトから外部のパワーアンプにつないだり、その反対に外部のプリアンプをメインインに接続することで、プリメインアンプのプリ、もしくはパワー部のみを活用できるわけです。
以前にはよくあったこの機能も最近は少なくなっていますが「いきなりプリとパワーを買うと予算がねえ…」という人にはこの方法をおすすめします。セパレート化の第一歩として、トライしてみてはどうでしょう。
録音機材と繋ぐにはREC OUTへ
アンプにつなぐもので、ちょっと系統が違うのがテープデッキなどの録音機です。MDやCD-Rレコーダーなどもそうですが、これらの録音機には「録って聴く」。つまり録音と再生というふたつの機能があるのです。CDプレーヤーやチューナーなどのソースは再生系ともよばれ、その音声出力をアンプの入力端子につなげばよかったのですが、録音機の場合は、録音/再生というふたつの信号を扱う端子が必要となります。簡単にいえば入ると出る、インとアウトで信号の方向がまったく違うのです。
原則は「デッキ側のアウトからアンプ側のインへ、アンプ側のアウトからデッキ側のインへ」です。これを間違うとせっかく録音機とつないでも、FM放送が録音できなかった、音を再生できない! なんていう失敗をしてしまいますね。またLとRを間違うとステレオ信号の左右が逆になることは、他のソースの場合も同じです。
- 録音機材をアンプに繋げるときは、アンプのRECセレクター側にある端子に接続します。また、デッキが2台あると、相互のダビングなどがスイッチ操作ひとつで可能になります。
具体的に考えていきましょう。アンプの端子を見ると「REC/PLAY」などとなっていますね。REC(またはテープレック)というのは、録音信号をテープデッキのライン入力端子に送り込むための出力端子で、一方PLAYの方は、デッキでプレイしたその再生出力をアンプにインプットするための端子です。テーププレイ、テープモニターの表示端子もこれに同じ。似たような名前でゴチャゴチャしそうですね。
アンプの入力系で、特に録音/再生にかかわる部分を抜き出すと、ここで大切なのがRECセレクター。入力端子からはCDやチューナーなどいろんなソースの音が入ってくのですが、それを選んでRECアウト端子(録音出力端子)から出力してあげるためのスイッチが「レコセレ」などと呼ばれるRECセレクターです。
通常の入力セレクターが再生ソースを選ぶだけなのに対して、RECセレクターの方は選んだ音をデッキに送るところが違います。このRECセレクターをうまく使うと、Aというソースの音を録音しながら、Bという別のソースを再生することができるので便利です。
接続ケーブルの種類と使い方
ここで接続ケーブルの話です。オーディオアンプはアナログ端子が中心なので、ケーブルの種類はシンプルなもの。入力系ではRCAのラインケーブルとバランスケーブル、それにアナログ用のフォノケーブルといったところでしょう。CDプレーヤーやチューナーの出力はラインレベルといって、1V程度の電圧信号です。
前述したプリアウト/メインインに使う外部機器用のケーブルももちろんライン用で、接続端子はアンバランスのRCAピン端子。もっともポピュラーなピン端子ですが、つなぐ上での注意は奥までしっかりと挿すことです。中途半端だとブ~ンというハムノイズがでたり、プラグが外れて音が出なくなったりします。また、抜き差しはプラグのところを持って行いましょう。
もうひとつのバランスというのは、プラグにXLRのキャノンプラグを用いるタイプ。しっかりとした3Pのプラグで、RCAよりも信頼性が高いことに加え、少々引き延ばしてもノイズに強いのが特長です。プリメインでXLR対応というとかなり高級な製品で、これならXLR出力をもつ高級CDプレーヤーとバランス接続することができます。
スピーカーケーブルは以前スピーカー編でも解説しました。切り売りタイプとバナナプラグやYラグで端末処理をしたタイプがあり、色々な長さのものを選ぶことができます。バナナやYラグはパーツ売りもされているので、安くあげるには重宝します。腕に自信のある方はチャレンジしてみましょう。
- バランス接続のメリットはノイズを受けにくいこと。機器同士の距離が離れている場合は、ノイズに強いバランスケーブルがおすすめです。また、端子の緩みや、埃や汚れが付着したままにならないよう、定期的なクリーニングを心がけましょう。
接続の豆知識〜同時駆動とバイワイヤー
ところで背面のスピーカー端子にA、Bというのがあれば、スピーカーを2組つなげますよということ。Aの方にメインのフロア型をつなぎ、Bにはお洒落なブックシェルフを、といった具合です。これはスピーカーのA/B切り替えスイッチで好きな方を選べたり、「A+B」で同時に2本を鳴らすこともできるんですよ。
最後にバイワイヤリング接続の話です。「スピーカーはバイワイヤー対応だけど、アンプが普通のタイプです。どうつなげばよいの?」という質問をよく受けるのですが、これはそのまま枝分かれするようにつなぐのが正解です。その際、片方をバナナプラグなどの端末にしておくと繋ぎやすいのでおすすめです。
- シングルワイヤリングとバイワイヤーのスピーカーの繋ぎ方の一例。
第17回はアンプ編の最終回。スペックの読み方を学びましょう。