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  • 連載 伊尾喜大祐のシン・イオキネマの夜明け
    第16回「最適な防音性能を体感する」

    取材・執筆 / 伊尾喜大祐
    2022年3月14日更新

ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!

3つのショールームで防音&吸音性能を体感!

続いて井上氏は我々を体感ルームへ。
ここには防音性能の異なる「一般居室」「『スタンダード★★防音』ルーム」「『プレミアム★★★防音』ルーム」の3つの部屋が設置されており、各部屋内部での音の響きと、外部への音漏れの違いを比較・体感可能になっています。

まずは「一般居室」へ。この部屋の遮音性能は20㏈で、部屋の内部の音の響きもかなり強めという印象でした。ドアも防音仕様ではないため、約90㏈の音楽を再生すると外にも丸聞こえになってしまっていました。

続いて「『スタンダード★★防音』ルーム」へ。ドアは防音仕様の「アドバンス(A)防音タイプ」と通常のものを二重に設置。窓は二重サッシ。両方を閉めた際の遮音性能は約40㏈で、一般居室に比べて音漏れが4分の1になったように感じるとのこと。約90㏈の音楽を再生するとドアのすぐ前でも会話できる程度の音漏れですが、夜間の爆音鑑賞を考えると、先ほどの条例をやや上回る音量にはなりそうです。内部の響きは一般居室よりぐっと抑えられた印象です。しかしピュアオーディオにはよくても、ホームシアター用途だとまだ響きが強いという声もあるようです。

そして「『プレミアム★★★防音』ルーム」。ドアは「スペシャル(S)防音タイプ」と「アドバンス(A)防音タイプ」の2種類を二重に設置。両方を閉めると遮音性能は約50㏈で、一般居室の8分の1の音漏れになったように感じるとのこと。窓も三重サッシ。外への音漏れも皆無ではないが「あ、鳴ってる」程度の感覚でびっくり。
内部の残響も極めて短く、ピュアオーディオにはやや不向きかもしれないが、ひとつひとつの音像がシャープに聴き取れるため、複数のオブジェクトが音場を飛び回る、ドルビーアトモス音響の映画には最適に思えました。ということで、デモンストレーション用ブルーレイから、アトモス音響トレーラー『Amaze』と『マッドマックス/怒りのデス・ロード』の冒頭部分を再生していただきました。その印象はまさに前述の通りで「我が意を得たり!」でした。

次回はこちら>>> 第17回「目指すべき遮音性能の数値を確認!」

前回はこちら>>>第15回「ホームシアターに最適な防音とは?」

スタンダード★★防音

ベーシックなグレードに当たるのが「スタンダード★★防音」の防音室。日中にピアノを弾く、リビングで映画を楽しむ、自宅でカラオケを楽しむなど、ちょっと大きな音を出したい方向けのグレードとなります。天井・壁・床・開口部などすべてに防音建材を用い、40dBの遮音性能(ほかの部屋ではピアノの小さな音くらいに)を実現しています。

  • テレビシアターやピアノが設置された「スタンダード★★防音」の防音室。後付けの音響壁材である「オトピタ」などにより、音の響きをコントロールしています。
  • 2「アドバンス(A)防音タイプ」の防音ドアと普通のドアを二重に設置しています。
  • ピアノを弾き、音の響き具合を確認する伊尾喜さん。残響時間が長めの「ライブ」気味に音の響きを調整しているとのこと。
  • 天井にもDAIKENの天井材「オトテン(モダン)」が採用されており、適度に吸音しています。

プレミアム★★★防音

ホームシアターやオーディオルーム、ピアノの練習室など、本格的に音を楽しみたい方に最適なのが「プレミアム★★★防音」の防音室。50dBの遮音性能を実現し、ほかの部屋ではピアノの音がひそひそ声くらいに減衰するとのこと。天井・床・壁・開口部に用いている音響建材は「スタンダード★★防音」よりも遮音性能が高いものとなっています。

  • スクリーンとテレビの2ウェイシアターやピアノ、電子ドラムセットなどが置かれた「プレミアム★★★防音」の防音室。
  • 「スペシャル(S)防音タイプ」と「アドバンス(A)防音タイプ」の2種類の防音ドアを二重に設置しており、それぞれの遮音性能を確認することができます。
  • ドルビーアトモスのデモディスクより「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のオープニングシーンを視聴する伊尾喜さんと龍井さん。
  • 部屋のコーナーに後付けの音響壁材「オトピタ03」を設置。音の響きは残響時間が短めの「デッド」気味に調整されているとのこと。