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ガイド

  • プロから“あかりの複数配置”を学ぶ
    ホームシアターのあかり入門バイブル
    多灯分散照明で暮らしに合わせた演出を

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2022年9月9日更新

空間を明るく照らすだけでなく、そこで過ごす時間をスペシャルにしてくれるのが“あかり”。映画やスポーツを臨場感たっぷりに楽しめたり、家族と一緒にいる時間が心地よくなったり。ここでは、照明士・﨑山昌治さんにお聞きした、押さえておくとホームシアターの満足度、快適度がワンランクアップするプロのあかりのテクニックをご紹介します。

目的に合ったあかりを複数配置する

テレビなのかスクリーンなのかによって、あかりのプランは多少異なりますが、基本の考え方は同様だと﨑山氏は語ってくれました。
「テレビシアター、スクリーンシアターのいずれも、目的に応じて使いわけができるあかりのプランがお薦めです。特に、リビングで楽しむテレビシアターの場合は、食事やだんらん、勉強などさまざまな目的を行う空間であるため、部屋全体を照らすあかりのほかに、食事や読書、映画鑑賞などの目的ごとに最適なあかり、くつろぎ感を演出するためのあかりをバランスよく配置し、シーンに応じて照らしわけることが大切です。日本では一つの部屋に一つの照明を配置する『一室一灯』が一般的ですが、目的別にあかりを配置する『多灯分散照明』の方が、部屋が明るく感じられ、くつろぎ感が高まることが科学的に証明されているくらいです」(﨑山氏)。

以下でご紹介するあかりのテクニックを採り入れて、家族みんながくつろげる素敵なホームシアターをつくろう。

テレビシアターに必要なあかりとは?

テレビシアターの多いリビングは、だんらんや勉強など、多目的に用いる場所。そのため、多様な用途に対応できるよう、複数のあかりを組み合わせるのがポイントです。

目的1「あかりだまりをつくる」

だんらんや勉強などさまざまな目的に対応できるよう、中心部分の明かりを確保しましょう。また、テーブルの上などに光を集めることで、人が集いたくなる雰囲気を演出できます。

目的2「落ち着いた雰囲気を演出」

くつろいだ雰囲気を演出するには、全体のあかりだけでは不十分。光の位置を低めにすると、落ち着き感が出ます。

  • 多灯分散照明の場合、ダウンライトを用いてテーブル面のあかりだまりをつくるのが一般的。落ち着きのある雰囲気を演出する場合は、低い位置のあかりを設置します。

目的3「テレビのまぶしさを和らげる」

視線の行く壁や天井を照らすことで、部屋全体の明るさ感を高められます。また、テレビシアターの場合は、ソファに座った時などの正面の壁、つまりテレビ背面を照らすことで、テレビ画面のまぶしさを和らげ、目が疲れにくくなる効果も生まれます。

  • テレビを観る時は真っ暗な部屋よりも、テレビ背面にあかりがある方が画面のまぶしさが少なくなり、目への負担を軽減させることができます。

目的4「テレビ鑑賞時の利便性を高める」

映画鑑賞時には部屋のあかりを消して、映像に浸りたいもの。部屋が真っ暗い状態でも、リモコンを操作したり、ドリンクを飲んだりしやすいように、手元を照らすあかりを用意しましょう。

  • 映画鑑賞時に手元を照らす場合は、画面に影響を与えないように、手元だけを照らすが理想的。

設置の具体例とポイント

上記で挙げた目的に合わせて、あかりをどのように置いたらよいのか、具体例とともにポイントを紹介していきましょう。
 

目的1「中心のあかりをつくる」

リビングテーブルの上などにダウンライトやシャンデリア、シーリングライトなどを配し、人が集いやすくなる雰囲気をつくりましょう。

  • リビングテーブルの位置が明確ではない場合は、光が広く拡散する「拡散タイプ」のダウンライトを選ぶのがオススメ。

目的2「低い位置のあかりをつくる」

くつろぎ感を生むポイントとして「低位置、低色温度、低照度の『3低』」を意識しましょう。低い場所に照度を抑えた光源を置くと落ち着いた印象になります。

  • ソファの裏や横などに照明器具を置くのが導入しやすいでしょう。テレビに映り込まないように位置を微調整してみてください。

目的3「テレビ背面を照らす」

テレビ周りは暗くした方が画面が引き立つと思われがちですが、まぶしすぎて目が疲れてしまうことも。テレビ背面にほのかなあかりがあると、まぶしさが少なくなり、長時間快適にテレビシアターを楽しめます。

  • ダウンライトの場合は、天井からテレビの裏の壁面を照らしましょう。この時、視聴者へのまぶしさを少しでも和らげるために、壁の方へ向けることのできるダウンライトが理想的。
  • PANASONIC
    「HomeArchi SF062W」
    ¥45,100(税込)
  • 既存物件で後付けするなら、直線形状の照明器具をテレビ裏に置くとよいでしょう。

目的4「手元にあかりを確保する」

手元にスタンドなどの照明があると、映画鑑賞中に飲んだり食べたりする時に便利です。ダウンライトで手元のあかりを確保する場合「中心のあかり」の拡散タイプとは別に、光が下方向に落ちる「集光タイプ」を選び、回路をわけておくとよいでしょう。

  • PANASONIC
    「HomeArchi LGD1038L LB1」
    ¥19,360(税込)
    ピンホールタイプのダウンライトを採用した事例。器具の存在感を抑え、必要な場所だけを照らすことができます。
  • 既存物件の場合は、最も手軽に手元のあかりを確保するのは、フロアスタンドやテーブルライトを置く方法があります。

スクリーンシアターのあかりのコツ

壁に大画面が広がるスクリーンシアターの場合は、テレビシアターのように背面を照らすあかりは不要です。むしろ、映画鑑賞時には真っ暗にできるように遮光にこだわりましょう。ただ、スクリーンを上げた時の手元のあかりはあった方がよいです。雰囲気づくりに役立つ低い位置のあかりはあった方がベターです。

  • プロジェクターとスクリーンの間に天井照明をつける場合は、投写光を遮らないように、照明器具の高さに注意しましょう。
  • リビングシアターでダイニングなどに高さのあるペンダントライトを取り付ける場合は要注意。プロジェクターの投写光がライトにかからないように、設置を工夫したり、プロジェクターのレンズシフトで回避したりすればOKです。
  • [取材協力]
    パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
    西部ILC(インテリアライティングセンター)課長
    﨑山昌治氏
    照明士。1990年入社。住宅照明に関するソフト研究・手法構築・プランニングが専門分野。現在は、住宅照明プランニングの専門集団ILCの、西日本地区リーダーを務めている。

※このページで掲載している照明器具のお問い合わせはパナソニック
TEL:0120-878-709