いま、ホームシアターファンが見るべき4K Ultra HDブルーレイの注目タイトルを、プロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。2023年4月時点で発売中の『ノースマン 導かれし復讐者』と『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』、旧作『野良犬』の3タイトルについて、画質音質チェックの見どころを大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックしました。
CONTENTS
・『ノースマン 導かれし復讐者』
・ディスプレイの暗部表現力とSNが試される
・『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
・海底が舞台のダークな絵画的映像
・『野良犬』
・従来にない遠近感と立体感を生んだ4Kリマスター
『ノースマン 導かれし復讐者』
- 『ノースマン 導かれし復讐者』
¥7,260(税込)
NBCユニバーサル
GNXF-2835
●製作:2022年/米 ●ジャンル:洋画アクション ●本編ディスク:137分、スコープ、HDR10、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語ドルビーデジタル5.1ch ●字幕:日本語、英語(聴覚障がい者対応)
●ストーリー
『ライトハウス』の鬼才ロバート・エガース監督が放つリベンジ・アクション。9世紀、北欧の王国。父王を殺されたアムレートは島を脱出。やがてヴァイキングとなった彼は、奴隷を装い仇敵が営む農場へと向かうが…。
- ●監督:ロバート・エガース ●出演:アレキサンダー・スカルスガルド ●特典:未公開シーン&ロング・バージョン、こだわり抜いたヴァイキング映画、襲撃シーンの撮影ほか
© 2022 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
ディスプレイの暗部表現力とSNが試される
北方伝承神話をベースに、シェイクスピア劇やギリシャ悲劇が渾然一体になった運命劇。見応えがありますが、陰惨で血腥いのでファミリー向けではありません。画質と音質は非常に優れています。往年のハリウッドのヴァイキング映画と一線を画し、落ち着いたやにっぽい色調ですが、物語の舞台アイスランドや北スコットランドの実写とCGを融合したシーンは精細感に富み、大画面で深い奥行きを感じさせます。CH9、主人公が魔剣を手中にするダークシーンは、ディスプレイの暗部表現力とSNが試されます。ドルビーアトモスのサラウンドは聴き応え十分で、ハイトスピーカーに惜しみなくオブジェクトをマッピング。CH5の航海シーンは、試聴室が北海の荒海に変わります。(大橋伸太郎)
- 物語の舞台アイスランドや北スコットランドの実写とCGを融合したシーンは、深い奥行きを感じさせます。ドルビーアトモスのサラウンドは聴き応え十分。
© 2022 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
- 『ノースマン 導かれし復讐者』画質/音質傾向
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
- 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
¥9,790(税込)
ウォルト・ディズニー・ジャパン
VWAS7438
●製作:2022年/米 ●ジャンル:洋画アクション ●本編ディスク:約163分、スコープ、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語ドルビーデジタルプラス7.1ch ●字幕:日本語、英語、日本語吹替用
●ストーリー
チャドウィック・ボーズマン亡き後の大ヒットシリーズ第2弾。偉大な国王であり、守護者であるティ・チャラを失ったワカンダ王国。悲しみに打ちひしがれる中、新たな敵ネイモア率いる海底王国タロカンの脅威が迫り…。
- ●監督:ライアン・クーグラー ●出演:レティーシャ・ライト ●特典:※同梱のBDに収録/ワカンダとタロカン、継承されるブラックパンサー、NGシーン集ほか
© 2023 MARVEL
海底が舞台のダークな絵画的映像
ブラックパンサーことティ・チャラの死後、女王となったラモンダは、国力の源の超物質ヴィブラニウムの供出を求める諸国に苦慮していました。そこにヴィブラニウムを持つもう一つの国、海底王国タロカンが同盟を申し入れます。一緒に世界を支配しようと…。極彩色コミック調の前作に比べ、落ち着いた絵画的なルックの映像です。海底が重要な舞台でダークシーンが多く、CH5、ククルカンが夜の川から姿を表わすシーンはディスプレイの暗部階調の試金石。CH14は『アビス』を彷彿させ全編のハイライト。音声はドルビーアトモス。CH9、CIAとのチェイスを経て、タロカンとの初戦はサラウンド最初の山場。CH17の帝都襲撃、CH22の両国総力戦は音場を縦横無尽にオブジェクトが駆け巡ります。(大橋伸太郎)
- 落ち着いて絵画的な厚みのある映像。戦闘シーンでは、音場を縦横無尽にオブジェクトが駆け巡ります。
© 2023 MARVEL
- 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』画質/音質傾向
『野良犬』
- 『野良犬』
¥6,600(税込)
東宝
TBR33111D
●製作:1949年/日 ●ジャンル:邦画サスペンス ●本編ディスク:122分、スタンダード ●本編音声:日本語リニアPCM1.0ch ●字幕:日本語バリアフリー
●ストーリー
日本映画に刑事もののジャンルを確立した作品。新米刑事の村上(三船敏郎)は、実弾入りの拳銃をすられてしまう。その拳銃を使い殺人を繰り返す犯人。村上はベテラン刑事の佐藤(志村喬)に助けられながら、捜査を続けるが…。
- ●監督:黒澤明 ●出演:三船敏郎、志村喬 ●特典:予告編、スチールギャラリー
© 1949TOHO CO.,LTD.
従来にない遠近感と立体感を生んだ4Kリマスター
黒澤アクション現代劇の最高傑作。キラーコンテンツだけに、MUSEハイビジョンLD、DVD、2Kブルーレイで発売される都度、東宝の手によりオリジナルネガにさかのぼってノイズと傷の除去、明暗調整などの入念なアーカイブが行われてきました。今回決定版の期待がもたれます。SDRですがコントラストと階調に進境がみとめられます。本作は被写界深度の浅い望遠レンズを使い俳優の肉体に密着した人物撮影が多く、4Kの精細感によって三船敏郎と志村喬のツーショットなど、ワンフレームの中にハッとするような遠近感と立体感が生まれました。これは2Kでは味わうことのできなかったもの。映像はこれ以上望むものがありませんが、音声ことにセリフにはもう一息の解像感を望みます。(大橋伸太郎)
- コントラストと階調に進境がみとめらる決定版。4Kの精細感によって、ワンフレームの中にハッとするような遠近感と立体感が生まれています。
© 1949TOHO CO.,LTD.
- 『野良犬』画質/音質傾向