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  • 鴻池賢三のホームシアターTips テレビとオーディオの接続は、HDMIと光デジタルどっちがいい? 伝送による音質の違いとは? それぞれの用途やメリットも解説

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年5月26日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

ネット配信を受けるテレビがコンテンツのソースとして存在感を増し、音声信号もテレビ側からAVアンプやサウンドバーに送るケースが多くなりました。テレビとオーディオ機器を接続するとき、光デジタルとHDMIではどちらがよりよいのでしょうか? この記事では、2つの違いを解説します。

HDMIと光デジタルによる伝送の違い

まず、歴史の長い光デジタル(S/PDIF)と最新のHDMIでは、伝送できるデータの量に違いがあります。

AVアンプを中心としたホームシアターシステムの歴史を振り返ると、マルチチャンネルのデジタル音声はCD時代に登場した規格「S/PDIF」(Sony Philips Digital Interface Format)に基づく「光」や「同軸」ケーブルで、ディスクプレーヤーとAVアンプを接続する時代が長く続きました。特に日本では「光」が主流。電磁ノイズの影響を受けないとされる光ファイバー伝送は先進的で注目を集めました。

S/PDIF登場当初はCDのPCM非圧縮2ch(44.1kHz/16bit)が伝送できれば十分で、48kHz/16bit(=1.5Mbps)からスタートしています。後にDolby Digital(AC-3)やDTSといった5.1chの音声フォーマットが登場したときも、この1.5Mbpsの器に収まる格好で規格化されました。

現在では、音声信号のハイレゾ化や多チャンネル化が進み、最大で30Mbps近くに達することも珍しくありません。S/PDIFも柔軟に利用されていますが、トラブルなく確実に伝送するには、Gbpsクラスの伝送も可能なHDMIを利用するのが合理的といえます。

  • ちなみに据え置き型の機器に搭載される光デジタル音声端子は通常は「角型」。東芝が開発して提唱したため「TOS-Link」(トスリンク:”TOS”はTOSHIBAに由来)とも呼ばれます。
  • 光デジタルケーブル
    AUDIO-TECHNICA
    AT-OPX1

HDMIケーブルの便利機能

次に機能面。S/PDIFでは再生機器側から音声データのみを一方的に流すだけなのに対し、HDMIでは1本のケーブルで映像や音声のデータはもちろん、制御データをやりとりして機器同士の相互連携動作も可能になりました。

受信側の機器がデコード可能なフォーマットやビットレートを把握して、制作意図に忠実な画質を再現したり、電源操作連動、入力切替、音量調整などもできるので、使い勝手も向上します。

ほか、近年では2chのパワードスピーカーやアンプもHDMI入力に対応した製品が増加中。テレビとの組み合わせを想定したものです。こうした機器を活用すると、テレビ周りのサウンドを、手軽により上質なものにしてくれるでしょう!

  • 1本のケーブルで接続が完了するのがHDMIの大きなメリット。配線がシンプルで手順がわかりやすく、特にリビングでホームシアターを楽しむ際などは見た目もすっきりと接続できます。
  • HDMI2.1では映像伝送が48Gbps帯域まで可能になりました。データ量の大きい映像信号も、安定した速度で、高品位で楽しむことができます。

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