さらなる高画質を狙い、「マイクロレンズ有機EL」を搭載したビエラの新世代フラグシップ「MZ2500」。批評家大賞に輝いたその実力に、鴻池賢三氏が迫ります。
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明るさのパワーの余裕がリアルな表現につながる
高画質テレビとして定着した感のある有機ELテレビですが、技術は進化を続けています。トレンドはさらなる高輝度化。明るく色鮮やかで力強い映像表現はもちろん、ピーク輝度の向上で感動を司るコントラスト感が新次元に。VGP2023 SUMMERでは、数ある映像装置の中から、ビエラ「MZ2500」シリーズが最高画質と認められて、批評家大賞に輝きました。
- 4K有機ELテレビ
PANASONIC
「MZ2500」シリーズ(65V型/55V型)
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進化のポイントは、新たに「マイクロレンズ有機EL」を採用した点にあります。通常、有機EL発光体の前面には平面のガラス層が設けられていますが、この2つの層の間に超微小なレンズ群「マイクロレンズアレイ」を設けた新構造となっています。光がレンズに導かれるように前方へと向かい、高効率化による明るさのアップのほか、視野角特性も向上するなど、まさに新世代と呼べる進化を果たしています。またMZ2500は、この進化した「マイクロレンズ有機EL」の採用に加え、新たに追加した放熱シートとバックカバー一体型放熱プレートによる「デュアルメタルヒートレス構造」を採用。放熱性能を高めることで安定した輝度アップを達成し、有機ELパネルの性能を最大限に引き出します。
もちろん、ビエラシリーズが培ってきた色のコントロール技術「ヘキサクロマドライブ」も継承しつつ進化。暗部の繊細な色調も正確に表示し、また特に2023年の新モデルでは、色ごとの特徴を検出して、鮮やかさを保ったまま階調表現をアップ、あるいは、階調表現を保ったまま鮮やかさをアップ。一般的に相反する画質要素を両立し、より洗練された映像美を実現しています。
- マイクロレンズ有機ELパネル
画素よりも微細なレンズを無数に敷き詰めた構造を持つ「マイクロレンズ有機EL」。光が視聴者側へと導かれることで、内部での光のロスを低減し、高効率でより明るい映像を実現する。そのためコントラストや視野角特性の向上につながる。また、有機EL素子をより高い輝度で安定して発光させるには発生する熱をすばやく放熱する必要があり、パナソニックは放熱性能を高める独自構造を採用。輝度のさらなる向上や、残像低減による高画質化を達成している。
ピーク輝度向上で自然な高画質
こうした技術の進化は、実際の映像を見ても明らかな差として確認できました。まず、基本体力としての輝度アップは、日中の明るい部屋で、画面全体が明るいシーンも力強く再現。たとえばHDR収録のドラマ映像は、色彩が鮮やかで鮮明。加えて、光の当たっている方向、外光がやってくる方向も一目瞭然で、明暗による立体感は新しい体験。映像のシーンが目の前に実在するかのように、よりリアルに感じられます。明るさやコントラストが向上しても、表情が滑らかな陰影とナチュラルな色味をキープするのもMZ2500シリーズならではと思えるポイント。映像の明るさアップが、臨場感向上に繋がっています。
高画質な4K UltraHDブルーレイの映画作品を観ても、MZ2500シリーズのアドバンテージは明らか。映画は暗いシーンが多く、黒の表現が大切ですが、高輝度化を果たした「マイクロレンズ有機EL」パネルを使いこなし、ピーク輝度が際立つ感動画質に昇華。たとえば薄暗い屋内に飾られた豪華なシャンデリアの構図。雰囲気をそのままに、ピークであるシャンデリアの中の光源だけをより印象的に。明暗の差が大きくなるほど階調は荒れがちですが、緻密かつ滑らかで重厚感のある表現は秀逸。結果、画面全体がリッチに描かれ、美しい映画映像の世界に惹きこまれます。また、「光りはじめ」と呼ばれる、非常に暗い黒との境界も見事にコントロール。従来からヘキサクロマドライブが得意とする部分ですが、さらに洗練されて緻密に。たとえば日没後の森で、わずかな光で見通しが効く様子は、黒潰れせず奥行き豊かに表現します。また、光に埋もれたり、また乱れがちな「色」も、透明感豊かに描かれ、情報量が多くリッチな画調。総じて明るく、また明るさという大きな器をギミックにしてしまうことなく、自然な高画質へと結びつける技術と画心が、MZ2500シリーズの真骨頂といってよいでしょう。現在、もっとも高画質が得られる映像装置として、自信を持ってお薦めできる製品です。
- 360立体音響サウンドシステム+
正面には「ラインアレイスピーカー」を搭載。そのほか上向き、横向きのスピーカー、ウーファーを配置し、立体的なサウンドを生み出す。65V型の場合の実用最大出力は160W、ラインアレイスピーカーは16個のユニットが1セットになっている。MZ2500シリーズから新たに波面制御技術の応用により、セリフやボーカルの表現を向上させたという。
また、MZ2500シリーズは音質も進化しています。ハードウェアとしてのスピーカーシステムは「LZ2000シリーズ」を踏襲しつつ、信号処理のアルゴリズム見直しにより、音の定位や立体感を改善しています。フロントに複数のスピーカーを並べて位相制御も行うラインアレイスピーカー、天井方向に向けて高さ方向の立体感を生み出すイネーブルドスピーカー、左右の広がりを生み出すワイドスピーカーを搭載し、ドルビーアトモスにも対応する立体音響システムですが、さらにその効果をアップ。また、2chステレオ音源を立体化する「アップミックス」にも対応して、放送コンテンツなどもより豊かなサウンドで楽しめます。実際に体験してもその効果は明らか。特に「声」が明瞭で一歩前に出る感は実用的。音量を大きくすることなく、セリフ、ナレーション、ボーカルが聞き取り易く感じます。逆に音量を小さくしても聞き取りやすいので、疲れにくく、また深夜の視聴にも実用的でしょう。もちろん、大音量の立体表現もテレビとして最高峰です。高画質の大画面映像と、高音質な立体サウンドとの相乗効果により、毎日をより手軽に、より豊かなものにしてくれるでしょう。
SPEC
「MZ2500」シリーズ
●チューナー:BS 4K・110度CS 4K×2、地上デジタル×3、BS・110度CSデジタル×3 ●パネル方式:有機EL ●画素数:3,840×2,160 ●HDMI:4系統 ●音声実用最大出力:160W(65V型) ●外形寸法:1448W×903H×350Dmm(65V型) ※スタンド含む ●質量:約29.5kg(65V型)
提供:パナソニック