スクリーンでもテレビシアターでも、ホームシアターの環境づくりにきわめて重要なのが部屋の照明です。なぜなら、映像とくに映画は視覚芸術であり、作品の意図をキチンと汲み取るには、環境光もコントロールすることで映像を精確に捉える必要があるからです。そこで今回は、光をコントロールする“調光器”の老舗・ルートロンに出向き、調光の現在について訊きました。
電子調光器の元祖・ルートロン
ルートロンは、1950年代後半に物理学者のJoel Spira(ジョエル・スピラ)がニューヨークに研究所を開設したのがはじまり。妻のルースと、自宅アパートで家庭向けに照明の明るさを調節する電子式装置を発明し、ついに1959年に世界初の「電子式調光器(Solid State Dimmer)」を特許申請し、3年後の取得に至りました。
1961年にはルートロンエレクトロニクス社を創業。世界初の半導体を使用した電子式調光器「Capri」を発売しました。ダイアルノブを回転させることで明るさをリニアに調整できるメリットを、世に問うことになったのです。
1971年には世界初のスライド式調光器「Nova」を発売。これは現在も生産されているというから驚きです。1974年には蛍光灯を1%まで調光可能な電子式調光安定器「Hi-lume」を発売。同年、最大6系統の調光が可能なリモート調光システム「Versaplex」も登場しました。1976年にはスタンド用調光器「Credenza」を発売。これは拙宅の寝室でもいまだ現役です。
そして1987年、ホームシアターユーザーなら誰もが知る、ワンプッシュでシーンチェンジが可能な「GRAFIK Eye」が登場。以来「調光といえばルートロン」の名声を日本でも確立し、170,000種を超える製品を販売しています。ルートロンアスカ株式会社は、米国本社100%出資の日本法人です。
- 拙宅の「GRAFIK Eye」。リビング(ホワイト・6ゾーン)と専用室(ブラウン・3ゾーン)でそれぞれ活躍中です。LEDに入れ替えても、照明ごとにインターフェイスを追加することでそのまま使用可能。赤外線受光部があることで、ホームオートメーション等との連動も容易なのは、未だに強力な武器といえます
ルートロンが選ばれ続ける理由とは
もちろん、調光=ルートロンといわれる所以は、単に調光のパイオニアだからというだけではありません。
実際に使ってみるとすぐにわかります。フワリと付くなめらかな調光カーブと、消え際ギリギリまで引っ張る美しさは、体感したことのある誰もがすぐさま思いつく魅力の一つ。それはLED全盛の現在となっても変わりません。
LED時代を迎え、それ以上に重要になったのは、ビジネスパートナーとして名を連ねる国内外の照明メーカー自体が取扱販売店であること。すなわち、彼らの照明器具すべてに対して、動作確認ができているということです。
とくに海外のカッコイイ照明器具をいくつも空間のアイキャッチに使いつつ、LEDライン照明でちらつきなく灯したい・・・という照明の重要性を知る方なら、調光器はルートロン一択なのです。
自然光も一括制御できるソリューション
もうひとつの理由は、ジョエル博士が「室内光=照明のみならず“外光=自然光”も一括制御しなければ、真の調光とは言えない」として、ユニバーサル調光システムの重要性にいちはやく気づいていたこと。
2003年にはすでに電動カーテン・ロールスクリーンシステム「Sivoia」を発売しており、2007年発売の「GRAFIK Eye QS」にはすでにこのSivoia用のボタンも装着可能になっていたのです。
しかもこの「Sivoia」は、他の電動カーテン・ロールスクリーンのように「ガー」という興ざめな動作音はしません。無音といえるほど静かです。しかも、モーターに個体差がない設計なので、複数の窓のロールスクリーンが揃って上下します。
次回以降、LED時代の調光システムや、カーテンと連動したトータルライトマネジメントシステム「Quantum(クアンタム)/Athena(アシーナ)」について紹介してまいりましょう。
LED時代の本格派調光システム[Part2]4つの調光方式とメリットを見る
お問い合わせ先
「ルートロン アスカ株式会社」
東京都港区赤坂2−2−19−5F
TEL:0120−08−3417
https://lutron.jp
- 「マナトレーディング 東京ショールーム」
東京都目黒区上目黒1-26-9中目黒オークラビル4F
TEL:03-5721-2831
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜日、祝日、夏季・年末年始
内装設計/Yokobori Architect & Associates
写真撮影/Nacasa & Partners