4K Ultra HDブルーレイの注目タイトルを、プロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。2024年6月は現在発売中の『アクアマン／失われた王国』、『屋根裏のラジャー』、『鈴木清順「浪漫三部作」』の3タイトルを取り上げます。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックしました。

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• 『アクアマン／失われた王国』
  ¥8,580（税込）
  ワーナー・ブラザース／NBCユニバーサル
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  ●製作：2023年／米 ●ジャンル：洋画アクション ●監督：ジェームズ・ワン ●出演：ジェイソン・モモア ●本編ディスク：124分、ビスタ、ドルビービジョン ●本編音声：英語ドルビーアトモス、英語ドルビーデジタル5.1ch、日本語ドルビーデジタル5.1ch ●字幕：英語、日本語
  DC LOGO, AQUAMAN and all related characters and elements © & ™ DC. © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

●ストーリー

地上で妻、幼い息子、父と平和な毎日を送っていたアクアマンことアトランティス王アーサーのもとに不穏な知らせが届く。海底王国侵略を企むケインが、王国の動力源オリカリクムの貯蔵庫に侵入したというのだ。アーサーはかつて自らが追放した弟で前王のオームの協力を得て、ケインの行方を追う。

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• ●特典：制作の舞台裏、地上と海底の世界、兄弟の絆、最凶の宿敵ブラックマンタ、ブックレットほか
  DC LOGO, AQUAMAN and all related characters and elements © & ™ DC. © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

海底王国が主要な舞台の映像は大変に優れていて、ダークな中の色彩は艶やかで発色の鮮鋭感はかつての『X-MEN』シリーズを彷彿とさせます。DCコミック由来のヒーロー映画としてトップクラスの画質です。海中のアクション描写にHDRを効果的に使っていて、ドルビービジョンなくともHDR10で十分な効果を楽しめます。

CH3オリカリクム貯蔵庫への潜水艦の侵入は、迎え撃つハイドロ砲との間で白、赤色の光芒が行き交いスクリーンを焦がします。CH6アーサーたちがケインを追って魚人王国を訪れるシーンは、グロテスクでカラフルな幻想美が全開に。CH7火山島は数少ない陸上のアクション。実写とCGが巧みに合成され、密林の発色の鮮鋭感、奥行き感の表出がポイント。移動表現主体のサラウンドはスピードと切れ味豊か。イマーシブサウンドの設計も優れており、見る者を海底王国アトランティスへ連れ去ります。（大橋伸太郎）

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• DCコミック由来のヒーロー映画としてトップクラスの画質！ 移動表現主体のサラウンドはスピードと切れ味豊か。
  DC LOGO, AQUAMAN and all related characters and elements © & ™ DC. © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

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• 『アクアマン／失われた王国』画質／音質傾向

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• 『屋根裏のラジャー』
  ¥8,580（税込）
  ウォルト・ディズニー・ジャパン
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  ●製作：2023年／日 ●ジャンル：邦画アニメ ●監督：百瀬義行 ●声の出演：寺田心、鈴木梨央 ●本編ディスク：109分、16：9、HDR10 ●本編音声：日本語リニアPCM2.0ch、日本語ドルビーアトモス、日本語ドルビーTrue HD5.1ch、バリアフリー日本語音声ガイドドルビーデジタル2.0ch ●字幕：英語、バリアフリー日本語
  ©︎ 2023 Ponoc

●ストーリー

金髪の少年ラジャーはアマンダといつも一緒にいる。しかし、お母さんのエリザベスはそれを知らない。ラジャーはアマンダの想像が生んだ存在〈イマジナリ〉だからだ。イマジナリをつけ狙う邪悪なミスター・バンティングからラジャーをかばい、アマンダは交通事故に遭う。想像主が死んだらイマジナリは消えてしまう。ラジャーの戦いが始まる。

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• ●特典：同梱のBDに収録／メイキングドキュメンタリー「そして、屋根裏のラジャーは生まれた。」、キャストインタビュー集ほか
  ©︎ 2023 Ponoc

イギリスのベストセラー児童文学「ぼくが消えないうちに」を日本のスタジオポノックがアニメーション化しました。原作を尊重して物語の舞台は現代のロンドンのようですが、日本の年少観客を配慮したのでしょうか、登場人物は眼と髪の色以外どう見ても日本人。ユニークな無国籍の世界観が国際配給でどう受け止められるか興味があります。

伝統的なセル画を用いた手描きアニメとCGのハイブリッド作品。背景の自動車などはデジタルのなめらかな動き、近景の人物はアニメらしいカクカクしたそれと、動きの質感が異なっているのは違和感があります。彩色絵本を思わせる色彩設計が魅力のソフト。CH15の折り鶴はジェリービーンズのように艶やかで甘美。ぜひ4KBT.2020で味わってください。CH1イントロの想像の世界、CH13のナイトシーン、CH17エンディングでHDRが幻想的な効果を盛り上げます。（大橋伸太郎）

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• 絵本を思わせる色彩設計が魅力。ナイトシーン、エンディングでHDRが幻想的な効果を盛り上げます。
  ©︎ 2023 Ponoc

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• 『屋根裏のラジャー』画質／音質傾向

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• 『鈴木清順「浪漫三部作」【4Kデジタル完全修復版】 UHD+Blu-ray BOX（6枚組）』
  ¥26,400（税込）
  TCエンタテインメント
  TCBD-1469
  ●製作：1980年、1981年、1991年／日 ●ジャンル：邦画ドラマ ●監督：鈴木清順 ●本編ディスク：『ツィゴイネルワイゼン』 144分、スタンダード、SDR／『陽炎座』139分、スタンダード、SDR／『夢二』128分、ヨーロッパ・ヴィスタ、SDR ●本編音声： 日本語2.0chモノラル（3作品共通） ●字幕：なし ●特典：※同梱のBDに収録／『ツィゴイネルワイゼン』監督インタビュー【聞き手：上野昻志】、ブックレットほか
  ※3作それぞれ単体でも発売中

●ストーリー

舞台は3作とも大正から昭和にかけて。二人の男が旅先で出会った芸者と織りなす妖しいトライアングルのてん末（『ツィゴイネルワイゼン』）、劇作家の男が一夜を共にした女に誘われ芝居小屋で目撃する因縁と復讐の劇（『陽炎座』）、人気画家が駆け落ち先の金沢で出会った失踪した夫を待つ女（『夢二』）…謎めいた女に導かれて迷宮に足を踏み入れる男たちが描かれる。

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• 『ツィゴイネルワイゼン』

鈴木清順監督の〈大正〉ロマン三部作の4Kブルーレイ化。2Kブルーレイの映像も大変優れていて高価なだけに買うことを迷ったのですが、映像を見て驚嘆しました。これだけ大きな画質の伸びしろが残されていたのかと…。フィルムという媒体の底知れない偉大さを体験することのできるリマスターです。

夢幻能を思わせるロマネスク運命劇『ツィゴイネルワイゼン』（1980）は大谷直子の儚げな美（CH4）、江戸歌舞伎を連想させるけれん味たっぷりの極彩色絵巻『陽炎座』（1981）は大楠道代の圧巻の演舞（CH6）、『夢二』（1991）は沢田研二扮する画家・夢二とモデルでファムフェタールの毬谷友子の対峙（CH7）が映像のクライマックス。超解像などの電気的補正をオフって甘美にして強靭な映像に没入することをお薦めします。

鈴木清順らしいバタ臭さ、ノンシャランな軽妙さの『夢二』は前2作に比べ、やや薄口に思っていましたが、4Kの解像度とコントラスト、色彩表現を得て、映像に秘められたポテンシャルがついに全面開花、3作品の中で今回もっとも引き込まれます。　今後これ以上の映像となってパッケージメディアが発売されるとは考えにくく、いわば本作が決定版。すべてのホームシアターファイルが体験すべき偉大な映像遺産と言えるでしょう。（大橋伸太郎）

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• 『陽炎座』

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• 『夢二』

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• 『鈴木清順「浪漫三部作」』画質／音質傾向

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オーディオ・ビジュアル評論家、大橋伸太郎先生の自宅ホームシアターを拝見！