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  • 開発者が選んだ!
    ハイクオリティソフト2019年度<PART2>
    これが珠玉のレファレンス!【映像作品 音質編】

    取材・執筆 / 小笠原 望(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2020年6月17日更新

音質にこだわるエンジニアが推薦!

4K Ultra HDブルーレイ(以下、UHD BD)やブルーレイ、動画配信で楽しめる映像作品の多くは、画質だけでなくサウンドのクオリティにもこだわって制作されています。ドルビーアトモスやDTS:X、そしてAuro 3Dといったイマーシブオーディオによって従来のサウンドフォーマット以上に没入感を味わえる作品、ステレオでも音質にこだわり抜くことで2ch再生だからこそ表現できるHi-Fiクオリティの臨場感を実現した音楽ライブ作品なども増えてきています。

映像作品の音質が向上していくのにあわせて、AVアンプやサウンドバー、そして薄型テレビなども、ソフトのクオリティを最大限に引き出せるようにクオリティをますます高めています。そこで、「開発者が選んだ! ハイクオリティソフト2019年度」のPART2では、音響関連製品の開発に携わる方々に、高音質な映像作品を厳選していただきました。ホームシアターファンが、ご自宅のシステムの音質チェックのレファレンスソフトとしても使える良質な作品が多数登場します。

DENON〜上質な没入感で鳴らしたい至極の3作

  • ◼️音質で選んだレファレンス3作
    『8: Kindred Spirits Live From The Lobero Theater』(左)
    DVD 輸入盤 080-154 ユニバーサル・ミュージック ●製作:2018年/米 ●ラインアップ:CD+DVD $24.98、2LP+DVD $39.98、Delux Box Set $199.00、2LP+DVD-Test Pressing $150.00
    『Mahler : Symphony No.1 & No.4 / Daniele Gatti & Royal Concertgebouw Orchestra』(中央)
    ブルーレイ 輸入盤 ¥5,000 KKC-9520 キングスインターナショナル ●製作:2019年/米 ●本編映像:125分、ビスタ、1080i ●本編音声:リニアPCM 2.0ch(96kHz/24bit)、Auro-3D 9.0(96kHz/24bit)、DTS-HD MA 5.0ch(96kHz/24bit)
    『ジョーカー』(右)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) 1000757446 ワーナー・ブラザーズ ●製作:2019年/米 ●本編映像:122分、ビスタ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch

昨年の東京JAZZ2019のライブがNHK BS4Kで放送されたのも記憶に新しい、『Charles Lloyd Kindred Spirits』の2018年、カリフォルニアThe Lobero Theaterでのライブ作品です。ドルビーデジタル2chという軽量フォーマットを完全に忘れさせるほどの素晴らしいパフォーマンスと録音。これをドルビーサラウンドやDTS Neural:Xのアップミキシングでホームシアターに馴染ませ鳴らせるかがポイント。Julian Lageの超絶ギターもたっぷりとフィーチャーされているのが嬉しいです。『Concertgebouw Orchestra&Gatti』のマーラー1&4番はAuro 3Dによる9.0chチャンネルベースでの上質な再生が味わえる至極の作品。製品設計段階では、どれだけ音世界に没入できるかが指針となります。クラシック愛好家の皆様には是非Auro 3Dによるイマーシブオーディオの世界を味わって頂きたいです。映画作品としてはやはり『ジョーカー』は外せません。最恐で重厚なサウンドエフェクトがシアター全体を包囲するドルビーアトモスの再生はトップスピーカー6本の試聴がベスト。

  • ◼️高橋佑規 氏
    (株)ディーアンドエムホールディングス デノンサウンドマネージャー。2001年日本コロムビア株式会社研究開発センター入社。オーディオアンプの研究開発に従事。現在はAVレシーバーの電気設計、音質設計を担当しています。2014年サウンドマネージャーに就任しDENONブランドAVR製品の音質取り纏めを担当しています。
  • ◼️開発に携わった主な代表モデル
    AVC-X8500H
    AVC-X6500H
    AVR-X7200WA
    ※写真は「AVC-X8500H」です。

MARANTZ〜コーデックの聴き比べも楽しい”音楽”作品

  • ◼️音質で選んだレファレンス3作
    『ボヘミアン・ラプソディ』(左)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) FXHA-87402 20世紀フォックス ●製作:2018年/英・米 ●本編映像:135分、シネスコ、HDR10+ ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DTS 5.1ch
    『アリー/スター誕生』(中央)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) 1000743779 ワーナー・ブラザーズ ●製作:2018年/米 ●本編映像:136分、シネスコ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch
    『ニューイヤー・コンサート2020/アンドリス・ネルソンス&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団』(右)
    ブルーレイ ¥5,700(税抜) SIXC-29 ソニーミュージック ●製作:2020年/独 ●本編映像:159分、ビスタ、1080i ●本編音声:DTS-HD MA 5.0ch、リニアPCM 2.0ch(24bit)

2019年度は音楽を題材にした映画のヒットがありましたので、つまらない選択になってしまうかもしれませんが、あえてストレートに3つのタイトルをあげました。一つ目は『ボヘミアン・ラプソディ』。1985年の実際のライブ6曲を完全再現した特典映像の「ライヴ・エイド完全版」もドルビーアトモス収録されていて必見です。二つ目はレディーガガが主演し3度目のリメイクで話題となった『アリー/スター誕生』。収録されているドルビーアトモスとDTS-HD MAでは少し雰囲気が異なる感じもしますので、聴き比べても面白いかと思います。最後は毎年の定番ディスクですが、『ニューイヤー・コンサート2020/アンドリス・ネルソンス&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団』はこのディスクだけでなく、毎年のディスクを揃えることで違いが感じられたりできると思います。

  • ◼️尾形好宣 氏
    (株)ディーアンドエムホールディングス マランツサウンドマネージャー。日本マランツに電気回路設計として入社し、CD-19やSA-1などCDプレーヤーを担当後、商品企画に異動しHi-FiモデルやVP-12シリーズのプロジェクターを担当。3年のアメリカ駐在を経て、帰国後モバイルアプリの仕様策定などに従事。2016年より現職。
  • ◼️開発に携わった主な代表モデル
    SA-12OSE
    PM-12OSE
    PM7000N
    ※写真は「SA-12OSE」です。

SHARP〜ライブの臨場感と壮大なオケを味わえる3作

  • ◼️音質で選んだレファレンス3作
    『アリー/スター誕生』(左)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) 1000743779 ワーナー・ブラザーズ ●製作:2018年/米 ●本編映像:136分、シネスコ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch
    『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』(中央)
    ブルーレイ ¥8,000 (税抜) ESXL-174 ソニーミュージック ●製作:2019年/日 ●本編映像:6時間51分(BD1枚+DVD2枚)、ビスタ、1080i ●本編音声:リニアPCM 2.0ch(48kHz/24bit)
    『アベンジャーズ/エンドゲーム』(右)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥8,000 (税抜) VWAS6906 ディズニー ●製作:2019年/米 ●本編映像:181分、シネマスコープ、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD PLUS 7.1ch

『アリー/スター誕生』は、ライブコンテンツと同等に、音づくりにこだわりのある作品です。「Shallow」を歌うシーンでは、アリーとジャックの二人の声に呼応して、観客の歓声が広がり、ライブ特有の臨場感を味わえます。この臨場感がサウンドバーでどれだけ実現できているか、ご体感いただきたいです。『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』のブルーレイは、宇多田ヒカルの繊細な歌声やライブ音源ならではの広がり感が凝縮されている作品です。ハイレゾ音源が主流となる中、女性ボーカルが持つ高域の伸びを引き出すことは重要です。特に、「花束を君に」はディスクの中でも宇多田ヒカルの声と弦楽器の相乗効果で、艶やかな高音を聴くことができます。『アベンジャーズ/エンドゲーム』の最大の聴き所は、サノスとの最終決戦のシーンです。壮大なオーケストラサウンドをバックミュージックに、双方の部隊が行進する際の移動感や歓声の広がりには目を見張るものがあります。

  • ◼️大久保 滋 氏
    シャープ(株) TVシステム事業本部オーディオ事業部技術部 部長。入社以来、オーディオ製品のシステム設計、回路設計に従事。2005年からの6年間は、液晶テレビの音声システム開発にも従事し、映像に適した音作りを経験。現在は開発責任者として、オーディオ製品に搭載する技術の進化、音質の向上に取り組んでいます。
  • ◼️開発に携わった主な代表モデル
    8A-C31AX1
    HT-SP100
    AN-SR600
    ※写真は「8A-C31AX1」です。

SONY〜画と音の一体感や空間表現を重視!

  • ◼️音質で選んだレファレンス3作
    『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』(左)
    ブルーレイ ¥8,000 (税抜) ESXL-174 ソニーミュージック ●製作:2019年/日 ●本編映像:6時間51分(BD1枚+DVD2枚)、ビスタ、1080i ●本編音声:リニアPCM 2.0ch(48kHz/24bit)
    『アリー/スター誕生』(中央)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) 1000743779 ワーナー・ブラザーズ ●製作:2018年/米 ●本編映像:136分、シネスコ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch
    『ボヘミアン・ラプソディ』(右)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) FXHA-87402 20世紀フォックス ●製作:2018年/英・米 ●本編映像:135分、シネスコ、HDR10+ ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DTS 5.1ch

『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』は音楽ライブのブルーレイとして非常にハイクオリティであるため、宇多田ヒカルの声やステージの広がりと余韻、驚くほど深いベースラインがデバイスとしていかに再現できるかという性能評価に加えて、画面一杯に広がったステージの映像と音が一体となって、純粋にライブに没入して楽しめるかどうかを参考にしています。『アリー/スター誕生』はスタジアムの初めてのデュエットのシーンでの女声と男声がいかに分離して自然に再生できるか、またドルビーアトモス再生の評価で使用しています。『ボヘミアン・ラプソディ』はLive Aidのシーンでいかにライブの臨場感や迫力を出すかも重要ですが、スタジオからステージへと場面転換する際に背景音の切り替わりによって空間表現ができているかも評価ポイントにしています。

  • ◼️萩尾淳二 氏
    ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ(株) TV事業本部商品設計部門商品設計2部。
    2012年入社。サウンドバーの音響設計担当を経て、2016年よりテレビの音響設計を担当。
    主に液晶(8K・4K)・有機ELテレビの内蔵スピーカーの設計に従事しており、テレビの高音質化の追求に加え、画音一体の感動体験の提供実現に向け取り組んでいます。
  • ◼️開発に携わった主な代表モデル
    KJ-65X9500
    KJ-65A8F
    KJ-85Z9H
    ※写真は「KJ-85Z9H」です。

TOSHIBA〜重低音の再現性が問われる3作

  • ◼️音質で選んだレファレンス3作
    『THE GUILTY』(左)
    ブルーレイ ¥4,700(税抜) PCXE-50914 ポニーキャニオン ●製作:2018年/丁 ●本編映像:88分、シネスコ、1080p ●本編音声:デンマーク語DTS-HD MA 5.1ch、日本語DTS-HD MA 5.1ch
    『アリー/スター誕生』(中央)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,990(税抜) 1000743779 ワーナー・ブラザーズ ●製作:2018年/米 ●本編映像:136分、シネスコ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch
    『ターミネーター:ニュー・フェイト』(右)
    4K Ultra HDブルーレイ ¥6,000 (税抜) FXHA-95137 20世紀フォックス ●製作:2019年/米 ●本編映像:129分、シネスコ、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DTS 5.1ch

『THE GUILTY』は異色の作品で、電話の向こうの声が大きな意味を持ちます。驚くほど緻密なサウンドデザインが施されており、特に重低音領域の再現性が試されます。十分な低域の支えがないと音場感が希薄となり緊張感が再現されない難物ソフト。『アリー/スター誕生』はレディー・ガガの圧巻の歌唱力が満喫できます。特に「Shallow」のライブシーンとラストシーンは秀逸です。明瞭度が不足するシステムでは、彼女の歌の魅力は十分に伝わらないでしょう。最後の『ターミネーター:ニュー・フェイト』、これは全編何気ないシーンであってもスーパーバス領域の情報が豊富であり、このソフトも重低音域の再生能力が重要です。戦闘シーンでの大質量のぶつかり合いは質だけではなく、十分な量の再現性が試されます。

  • ◼️桑原光孝 氏
    東芝デベロップメントエンジニアリング(株) プリンシパルエンジニア・音声マイスター。DVD/BD関連機器の画質&音質責任者を歴任。現在はレグザの音響開発責任者。プライベートでは65X930とJBLの大型5ウェイマルチアンプでAVシステムを構築。
  • 開発に携わった主な代表モデル
    セルレグザ55X1
    レグザZ700Xシリーズ
    レグザZ740Xシリーズ
    ※写真は「65Z740X」です。

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