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ソフト

  • プロが推す! 4K Ultra HDブルーレイ
    ハイクオリティソフトBest10[前編]
    伊尾喜大祐が画質と音質で選んだ[2021-2022]

    取材・執筆 / 伊尾喜 大祐
    2022年4月11日更新

実景に肉薄するHDR表現に進化

コロナ禍において、大作映画が軒並み公開延期の憂き目に遭った2020年。その煽りをもろに食ったのが映像ソフト業界です。2021年も本来なら4K UHD BDでブロックバスター超大作が続々と投入されるはずが、初夏までの市場を支えたのは新作ではなく、力の入った4Kリマスターの旧作群でした。映画興行がじわじわ復活を見せた夏以降は、パッケージにも最新タイトルがリリースされ始め、ようやく活気を取り戻した感があります。少しずつでも4K UHD BDタイトルが増えることを祈るばかりです。

  • 4K Ultra HDブルーレイは、4KやHDRの高画質フォーマット、ドルビーアトモスやDTS:Xなどイマーシブサウンドによって、DVDやBDでは体感できなかった映像情報を味わうことができます。

近年は映画作品自体のポストプロダクションも4K制作が標準となり、HDRグレーディングの技術も熟れてきています。そのマスターを使用する4K UHD BDのHDR表現も、以前のような「わかりやすく」「過度な」効果ではなく、肉眼で見る実景に肉薄させるものが増えたように感じます。ドルビービジョンやHDR10+を採用したタイトルの増加も、こうした映像の進化=深化に繋がる大きな要因といえるでしょう。
2021年はVODの波がますます大きく押し寄せましたが、それでも現時点では画質・音質面でパッケージソフトにまだアドバンテージがあります。本稿でご紹介する10作品のディスク版と配信版で、クオリティの差異をチェックするのも、また興味深いでしょう。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

  • 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
    ¥7,000(税込)
    バンダイナムコアーツ
    BCQA-0013
    ●制作:2021年/日 ●本編映像:95分、16:9、HDR10 ●本編音声:日本語ドルビーアトモス

戦場のど真ん中に叩きこまれる震撼のリアリティ

アムロとシャアの最後の戦いから12年後、腐敗した地球連邦政府への抵抗運動のリーダーとなった、かつてのホワイトベース艦長ブライトの息子・ハサウェイの戦いを描いた作品です。本作の白眉はCH8、夜間のモビルスーツ空襲です。暗い市街を染め上げる激しい爆炎とビーム、リアルな距離感と移動感で音場頭上から迫るモビルスーツ群、HDRによる光の演出と臨場感満点のドルビーアトモス音響が、観る者を戦場のど真ん中に叩き込みます。そしてCH15では満を持してΞ(クスィー)ガンダムが登場。敵モビルスーツ・ペーネロペーとの空中戦では、巨体とビームの光が闇を切り裂き、目にも留まらぬ速さでドルビーアトモス音場によって飛翔します。震撼すべきこのリアリティ、まさにネクストレベルです。

  • ©創通・サンライズ
  • 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』画質/音質傾向

『最後の決闘裁判』

  • 『最後の決闘裁判』
    ¥6,930(税込) 
    ウォルト・ディズニー・ジャパン
    VWBS7312
    ●制作:2021年/米 ●本編映像:153分、スコープ、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD+ 7.1ch

鈍い光沢から暗部まで確かなディテールと階調表現

舞台は中世フランス、騎士の妻マルグリットが、夫の旧友に凌辱されたと訴えるのが物語の始まりです。その真実の行方は、夫と被告による生死をかけた「決闘裁判」に委ねられます。巨匠リドリー・スコットが実話を基に描く『羅生門』を彷彿とさせる濃密な人間ドラマ。青黒くズシリと沈んだ4K/HDR映像。その暗部には微かな、しかし確かなディテールと階調が描出されています。使い込まれた甲冑や剣の鈍い光沢、貴族がまとう豪奢な衣服など、目を凝らすほどに情報が浮かび上がるようです。まるで真実が見えそうで見ない、本作の物語そのもの。ドルビーアトモス音響もヘヴィ級です。凄惨な合戦シーンや決闘裁判シーンでは、四方から重い剣の鍔迫り合いや鎧の軋み、阿鼻叫喚が迫ります。だが本作の白眉は生々しく響く肉声でしょうか。

  • © 2021 20th Century Studios.
    4K UHD 発売中/デジタル配信中(購入/レンタル)
  • 『最後の決闘裁判』画質/音質傾向

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』

  • 『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』
    ¥7,990(税込)
    ワーナー・ブラザーズ
    1000808108
    ●制作:2021年/米 ●本編映像:132分、IMAX、HDR10+/ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch

独特の映像トーン&銃撃音が飛び交う音場はド派手

DCコミックの同名作品を、何とライバルMCUの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督が新たに映画化。人類最大の脅威である極秘「怪獣」計画に、全員終身刑のヤバい悪党たちが立ち向かいます。6K撮影/4K DIマスターからの4K UHD BD化で、画面サイズはIMAX準拠の1:1.90。70年代映画のような独特の映像トーンが楽しませてくれます。とはいえさすがは4K/ドルビービジョン、画面の隅々までディテールが実にシャープです。HDR効果はサーチライトや爆炎などの描写に優れており、ドルビーアトモス音響もド派手です。銃撃音が音場を飛び交う冒頭の上陸作戦から、重低音が近隣家屋を揺るがす終盤の怪獣スペクタクルまで、身の危険を全編で感じるレベル!

  • DC LOGO, SUICIDE SQUAD and all related characters and elements TM & © DC. The Suicide Squad © 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
  • 『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』画質/音質傾向

『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』

  • 『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
    ¥8,980(税込)
    ワーナー・ブラザーズ
    1000802665
    ●制作:2021年/米 ●本編映像:142分、スタンダード、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch

超弩級の精細感と高密度で驚くほどの立体感に

宇宙から襲来する強大な敵・ステッペンウルフの脅威に立ち向かうべく、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンたちDCヒーローズが結集します。2017年の劇場公開版に40箇所以上の追加・変更を加えた4時間の新版は、敵味方を問わずキャラクターたちの背景が深掘りされ、物語の重厚感が各段に増していました。映像面も同様に進化しています。左右に黒味の付いた1:1.33サイズの映像は、超弩級の精細感と高密度。被写界深度の浅い奥行き豊かなカットが連続する、驚くほど立体的な映像です。銀残しを思わせる彩度を抑えた色彩や、コミックを思わせる誇張された光と影のコントラストも、全編でヒリつく緊迫感を醸し出します。そしてラスト24分間の最終決戦は4K/HDR&ドルビーアトモスのショーケースです!

  • JUSTICE LEAGUE and all related characters and elements and trademarks of and © DC. Zack Snyder’s Justice League © 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
  • 『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』画質/音質傾向

『ソウルフル・ワールド』

  • 『ソウルフル・ワールド』
    ¥6,930(税込)
    ウォルト・ディズニー・ジャパン
    VWAS7195
    ●制作:2020年/米 ●本編映像:約100分、スコープ、HDR10/ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビービジョン、日本語DD+ 7.1ch

柔らかな立体感と実景かと見紛う表現に舌を巻く

ジャズピアニストに憧れて幾星霜、遂にその夢が叶った直後、ジョーはマンホールに落ちて「魂の世界」に迷い込み…。現世に帰還せんとする冒険を通じて「生きることの意味」を優しく見つめる、これはピクサーの大傑作でしょう。画質も音質もピクサー作品史上最高のクオリティです。デフォルメされたキャラクターたち、そのナチュラルで柔らかな立体感も素晴らしく、衣服や楽器のあまりにも緻密な質感、実景かと見紛う光差す街並みには思わず舌を巻きます。「魂の世界」の描写も、光と闇の切れ味鋭いハイコントラストに、HDRならではの凄みがありました。ドルビーアトモス音響は、何よりジャズクラブのライブ感がリアルで背筋がゾクゾクするほどです。派手さよりも環境音やセリフの響きの丁寧な演出が光ります。

  • © 2022 Disney/Pixar
    4K UHD 発売中/デジタル配信中(購入/レンタル)
  • 『ソウルフル・ワールド』画質/音質傾向

<後編に続く>