4K Ultra HDブルーレイの注目タイトルを、プロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回は、現在発売中の映画『ヴェノム：ザ・ラストダンス』、『セブン』、『パリ、テキサス』の3タイトルを取り上げます。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックしました。
CONTENTS
・『ヴェノム：ザ・ラストダンス』
・全チャンネルをフルに使ったダイナミックなサラウンド
・『セブン』
・隠された映像パフォーマンスが4K HDRで顕現
・『パリ、テキサス』
・オリジナルネガの4Kスキャンで、名作の映像美が蘇る
『ヴェノム：ザ・ラストダンス』
- 『ヴェノム：ザ・ラストダンス』
￥7,590（税込）
SPUF-1026
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント／ハピネット・メディアマーケティング
●製作：2024年／米 ●ジャンル：洋画アクション ●本編ディスク：109分、スコープ、ドルビービジョン ●本編音声：英語ドルビーアトモス、日本語DTS-HDマスターオーディオ5.1ch、バリアフリー日本語音声ガイドドルビーデジタル5.1ch ●字幕：英語、日本語、日本語吹替用、バリアフリー日本語
© 2024 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved. MARVEL and all related character names: © & ™ 2025 MARVEL.
●ストーリー
『スパイダーマン』のヴィランとして登場したダークヒーローの単独主演映画第3弾。宇宙の支配を企むヌルは、ダークパワーを解放するコーデックスを手中にしつつあった。第一の標的は地球。ハイブリッド生命体ヴェノムのエディ・ブロックがそれに立ちはだかる。
- ●監督：ケリー・マーセル ●出演：トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー ●特典：※同梱のBDに収録／NGシーン、混沌の創造主：脚本家から監督へ、解き放たれたヴェノム：アクションとスタント、仲間が語るトム・ハーディ、ヴェノムを支える実力者たちほか
© 2024 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved. MARVEL and all related character names: © & ™ 2025 MARVEL.
全チャンネルをフルに使ったダイナミックなサラウンド
SPEダークヒーロー映画らしいクリアで硬質なルックとニュートラルなカラーバランスが特徴です。高画質ですが暗いシーンが多く、ディスプレイの暗部階調が試されます。サウンドデザインも工夫が凝らされ、CH2最初のエディ→ヴェノム変身から全ch（チャンネル）をフルに使ったダイナミックなアクション描写が楽しめます。
全編に見せ場、聴きどころがバランスよく配され、CH4旅客機上のデスマシーンとの攻防、CH6川中でのシンビオート、特殊部隊との三つ巴の攻防、CH13／15クライマックス、エリア51でのシンビオート軍の総力戦は閃光が炸裂し、HDR10の効果が発揮されます。ヴェノムの「つぶやき」にAVアンプのスピーカーマッピングと低音の再現力が試されます。（大橋伸太郎）
- アクションシーンは、HDR10とイマーシブがダイナミックに効果を発揮！
© 2024 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved. MARVEL and all related character names: © & ™ 2025 MARVEL.
- 『ヴェノム：ザ・ラストダンス』画質／音質傾向
『セブン』
- 『セブン』
￥7,480（税込）
1000842766
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント／NBC ユニバーサル・エンターテイメント
●製作：1995年／米 ●ジャンル：洋画サスペンス ●本編ディスク：127分、スコープ、HDR10 ●本編音声：英語DTS-HDマスターオーディオ5.1ch、日本語ドルビーデジタル2.0ch、日本語ドルビーデジタル1.0ch ●字幕：英語、日本語
Seven© 1995 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
© 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
●ストーリー
定年退職を目前に控え、殺人課刑事サマセットは当世風のおしゃべりな新米刑事ミルズとコンビを組むハメに。所轄で連続殺人事件が発生。死体の傍らに「飽食」「怠惰」の血文字が。「七つの大罪」に因んだ犯行ならば、これからさらに5人が犠牲になるはずだ…。
- ●監督：デビッド・フィンチャー ●出演：ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン ●特典：デビッド・フィンチャー、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、その他の映画関係者による4つの音声解説、未公開映像集、もうひとつのエンディング、プロダクション・デザイン、スチール・コレクションほか
Seven© 1995 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
© 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
隠された映像パフォーマンスが4K HDRで顕現
映画のルックというものの見事な例。美の域に高められた黒表現があります。モノクロで撮影する選択肢もあったでしょうが、理想や神性を象徴する青、平安の緑といった特定の色の不在が一つの世界観を作っています。
映画の前半は空を映さず、終盤CH34で刑事の仰ぐ濁った空に神はいません。CH9夜の図書館で犯人の心の暗黒に踏み入れていくと調和と平安を象徴する「G線上のアリア」が背景に流れ、映像と音楽の対位法的使用の好例。CH17容疑者のアパートにSWATが踏み込むシーンで、劇伴とサラウンドが最高潮に達します。CH22雨中の追跡劇はダークな映像美学が集約され、全編の白眉。もし本作が苦手でも、高画質な有機ELやミニLEDテレビをお持ちなら、見なければ一生の不覚と申せましょう。（大橋伸太郎）
- もはや美の域に達する黒の表現。高画質な有機EL・ミニLEDテレビのユーザーなら必見！
Seven© 1995 New Line Productions, Inc. All rights reserved.
© 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
- 『セブン』画質／音質傾向
『パリ、テキサス』
- 『パリ、テキサス』
￥6,600（税込）
TCBD-1682
TCエンタテインメント
●製作：1984年／西独・仏 ●ジャンル：洋画ドラマ ●本編ディスク：146分、ビスタ、ドルビービジョン ●本編音声：英語＆スペイン語リニアPCM2.0ch（96KHz）、英語＆スペイン語リニアPCM5.1ch（48KHz） ●字幕：日本語
© 1984 Road Movies Filmproduktion – Argos Films
Courtesy of Wim Wenders Stiftung – Argos Films
●ストーリー
蒸発したきり4年間、消息不明だった兄が見つかった報せを受け、ロスに連れ帰った弟。息子と再会を果たし、兄は徐々に記憶を取り戻していく。自分から去った妻、息子と暮らそうとテキサス州パリスに買った土地を探して彷徨っていたのだ。
- ●監督：ヴィム・ヴェンダー ●出演：ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー ●特典：ヴェンダース監督本編コメンタリー、解説リーフレット
© 1984 Road Movies Filmproduktion – Argos Films
Courtesy of Wim Wenders Stiftung – Argos Films
オリジナルネガの4Kスキャンで、名作の映像美が蘇る
ロードムービーの実景感覚にドルビービジョンの明暗効果が寄与、観る者はいつしかアメリカ中西部の荒野に身を置いています。その効果は明るいシーンだけでありません。CH4／5ロスの弟夫婦宅の室内シーンや、CH11覗き部屋での妻との対話のしっとりと深みのある暗部階調にワイドレンジが活かされています。
音質の進境も著しく、96Kステレオと48K 5.1chの2種のPCM音声を収録。CH5、8ミリ映画をみなで見つめる名シーンのライ・クーダーのスライドギターが重量感を湛えて深々と響きます。さて、小津ファンで知られるヴェンダース監督、とりわけ『浮草』（1959）のファンなのでは。印象的な赤の配し方や元夫婦の対話、再び旅立つ主人公と共通点が多く、興味があればぜひ。（大橋伸太郎）
- 明るい荒野のみならず、しっとり暗いシーンの暗部階調にもワイドレンジが活かされています
© 1984 Road Movies Filmproduktion – Argos Films
Courtesy of Wim Wenders Stiftung – Argos Films
- 『パリ、テキサス』画質／音質傾向
オーディオビジュアル総合誌
ホームシアターファイル
