スピーカーと壁が近いとピンチ!
音楽を聴いたとき、2本のスピーカーの中央から聞こえるはずのボーカルが散漫になりフラフラと移動します。こうした症状は、スピーカーから放たれた音と、壁で反射した音とが入り交じり、音色が変化することで起きます。特にスピーカーに一番近い壁の反射音(1次反射音)はエネルギーが大きく、この壁の対策が重要です。
- 壁は音を反射するので、まるで反対側にスピーカーがあるのと同じ!
- スピーカーをコーナーぴったりに設置することは、音質面を考えるとNG。音響障害が起きやすい。
音質改善テクニックその1>>>「高音がキンキンする」対策は?
スピーカー横の壁に「調音パネル」を置いてみよう
音はまるで鏡のように反射するものです。そのためホームシアタールームには反射音が無数に生まれますが、その根源である最初の反射面の音を消せる「吸音パネル」か、あるいはボヤケさせる「拡散材」も効果的です。また、サラウンドサウンドの中でも特に音の情報量が多い、フロントスピーカー周りのケアが重要で、トールボーイを対策できるように調音材も、比較的大きい方が好ましいです。
一方でホームシアターの場合は、スクリーン脇にスピーカーを置くことが多く、調音材を設置するスペースも窮屈です。そのためヤマハの「TCH」、「ACP-2」のように薄型かつ壁付け設置もできるタイプだと便利です。1次反射音は、音のエネルギーが大きいので、吸音特性はできるだけ偏りがなくフラットの方が音質的にも有利に働きます。
- スピーカー裏にも置ける薄さで高い効果
調音パネル
YAMAHA
「TCH」
¥30,000(税抜/1枚)
SPEC ●外形寸法:600W×900H×28Dmm●質量:約4.3kg
お問い合わせ:ヤマハ TEL:0570-055-808
「ぼわぼわボーカルの対策方法」
設置手順①〜姿見を使って反射面を探す
- 姿見を使い、スピーカーの側壁側から少しずつ動かしましょう。視聴位置からユニットが見えるところが1次反射面。2人で作業しましょう。
設置手順②〜ユニットが見えた位置に調音材を置くだけ
- 1次反射面がわかれば、あとはそこに調音材を置くだけ。設置場所は、高音が放射されるトゥイーターをカバーできる高さに揃えるとベターです。
天井にも音の反射面がある
- 当たり前ですが、音は360度に広がるもの。スピーカーのユニットから出た音は、側壁だけではなく天井でも、もちろん反射します。写真は鏡を天井にあて、1次反射面の場所を探った様子。DAIKENの取り扱う建材の中には「オトテン」という吸音できる天井もあるくらい重要な場所です。反対に、フローリング床なども壁面と同じに音を反射させるポイントです。こちらは毛足の長いラグなどを敷いて対策しましょう。
<0円でもOK!>スピーカーを動かす!
スペースに余裕があれば、スピーカーを壁面から離すだけでも効果があります。ただ1mくらいは遠ざけた方が好ましく、専用室なら是非チャレンジしてください。一方で、1次反射のポイントに、本棚などを置いても、幾分ながら、拡散や吸収効果が期待できます。例えば、視聴位置の後方にソフトラックを設ければ、利便性と音質の面でメリットを享受できるでしょう。
- 壁から離れれば力も弱まります。
音質改善テクニックその3>>>「低音がブーブー聴こえる」対策は?
音質改善テクニックその1>>>「高音がキンキンする」対策は?
※この記事はホームシアターファイルVOL.79の特集「いい音大作戦」をもとに制作されています。