VGP phileweb

実例

  • インストーラーが手がけた実例集 ホームシアターは狭くてもできる!6畳100インチを実現した3つの事例 アイデア次第で、壁は乗り越えられる

    取材・執筆 / ホームシアターCHANNEL編集部
    2023年5月31日更新

6畳あればホームシアターはできる!

ホームシアターというと、広々とした部屋を想像する方も多くいらっしゃるではないでしょうか? しかし、プロが工夫を凝らせば、6畳ほどのスペースでもホームシアターを作ることができます。それどころか100インチの大画面も導入可能で、本格的な「映画館のある家」も夢ではありません。

注意すべき点は大きく2つあります。100インチがおさまる壁面積の確保と、プロジェクターの投写距離です。

100インチはヨコ約2.3m、タテ約1.3mのサイズ。一般的な6畳間は短辺が2.7mで、天井高が2.4mくらいですから、スクリーンの機構やスピーカーのレイアウトに注意しなければなりません。

次に、一般的なプロジェクターで100インチの大画面を投影するためには、約3mほどの投写距離が必要です。一般的な6畳間の長辺は3.6mほど。つまり、機種選びやレイアウトに工夫が必要になります。最近増えてきた「超短焦点プロジェクター」を使えば、数十センチの距離から100インチの大画面を投写することもできます。

今回は、この2点を見事に解決し、6畳間に100インチの大画面をインストールしたホームシアターの実例を3つご紹介します。

  • 一般的な6畳間の図。
  • 写真上/100インチのスクリーンサイズ。
    写真下/プロジェクターが100インチの画面を投影するのに最低限必要な距離。機種によって違いがあるのでご注意ください。

超短焦点プロジェクターを紹介した記事はこちら>>>テレビのように使える!エプソン4K超短焦点プロジェクター

的確なチョイスとレイアウトで6畳に100インチを実現

1つめは、的確な機器選びとレイアウトの工夫が効果をあげている専用室シアターです。すっきりとした6畳間ですが画面は100インチ。6畳あれば本格ホームシアターがつくれることを証明した好例です。

プロジェクターはソニーの「VPL-HW35ES」。室内に設置すると90インチが限界でした。どうしても100インチを投写しようと、視聴位置後方の収納を可動棚付きマシンセクションに改良。投写距離を確保すると同時に、今後のプロジェクターの買い替えにも対応できるスペースになっています。スクリーンは張り込み式を選択。張り込み式は壁にピッタリくっつけられる機構であるため、投写距離を稼ぐことができます。こうして、すっきりとした6畳間に100インチ大画面のシアタールームが完成しました。

  • ホームシアターはオーナーの念願だったそう。6畳間の短辺の壁一面にオーエスのスクリーン「PA-100H-01(WG)」を張り込んで100インチを実現しています。
  • プロジェクターはソニーの「VPL-HW35ES」を選択。
    100インチを投写するために視聴位置後方に設置を予定していた収納部を、可動棚を取り付けたマシンセクションに改良。プロジェクターの吸気と排気のクリアランスも確保しています。

HOMETHEATER DATA

●住宅形態:戸建/新築 ●家族構成:夫婦+子ども1人 ●ホームシアターの広さ:6畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:5.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、音響調整 ほか

SYSTEM LIST

●プロジェクター:ソニー VPL-HW35ES ●スクリーン:オーエス PA-100H-01(WG) ●ブルーレイレコーダー:ソニー BDZ-EW520 ●AVアンプ:デノン AVR-X4200W ●フロントスピーカー:Monitor Audio Bronze 5 ●センタースピーカー:Monitor Audio Bronze Centre ●リアスピーカー:Monitor Audio Bronze FX ●サブウーファー:イクリプス TD316SWMK2 ●調音パネル:サウンドスフィア PYRAMID ●IRコントロールキット:SpeakerCraft IRC-3.0KIT

この物件を詳しく紹介した記事はこちら>>>専用室シアターCASE1「狭小6畳間で100インチ」

大画面とライブラリー収納を両立した6畳間

2つめは、6畳間に100インチの大画面に加え、オーナーの豊富なソフトライブラリーを魅せる収納棚を実現したシアタールーム。スクリーン裏というデッドスペースをうまく活用し、6畳間に大画面と収納を両立させた見事な実例です。

ライブラリー収納と大画面を両立させるため、スクリーン裏の壁に収納棚を造作。豊富なコレクションがすっきりとおさまっています。またスピーカーは、フロア型ではなくイクリプス「TD508MK3」の天吊りを選択。そうすることで、壁面積をいっぱいまで画面に活用でき、100インチスクリーンの設置が可能になりました。プロジェクターはJVC「DLA-X75R」。100インチに必要な投写距離がこの部屋ではギリギリだったため、壁を掘り込んで設置。十分な投写距離を確保しました。限られた空間を見事に活用した実例です。

  • 「できるだけ大画面を入れたい」というオーナーの想いを、インストーラーの工夫によって実現しました。投写距離や壁面積の問題に加え、コレクションの収納も解決しています。
  • スクリーン裏の壁いっぱいに広がるオーナーのコレクション。ライブラリーの多数を占めるDVDを基準に奥行きを決め、家具を設計しました。またフロントとセンターを含めた7chぶんのスピーカーすべてを天吊りにし、オーエスのスクリーン「SEP-100HM-MRW2(WF203)」を壁面積ギリギリまで広げています。
  • 視聴室後方の様子。100インチの投写距離は最短でも約3.01m、筐体の奥行きを含めると、長辺3.64mのこの部屋ではギリギリです。隣のトイレの天井を少し低くし、そのぶんのスペースを掘り込むことで、プロジェクターの投写距離を確保しました。

SYSTEM LIST

●プロジェクター:JVC DLA-X75R ●スクリーン:オーエス SEP-100HM-MRW2(WF203) ●ブルーレイプレーヤー:OPPO Digital BDP-105 ●ブルーレイレコーダー:パナソニック DMR-BZT750 ●AVアンプ:パイオニア SC-LX57 ●フロントスピーカー:イクリプス TD508MK3 ●センタースピーカー: イクリプス TD508MK3 ●サラウンドスピーカー: イクリプス TD508MK3 ●サラウンドバックスピーカー: イクリプス TD508MK3 ●サブウーファー:B&W ASW608 ●壁面収納家具:AV BOXオリジナル

HOMETHEATER DATA

●住宅形態:戸建/新築. ●家族構成:夫婦+子ども2人 ●ホームシアターの広さ:約6畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:7.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、造作家具製作(家具メーカーとコラボ) ほか

この実例の詳しい紹介はホームシアターファイルvol.73(p24-27)に掲載されています。

6畳にドルビーアトモスも実現した妥協のない本格シアター

3つめは、短辺2.6m、長辺4.4mという細長い6畳間。ここには100インチの大画面に加え、なんとドルビーアトモス環境までインストールされています。オーナーの情熱とインストーラーの創意工夫が生んだ本格ホームシアターの実例です。

プロジェクターはソニーの4Kモデル「VPL-VW500ES」。4K100インチの映像を、投写距離約3.05mで実現できるモデルです。フロントスピーカーはキャバスの「EOLE3」を壁掛け。壁の幅ギリギリまで画面を広げることができ、100インチスクリーンの設置を可能にしています。さらに100インチだけでなく、7.1.4 chのドルビーアトモスも実現。サラウンドスピーカーを壁掛け、トップスピーカーを天吊りにすることで高低差を演出しており、音の臨場感にも妥協はありません。感動体験のクオリティに、部屋の広さは関係ないのです!

  • 6畳に100インチのみならず、ドルビーアトモスまで実現したシアタールーム。機器レイアウトの工夫が光ります。
  • フロントスピーカーはキャバスの「EOLE3」を壁掛けにすることで、壁面積いっぱいを活用してキクチのスクリーン「Stylist E」100インチを設置。このケースの幅は約2.5mなので、部屋の横幅約2.6mに設置するには、ギリギリの寸法だったことがわかります。
  • 写真上/視聴室後方の様子。キャバスの「ALCYONE2」をサラウンドスピーカーを壁掛け、トップスピーカーを天吊りにすることで高低差をつけています。
    写真下/プロジェクターはソニーの4Kモデル「VPL-VW500ES」。4Kの解像度あふれる100インチ映像を、投写距離約3.05mで実現できるモデルです。

HOMETHATER DATA

●住宅形態:戸建/新築 ●ホームシアターの場所:専用室 ●部屋の広さ:約6畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:7.1.4ch

SYSTEM LIST

●プロジェクター:ソニー VPL-VW500ES ●スクリーン:キクチ SE-100HD-WAC/K ●プラズマテレビ:パナソニック TH-P55GT5 ●ブルーレイレコーダー:パナソニック DMR-BZT820 ●AVアンプ:インテグラ DTR-60.6 ●AVアンプ:インテグラ ADM-30.1 ●フロントスピーカー:Cabasse EOLE3 ●センタースピーカー:Cabasse EOLE3 ●サラウンドスピーカー:Cabasse ALCYONE2 ●サラウンドバックスピーカー:Cabasse ALCYONE2 ●トップスピーカー:Cabasse ALCYONE2 ●サブウーファー:オンキヨー SL-D501 ●音響調整パネル:SOUND SPHERE TL1350 ●調音材:ダイケン クリアトーン ●調光装置:コイズミ照明 ライトコントローラー

この物件を詳しく紹介した記事はこちら>>>専用室シアターCASE16「吹き抜けロフトを映画に没入できる空間に」