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実例

  • 専用室シアターCASE19
    楽器演奏可能な防音室へとフルリノベーション
    オーディオルームも兼ねたブルックリンスタイルの空間

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2021年9月22日更新

シアターとヴィンテージオーディオを兼備

なんという遊び心に溢れた部屋でしょうか。ブルックリンスタイルの重厚な空間と調和するシアターとヴィンテージオーディオ。バンドマンであることを物語るギターやギターアンプ。この部屋はそんな音楽をこよなく愛する施主のセンスが光る「男の城」と呼べる空間です。

オーナーの佐々木さんは、60歳という人生の大きな転機を迎えて、これまで子育てを重視してできなかった「音楽」という自分の趣味に没頭できる部屋をつくりたいと願ったといいます。その際にターゲットとなったのは空き部屋になった子供部屋。物置になっているのはもったいないと、防音工事も含めたホームシアター・リノベーションを行ったのです。

  • ロフトがある子ども部屋だったので、天井は非常に高いです。斜め天井にもなっており、最上部にはDAIKENの天井材「オトテン」を使い、音の響きを調整しています。壁紙などにエイジング処理を施すなど内装は佐々木さんが自分で行ったそうです!
  • 視聴位置後方の様子。こちらにはギターなど、楽器演奏のためのブースになっています。
  • 内窓を使った二重サッシにして窓の遮音性能を高めています。入り口のドアも防音仕様です。

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映画ファンも満足の4K/100インチ

ホームシアターをインストールしたのは山口の名店サウンドテックの好田氏です。当初はオーディオの相談で足を運んだといいますが、話が広がり施工が伴うタイミングにあわせてシアターの導入も一緒に行うことにしたといいます。スクリーンは電動100インチ。プロジェクターは4K対応のJVC「LX-NZ3」を選択。斜め天井からの投写では画面が歪むため、梁を活用して設置しました。サラウンドは穴を開けて防音室の遮音性能を下げないように天吊り設置。イクリプス「TD508MK3」を合計5本使った5.1ch構成です。

  • プロジェクター「LX-NZ3」は、構造的に必要になる梁に設置していますが、ケーブルはカバーされており、できるだけ目立たないようにしています。サウンドテックの好田氏のアイデアが冴え渡ります。
  • フロントとセンタースピーカーはイクリプス「TD508MK3」を設置。天井が斜めですが、スピーカーの角度を変更できる508だから、視聴位置にユニットを向けてより定位感が出るように調整されています。
  • スクリーンは天吊り設置が難しかったため、窓枠のぶん壁から離して設置。

防音室でヴィンテージスピーカーを堪能

一方、フロアにもスピーカーが置いてありますが、こちらはステレオ再生用。メインはJBLのヴィンテージスピーカー「S101」で、もう何十年も前に製造されたものだといいます。佐々木さんは音が出ない状態で入手して、なんと自分で修理して使っているお気に入りの1台です。「12年くらい前、リビングシアターをつくったのですが、こちらは家族で楽しむことを重視したので、自分の好きなアーティストを大きな音で聴くのはちょっと憚られます。なので、もったいないですが、ヘッドホンを使っていた時期もありました。そこで今回は防音室にしたかったんです。時間も音量も気兼ねせずに、映画の世界に入り込めるのはいいですね」と、佐々木さん。好きなコンテンツは戦争ものというから、さぞかしド迫力のサウンドで楽しんでいることでしょう!

時期的にたくさんの人を招くことは自粛していますが、庭にはピザ窯があるなど、佐々木邸はもともと音楽好きの仲間たちが集まる家でもあります。防音室ができたから、奥様からはカラオケに使いたいな、という声が上がり、ご主人はバンド活動を再開して同僚とセッションしたい! など様々な使い方を計画しています。ホームシアターで暮らしが変わる。そんなシアターリノベーションのお手本のような暮らしが、ここ佐々木邸にありました。

  • レコードをゆっくり楽しむのも、この部屋をつくった目的の一つ。レコードプレーヤーはLINN「LP12」。ジャズを聴くときは決まってレコードをJBLのスピーカーで鳴らすといいます。ちなみに写真のレコードはエラとサッチモの名盤「Ella & Louis」。
  • ステレオ用に使うヴィンテージスピーカー。左はJBL「S101」。右は佐々木さんが自作したブックシェルフ! DIYとは思えぬ仕上がりですが、キャビネットの塗りや磨きにもこだわった自慢のスピーカーです。
  • スピーカーの隣には、これまで佐々木さんが集めてきたステレオ用のアンプ達がずらりと並びます。マッキントッシュのデザインが好みということもあり、メカメカしさを全面に出しているレイアウトです。
  • 約12年前につくったリビングシアター。防音室ができてからは、こちらは主に奥様が映画を観るのに使っているそう!
  • インストールを手がけたサウンドテックの好田和幸氏。

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佐々木邸ホームシアター概要

ROOM DATA
●住宅形態:戸建/リフォーム ●家族構成:夫婦 ●ホームシアターの広さ:10畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:5.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:JVC LX-NZ3 ●スクリーン:GRANDVIEW GEA-100HDW ●Ultra HDブルーレイプレーヤー:ソニー UBP-X800 ●AVアンプ:デノン AVR-X1600H ●ステレオプリアンプ:McIntosh C29 ●ステレオパワーアンプ:McIntosh MC2255 ●ステレオ真空管アンプ:McIntosh MC275 ●フロントスピーカー:イクリプス TD508MK3 ●センタースピーカー:イクリプス TD508MK3 ●リアスピーカー:イクリプス TD508MK3 ●サブウーファー:audio pro SUB ALLROOM

INSTALL SHOP
サウンドテック
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TEL:0835-21-5555
営業時間:10:00〜18:00
定休日:水曜日、第1・第3火曜日
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