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  • 家づくりのプロに聞いた!
    「秘密基地のある家」とは?
    旭化成ホームズが提案する趣味空間のある住宅トレンド

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2021年8月25日更新

ニューノーマル時代に求められる“遊びの場”

ステイホームが当たり前となり、暮らしは大きく変わりましたが、多くの人たちが家の中に「ゆとり」を求めるようになったといいます。ここでは旭化成ホームズの根本氏、柏木氏に今の住宅トレンドやどのように趣味空間をつくればよいかアイデアを伺いました。

  • お話を伺った方
    写真左/旭化成ホームズ株式会社 くらしノベーション研究所
    根本 由美氏
    写真右/旭化成ホームズ株式会社 くらしノベーション研究所
    柏木 雄介氏

男の子なら多くが憧れたであろう「秘密基地」。子どもの頃、クローゼットのような狭くてちょっぴり暗くなる空間に潜り込むと、不思議と心地よさを感じたものです。ただそんな幼心は大人になるといつしか忘れ、家づくりをする時には、遊び心よりも利便性を重視。採光や通風、断熱といった住まいの機能を重視するようになります。これはとても大切なことですが、ニューノーマル時代の今、実は遊び心のある「秘密基地」のような場所が求められているといいます。

そう教えてくれたのは、旭化成ホームズ くらしノベーション研究所の根本由美氏と柏木雄介氏です。同社が展開する「ヘーベルハウス」はいちはやく二世帯住宅を生み出すなど、〝暮らしの現場〟を常に研究し、その時代にあった住まいのカタチを提案し続けています。そんな住宅のプロ達がいまこそ秘密基地、つまりリラックスできる空間が大切だと語るのは、住まいに求められるモノやコトが大きく変化したからだといいます。

  • リビングに心地よい自然をプラスする「OUTDOOR LIVING」。屋上やバルコニー、中庭など、プライバシーが確保された屋外空間とリビングとをつなぎ、空やグリーンを感じられる心地よい空間設計が魅力のライフスタイルプランです。

「ステイホームは感染症対策ではじまった暮らしですが、自分らしい働き方、家族と過ごす時間など、暮らしの原点を見直すきっかけにもなり、家の楽しさを再発見する機会にもなりました。具体的な変化としては、衛生意識の高まりやインターネットショッピングの利用拡大、ワークスペースの確保やステイホームに合った生活動線が見直されました。
その一方で、これまでは通勤をすると、電車や車の移動、会社での業務、時には同僚との懇親会など、様々なイベントがその過程で起きて気晴らしできましたが、ステイホームになると、すべて自宅で完結することになります。そのため気持ちの切り替えが難しくなったと、多くの人がその点をデメリットと感じています。つまり、オンとオフとを切り替えできる〝時間〟や〝場所〟を家につくることが、今まで以上に大切になっています」(根本氏)。

時代にフィットした「Life Design Ideas」

旭化成ホームズは、以前から「OUTDOOR LIVING」という外に開かれた家を提案し、ワクワクする気持ちを高める住まいづくりを得意としていますが、昨年、より時代にフィットした提案として「Life Design Ideas」という、暮らし方や楽しみ方を切り口にした提案をはじめています。

  • 「SOHO」や「ガレージ」「土間」「ペット」といったテーマごとに、家の機能ではなく楽しみ方や暮らし方を提案する「Life Design Ideas」シリーズ。特にガレージと土間は外と室内とをミックスした提案で、趣味の世界を広げてくれます。

「おうち時間の増加で、外に出ないと楽しめないと思っていた遊びが、意外と自宅の方が楽しいと気がついたこともあります。ホームシアターもその例で、映画館ではできませんが、子どもとお菓子を食べながら観る、または夫婦で映画についてアレコレと話しながら観ても楽しいです。Life Design Ideasでは、ワクワクする外の要素を採り込める半戸外空間に着目し、ガレージの提案もしていますが、ここは車を格納するだけでなく、おうちグランピングやバーベキューなど様々な遊びができることを訴求しています。
こうした遊べる場所をリビング以外につくると、遊びの幅が広がりますし、週末は子どもが寝た後に夫婦で映画を観る場所に使おう、など思い浮かべて生活するようになり、心にゆとりを感じやすくなります。またヘーベルハウスには『CUBIC roomy』という勾配天井を使う家がありますが、その斜めの天井に映像を写せば、ゴロリと横になって映画を楽しめます。これも映画館じゃ絶対できない家らしい楽しみ方ですよね。こうしたリビングの使い方をちょっと工夫するだけでも、気分転換になりますね」(柏木氏)。

  • 「Life Design Ideas for DOMA」の様子。土間とガレージはいずれも外のワクワクを屋内に採り込む半戸外空間ですが、土間はより室内に寄ったイメージ。ロードバイクやサーフボードのメンテナンス、ペットと過ごす場所など、水洗いできる土間だからこその楽しみ方ができます。土間だから暖炉などを置くこともできます。

ホームシアターは気持ちを切り替える“秘密基地”

秘密基地というと、籠もれる専用室をイメージする人も多いと思います。こうしたカタチを追求するのは大いにアリです。その一方で、柏木氏がいう通り、生活空間をちょっと工夫して秘密基地風に変えるアイデアも正解のひとつです。家族と共有できる遊びになりますし、手軽にはじめられるので入門者にもオススメです。

具体例を外とつながるOUTDOOR LIVINGに乗っかって紹介すると、たとえば休日の朝に、リビングとつながる中庭で朝食をとるシーン。ここに心地のよい音楽をプラスしたらどうでしょうか。もしリビングシアターがあれば、空間全体を良質なサウンドで満たすことができます。波の音を流せば、そのリアルなサウンドもあいまって気分はマリンリゾートに! やや大げさな表現になりましたが、そうした雰囲気づくりに音楽は役立ってくれるはずです。

さらに夜になれば、リモコン操作1つでスルスルとスクリーンが天井から下りてきて、プロジェクターからは大画面映像が投写されます。その瞬間、映画館ごっこのはじまりです。このように普段は暮らしの場となるLDKも、ホームシアターがあれば簡単に秘密基地っぽく変わるのです。

  • 秘密基地といったら個室という人もいるでしょうが、先述のLife Design Ideasのガレージのように、1つの用途で使うのではなくマルチプレイスとなる空間をリビング以外につくると家族の満足度も高いでしょう。ロフト収納のような、少しワクワクする場所に趣味のアイテムを集めておくのもオススメです。
  • 写真はヘーベルハウスの「CUBIC roomy」というハウスデザインの例。アイコニックかつ非対称な勾配天井をつくることで、高い天井の2階リビング、遊び心に溢れたロフトスペースを提案しています。普段の生活では何もない壁や天井に、プロジェクターで映像を写すだけで気持ちは映画館モードに!

ホームシアターは気持ちを切り替える秘密基地に最適なアイテムです。観るコンテンツも自由ですし、老若男女が楽しめ、時間や場所にも制限はありません。忙しい毎日だからこそ、ホームシアターでゆとりの時間をつくってください。