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ガイド

  • 日本発のラグジュアリーな「リビングシアター」家具
    「CONTATTO(コンタット)」
    瀬戸内とイタリアの感性を融合

    取材・執筆 / 遠藤義人
    2023年12月6日更新

    • ホームシアター・コンシェルジュ
      遠藤義人

日本らしくて、しかも世界で認知されているラグジュアリーな国産家具はなかなかありません。これまで贅沢なリビングシアターをたくさん取材させていただきましたが、イタリアを中心にした海外ブランドのソファがリビングの中心に据えられ、インテリアもそれに釣り合うような海外の個性的な収納やテーブル、ダイニング、キッチンブランド品でコーディネートされている例が多かった印象です。

このたび、それらに引けを取らないラグジュアリーな家具ブランドが、岡山のAKASEからローンチされました。2019年からプロジェクトがスタート、満を持して2023年9月30日に正式発売された「CONTATTO(コンタット)」です。

GERVASONIのあるブティックに展示

「CONTATTO」は、地下2階にありながら吹き抜けが開放感を演出しているインテリアショップ「マスターウォール 銀座本店 ブティック」で目撃しました。AKASEが2022年末より輸入代理店をはじめたイタリアの高級家具ブランド「GERVASONI(ジェルバゾーニ)」と呼応するように展示されていますが、見事に馴染んでいます。

  • 写真手前がGERVASONI、奥がCONTATTO。
  • CONTATTO
    瀬戸内エリア発の家具メーカーAKASEとミラノ在住デザイナーOMI TAHARAによるモダン・ラグジュアリーブランドです。日本とイタリアの美意識やライフスタイル、自然文化や人々。これらをつなぐ接点となることをコンセプトとしています。

ラグジュアリーなリビングを想定した場合、ホームシアターの中核をなすであろうキーアイテムは、なんといっても大画面といい音を受け止めるための、ゆったりしたソファ。「CONTATTO Sofa (コンタット ソファ)」は、継ぎ目・縫い目を意識させないエッジレスな輪郭と奥行きの広い座面が、製造元AKASEのある瀬戸内、そして海に囲まれたイタリアを連想させます。さらに、腰掛けると、まるでパン生地のようにもっちりとした他にはない座り心地。大きなバスタブに身を委ねているかのような癒やしの感覚が、時間を忘れそうな居心地を醸し出すのです。

ソファをはじめ、キャビネット、テーブルもラインアップ

「CONTATTO(コンタット)」には、この「CONTATTO Sofa (コンタット ソファ、5タイプ)」とオットマン、映画グッズなど大切なアイテムをディスプレイしたくなるショーウィンドウのような「VETRINA cabinet (ヴェトリーナ キャビネット、7タイプ)」、照明が映えるワインなどをしまいたくなる「CORNICE cabinet (コルニーチェ キャビネット、4タイプ)」、ソファに組み合わせるだけでなくテーブル同士を重ねることで棚田のような佇まいを演出できる「COMPAGNI low table (コンパーニ ローテーブル、4タイプ)」があります。

  • CONTATTO Sofa (コンタット ソファ)
    縫い目がわからない繊細な縫製。絨毯敷きよりフローリングが多い日本の住宅事情を意識して採用したT字の脚部にスタイリッシュなイタリアンテイストも感じる。
  • VETRINA cabinet (ヴェトリーナ キャビネット)
    イタリア語で「ショーウィンドウ」を意味するこのキャビネットには、ギャラリーのように自分の大切なモノをディスプレイしたい。照明のスイッチを内側に配置したり配線を柱内部に通すなど繊細な処理が施されている。

デザイナー、オミ・タハラとは

「CONTATTO」のブランディングとデザインを担ったのは、日本人デザイナーのオミ・タハラさん。独学で家具デザインを学び、デザインコンペで50カ国1,000作品の中から仏デザイン誌INTRAMUROS awardを受賞したのち2003年渡伊。ミラノのデザイン事務所に計8年勤務し、MOROSO、Living Divani、Paola Lentiなどでプロジェクト経験を積んで独立しました。これまで家具をメインにプロダクトデザイン、クリエイティブディレクターとしてブランド作りに尽力、De Padova (デパドヴァ)のソファーコレクション、バッグブランドUP TO YOU Anthologyでも活躍。Red dot award、iF design awardを含む国際デザインアワードを何度も受賞しています。

オミさんとともに本プロジェクトを担当してきたAKASEの浅野美保さんは次のように振り返ります。

「オミさんに絵はがきでラブコールを送ったのがきっかけでした。オミさんは感性の方で、イタリアで学んだラグジュアリーなテイストをベースにしつつも、瀬戸内らしさ、日本らしさをどうすれば出せるか、ブランド全体を考えてデザインしてくださいました。製品の細部や素材、パーツに至るまで繊細な気配りが効いていて、わたしたちもそれに応えるのに必死で、気づけば2019年のプロジェクト開始から4年の月日が経っていました。もっともその間、オミさんからいただいたご縁で弊社でGERVASONIを取り扱うことができたり、ソファの成形技術や縫製技術が向上したりと、本プロジェクトの貢献は計り知れません」

今後、ラグなど追加アイテムも発売予定とのこと。ラグジュアリーな「リビングシアター」のインテリアにも、イタリアの感性と繊細な日本の技術が光る製品の占める割合が増えることを期待せずにはいられません。