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  • 連載「ハウスメーカーが考える いえなかホビー」 ゆるやかにつながるのが幸せ住まい
    脱LDK発想で思い思いに趣味を!
    Vol.1「積水ハウス」のいえなかホビー

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2021年9月1日更新

家族がゆるやかにつながる心地よい大空間

家のなかで過ごす時間が増えたことで、住まいの快適さの定義が変わりつつあります。気軽に外に出歩くことが難しくなったいま、ホームシアターやオーディオをはじめとするさまざまな趣味を楽しめる住まいが、心豊かに過ごすことにつながるのではないでしょうか。そこで今回は、積水ハウスが考える“趣味を楽しめる住まい”とは何なのか、同社住生活研究所所長の河崎由美子さんと沢辺泰代さんにお話を聞いてみました。

  • 積水ハウス株式会社
    グローバルビジョンは「『わが家』を世界一幸せな場所にする」。先進技術の研究と並行して、2018年に発足された住生活研究所による「幸せ住まい」の研究を行うことで、生活の変化や多様なニーズに対応する、人生100年時代における「幸せ住まい」づくりに取り組んでいる。また、「邸別自由設計」を掲げ、250万戸以上の建築実績を誇る。
  • ●お話を伺った方
    写真左/積水ハウス株式会社 住生活研究所所長
    河崎由美子さん
    高校入学まで12年間の海外経験や子育て経験などを生かし、生活に密着した分野の研究開発に携わる。2018年に企業初となる幸せを研究する住生活研究所長に着任、2021年4月から執行役員。
    写真右/積水ハウス株式会社 住生活研究所課長
    沢辺泰代さん
    「住めば住むほど幸せ住まい」をテーマに、音のある暮らし、ペット共生、収納、ワークライフミックスなど幅広いライフスタイル研究に携わり、暮らし提案を行う。

—「住生活研究所」では「幸せ」を研究しているそうですが、この取り組みは企業としては日本初となるそうですね。

河崎氏 「はい、そうなんです。「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」というグローバルビジョンのもと、住生活研究所では、「すこやか」「つながり」「私らしさ」「生きがい」「楽しさ」「役だち」といったテーマの研究を進めています。これらは数値では測りにくい無形の価値ですが、実は住まいが提供できるものなのです。」

―具体的にどのような提案が?

沢辺氏 「本日、『Tomorrow’s Life Museum関東』で“内藤さんち。”を見ていただきましたが、これは私たちの幸せ研究成果をもとに、子育て中の一家が実際に暮らしているかのように演出したライフスタイル型モデルハウスです。住生活研究所が調査したところ、ファミリー世帯がもっとも重視する時間は「家族の団らん」が第1位で、次いで「疲れを癒しリラックス」「自分の趣味」という結果になりました。

たとえばご主人がテレビを観ている横で、娘さんはスマホやタブレットでSNSをチェックしていたり。家族全員が同じことを共有することが減ってきているのです。こうした研究成果から、一緒の空間にいながら、家族それぞれが思い思いに過ごすことができ、新しい団らんのカタチに対応できる空間が求められていると考え、提案したのが“内藤さんち。”の1階の大空間「ファミリー スイート」です。長い時間を過ごすことになるLDKを、仕切りのない大空間にすることで、家族がゆるやかにつながる心地よさを実現しています。」

  • 「Tomorrow’s Life Museum関東」内にある、「ライフスタイル型モデルハウス」のうちの1棟、“内藤さんち。”。お互いの気配を感じながら思い思いに過ごすことができる、仕切りのない大空間「ファミリー スイート」を提案しています。
  • 音楽が趣味の夫婦や息子、娘が住んでいる家をモチーフにした“内藤さんち。”。1階の見どころは、脱LDK発想の大空間「ファミリー スイート」。キッチン、ダイニングの手前にはワークスペースが設けられており、家族とほどよい距離感を保ちながら仕事に集中することができます。
  • ダイニング側から見たところ。奥にはリラックスに最適な「居心地リビング」が。家族の気配を感じながら、ちょっとした趣味や運動を楽しむことができます。

河崎氏 「従来のリビングやダイニングのように、「LDK」発想で機能をわけてしまうと、過ごし方を押し付けてしまうことになりがちです。大切なのは、その家族、その人にとって「幸せ」「快適」を追求すること。広々とした開放的な空間だから、家族それぞれが何に使ったっていいのです。ヨガや楽器演奏などを楽しんでもいい。読書してもいい。テラスでアウトドアリビングを満喫してもいい。スペースの余白があることで、家族の気配を感じながらも、趣味を気軽に楽しむことができるのです。

ポイントは居どころを感じられる仕掛けをつくることですね。たとえばリビングとダイニングの間にちょっとした仕切りや段差をつくったり、こもれるようなスペースをつくることで、それぞれのスペースで過ごす家族との間に適度な距離感が生まれ、過ごしやすくなります。」

  • 写真上/週末には家族4人でホームコンサートを楽しんでいるという設定の“内藤さんち。”。2階にはみんなで楽器を演奏できるミュージックルームを設けています。
    写真下/ミュージックルームと行き来しやすいバルコニー。ホームコンサートに招いたお客様を、外ご飯やホームバーなどでおもてなしすることができます。

団らんの心地よさを高める音楽のチカラ

―大きな音が出るホームシアターやオーディオは、「一緒の空間にいながら思い思いに過ごす」ことと共存しにくいように感じたのですが…。

沢辺氏 「ホームシアターやオーディオが共存しにくいということはありませんよ。住生活研究所が行ったアンケート調査(図1)では、住まいで音楽を聴いている人の約9割がLDKで音楽を聴いているという結果がわかったほどです。また、その聴き方を尋ねると、約7割がほかのことをしながら聴くと答えているんです。こうしたニーズを踏まえ、“内藤さんち。”ではファミリー スイートの4箇所にヤマハのワイヤレスストリーミングスピーカーを設置し、家族が好きなクラシック音楽をBGMとして流す提案をしています。」

河崎氏 「音楽には耳障りな雑音などを緩和するマスキング効果があるといわれているんです。心地よさを感じる要素は、外とのつながり、照明などさまざまありますが、音楽もひとつの要素なんですよ。」

  • 図1/積水ハウス住生活研究所で実施した「音楽のある暮らし2019年」調査では、住まいで音楽を聴いている人の約9割が、LDKで音楽を聴いているという結果が得られました。同調査では、YouTubeなどの動画サイトなどの音楽をBGMにし、食後にくつろいだり、家事をしていることがわかっているといいます。
    図2/「音楽の楽しみ方」によると、7割の人がほかのことをしながら聴くことが多いという結果が得られました。じっくり音楽を聴くという従来の鑑賞スタイルも残っていますが、BGMを流しながら、何かほかのことをしている様子がうかがえるといいます。
  • ヤマハ独自のワイヤレスネットワーク機能「MusicCast」に対応したスピーカーが室内の4箇所にさりげなく設置されており、心地よいクラシック音楽に包まれるようにBGMが流れます。
  • 大学に教授として勤務する外国人男性と翻訳家の妻が暮らす建物を想定した“ガブリエルさんち。”。1階のリビングにはガブリエルさんがこよなく愛するヴィンテージオーディオを設置。従来のリビングの概念にとらわれず、オーナーがもっとも幸せを感じられるモノ、趣味などのアイテムをリビングに据えているのが、ある意味で「脱LDK発想」です。
  • スピーカーはタンノイ製。ラックスマンの真空管プリメインアンプ、レコードプレーヤー、CDプレーヤーなどが置かれ、温かみのある柔らかな音色を堪能できます。

家飲みやスポーツも大画面で楽しさUP

―モデルハウス“山本さんち。”では、テレビシアターもありましたが、どういう意図が込められているのですか。

沢辺氏 「住生活研究所で行った調査(図3)によると、多くの方がこのコロナ禍で動画を観はじめたことがわかりました。動画鑑賞のニーズは今後も増えるだろうと考え、家飲み空間とテレビシアターを組み合わせた提案をしました。“山本さんち。”はシニア夫婦の住まいを想定しているのですが、特別な映像ではなくても、思い出やペットの動画などを観ながらお酒を飲むことで、夫婦の会話が盛り上がるのではないかと思います。」

  • アクティブなシニア夫婦が暮らす平家を想定した“山本さんち。”では、家飲み気分が味わえる空間「うちdeバル」を提案。大画面テレビなら、猫の動画、離れて暮らす孫の発表会映像などの楽しさも倍増しそうです。ちなみにサウンドバーはヤマハ「YAS-109」。
  • 時にはひとりで、時には夫婦で。外に出かけなくても、バルでリラックスするような時間を手軽に味わえます。
  • 図3/積水ハウス 住生活研究所が2020年6月に行った調査で、コロナ禍で新たにはじめたことを聞いたところ、多くの人が動画鑑賞をよく行っていることがわかりました。調査では「今後も継続したい」との回答が多く占めており、コロナ後も続く趣味になると積水ハウスでは捉えています。

河崎氏 「今回はお見せできなかったのですが、『Tomorrow’s Life Museum関西』のモデルハウスでは、バーチャルサイクリングルームを設けています。そこにもホームシアターを組み合わせています。PCのような小さな画面よりも壁一面にバーチャルロードを映し出した方が、サイクリングも楽しいですよね。」

  • 京都府木津川市にある「Tomorrow’s Life Museum関西」内にも4棟のライフスタイル型モデルハウスがあり、そのうちの“財前さんち。”にはバーチャルサイクリングルームが。壁にサイクリングロードの映像を映し出すことで、家にいながらにして、実際に外を自転車で走っているかのような感覚を楽しめます。専用アプリでレースに参戦! なんていう楽しみも。

―いまにぴったりな提案ですね。

沢辺氏 「ホームシアターはカジュアルな楽しみ方がある一方で、より本格的に楽しみたいと考える方が増えています。コロナ禍でオンラインライブの配信が増えましたが、映画館やライブ会場に迫るような空間をひとり占めして、推しのアーティストを壁いっぱいに映し出したいというニーズも増えると予測しています。」

河崎氏 「私も実際、オンラインライブを楽しみたくて大画面テレビを買いました。外に出かけなくても、ライブや旅行のような臨場感が味わえるホームシアターっていいなと改めて思いました。ホームシアターがあるだけで、外出しにくいいまの住まいのさまざまなシーンが楽しく豊かになるだろうと思います。」

―従来の枠を破るようなホームシアターの活用法に驚きました。本日はありがとうございました。

積水ハウス Tomorrow’s Life Museum関東

  • 家族が体験を通じて明日の暮らしを考え、一日ゆっくりと楽しめる施設(完全予約制)。 7つの家族それぞれの暮らしが垣間見えるライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし 7Stories」や、住宅工法が実物大の実験展示で学べる「技術・構造館」などで、住まいのことを楽しみながら知ることができます。
    茨城県古河市北利根2 営業時間:完全予約制

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