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ガイド

  • 連載「ハウスメーカーが考える いえなかホビー」 三角屋根の下はロマンいっぱい
    屋根裏部屋は大人の夢空間
    Vol.2「三井ホーム」のいえなかホビー

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2022年5月9日更新

三井ホームの”趣味を楽しめる住まい”とは

1974年の創業以来、「2×4(ツーバイフォー)工法」の日本におけるリーディングカンパニーとして知られる三井ホーム。建築家、インテリアコーディネーター、エクステリアデザイナーからなる専任スタッフ体制で、住まい手の想いを叶えるオーダーメイドの家づくりに定評のある同社が考える、“趣味を楽しめる住まい”とはどんな住まいなのでしょうか。同社デザインマネジメントグループ長の髙見明博さんにお聞きしました。

  • 三井ホーム株式会社
    2×4住宅の第一人者的存在である木造注文住宅メーカー。日本の風土、暮らしに合わせて、独自に2×4の木の家を進化させ、高耐久で優れた耐震性能、断熱・気密性能を備えた「プレミアム・モノコック構法」を開発。この構造をベースに専任のスタッフが一邸一邸の住まいをデザイン。住まい手の想いが詰まった住宅をオーダーメイドで提供します。
  • ●お話を伺った方
    三井ホーム株式会社
    商品開発部
    デザインマネジメントグループ長
    髙見明博さん
    1999年入社。営業や設計、注文住宅商品の企画業務を経て、現在はデザインマネジメントグループに所属。住民の生活意識、暮らし方などを調査し、そこで得られた成果を商品開発などにフィードバックしています。
  • 平屋+屋根裏のある商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」では、屋根勾配を利用した自由で、開放的な空間を体感できます。三角屋根の下に広がる屋根裏部屋は、ホビールームに、書斎に、アトリエに大活躍。暮らしに新しい可能性をもたらす屋根裏の魅力を提案しています。

次回はこちら>>>Vol.3「BESS」のいえなかホビー「家もシアターも“もっと自由”に 家の先にある楽しい暮らし」

前回はこちら>>>Vol.1「積水ハウス」のいえなかホビー「ゆるやかにつながるのが幸せ住まい 脱LDK発想で思い思いに趣味を!」

室内にいながら外を感じたいニーズに応える

―コロナ禍をきっかけに、住まいのあり方に変化はありましたか。

高見氏 アンケートを取ると、おうち時間が増えたことによって、自宅にいながらにして外を感じたいと考えている方が多いことがわかりました。それも、広いテラスやバルコニーが求められているんですよね。そこで、4月に販売しはじめた戸建住宅「Lascène(ラセーヌ)」では、リビングとボーダーレスにつながる半戸外空間「ラナイ」を設けました。ラナイに出ると空が広がる開放的な空間でありながら、外からの視線を適度に遮れるので、家族で食事を楽しんだり、夜空を眺めながらグラスを傾けたりすることもできます。

  • 2021年春に発表された商品「Lascène(ラセーヌ)」では半戸外空間「ダイナミックラナイ」を提案。家族とバーベキューをしたり、読書をしたり、ちょっとしたDIYを楽しむのにもうってつけです。
  • リビング、ダイニング、キッチンがひと続きになった大空間(「グレートルーム」)とつながる半戸外空間「ダイナミックラナイ」。2層吹き抜けで屋根軒裏までの高さが5m超もあり、開放感にあふれています。

―ラナイがあると、外出しなくてもリフレッシュできそうですね。以前に比べて、趣味を楽しみたいというニーズは増えましたか。

髙見氏 運動不足解消のため,自宅でヨガやフィットネスを楽しみたいというニーズが増えましたね。また、動画配信サービスなどを大画面で観たいというニーズが増えたこともわかりました。昨年末に集計したアンケート(図)では、全体の約30%の方が60インチ以上の大型テレビを使いたいと答えているんです。これは2020年12月に集計したデータなので、いまはもっと増えているのではないかと思います。

―そうなんですね。プロジェクターに対するニーズはいかがですか。

髙見氏 プロジェクターで100インチ以上の大画面がほしいという方は約13%に留まりましたが、プロジェクターをテレビの代わりに使い、できるだけ部屋をすっきりさせたいというニーズが増えていることを実感しています。

  • 三井ホームの「住まいと暮らしの研究所」が、30〜50代の1260名を対象に行った「Withコロナ・Afterコロナに向けたライフスタイル意識調査」(左図)によると、コロナ禍によって大画面に対するニーズはより大型化していることがわかりました。50〜60インチのテレビを使いたいと答えた方は4割以上と高く、60インチ以上も約3割がほしいと答えており、大画面へのニーズが高いことがわかります。一方で、その用途は動画配信サービス、スポーツ観戦、ライブなど趣味用途に使いたいと考えている方が多く、オンライン会議や授業などのビジネス用途で使いたいと考えている方は少ないことがうかがえます。

広々とした屋根裏部屋で趣味にも活用できる

―御社の戸建住宅のなかで、趣味に特化した商品はありますか。

髙見氏 本日見ていただいている「WESTWOOD(ウエストウッド)」は趣味を満喫できる住宅のひとつです。平屋の快適さと屋根裏の楽しさを、三角屋根を活かしたデザインで実現したもので、少人数世帯が増えてコンパクトな住宅へのニーズが高まっていたこと、屋根裏空間への憧れをお持ちの方が多いことなどを踏まえ、2015年末に発表しました。

LDKや水回り、寝室を1階に集約させている方は当時から多くいらっしゃったので、基本的な生活をワンフロアでできるようにし、趣味などの+αは屋根裏で楽しむことを提案しました。つまり「平屋+α」というスタイルになっています。

  • 新たな「平屋」スタイルを提案したフリー設計商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」にある屋根裏部屋。独自技術であるダブルシールドパネルを用いることで、快適な屋根裏部屋(アティック)を創出することに成功。グラスを片手に、月が輝く夜空を見上げる、そんな大人の夢空間を実現しています。
  • 1階には寝室やLDK、水回りなどが集約されています。1階から屋根裏空間につながる大勾配天井がダイナミック。
  • 平屋の快適さと屋根裏の楽しさとを、三角屋根を生かしたデザインで実現しています。

―屋根裏空間はほどよいこもり感があって、趣味に浸るにはぴったりですよね。

髙見氏 四角い部屋よりも三角形で包まれている方がこもり感が出やすく、まさに秘密基地気分を味わえるとおっしゃっていただくことが多いです。屋根裏部屋を収納スペースとして使う方が結構多いのですが、本や漫画、アウトドア・スポーツ用品などの趣味グッズを収納できるのは便利だなと思います。

  • こもり感が味わえる屋根裏部屋は、男の隠れ家にぴったり。明るく静かで快適なので、ワークスペースやアトリエとしても活躍します。
  • ゲームやバーカウンターのあるホビールームも、勾配屋根なら秘密基地感たっぷり。

―屋根裏部屋は夏場、暑そうなイメージがあるのですが……。

髙見氏 弊社の場合、断熱材を構造材でサンドイッチした独自の断熱構造材「ダブルシールドパネル」を屋根に使用しています。天井で熱を防ぐ天井断熱の場合、屋根裏に熱がこもりやすくなりがちですが、ダブルシールドパネルの場合、屋根そのもので日射熱をはね返すので、室内に熱気がこもりにくくなっています。それに、母屋や小屋束などから構成される従来の木造建築とは異なり、邪魔なものの少ないシンプルな構造なので、屋根裏でも広々とした空間を確保でき、趣味や収納などに活用することができるのもメリットです。

  • 広いスペースが確保できる屋根裏は、置き場所に困りがちな趣味用品などの保管場所に最適。
  • キャンプや登山、スノーボードなどのアウトドア用品を収納してみても。

オープンな環境でのシアターにも今後期待

―趣味専用の部屋を設けるのは一般的にハードルが高いと思われがちですが、屋根裏とは素晴らしいアイデアですね。

髙見氏 それこそホームシアターの場合、防音仕様になったクローズドな空間を設けるのが理想だとは思いますが、制約のある方もいらっしゃいます。その点、デッドスペースになりがちな空間である屋根裏なら、ホームシアターにも気兼ねなく使えそうですよね。思いつきで恐縮ですが、プロジェクターの映像を天井に写して、寝転がりながら映画を観たら楽しそうだと思いました。

―御社ではホームシアターを体感できる住宅展示場もいくつかありますよね。

髙見氏 そうですね。「西湘・小田原モデルハウス」ではリビングに、「世田谷レジデンス」ではバルコニーにつながる部屋にホームシアターを導入していますが、このようなオープンなホームシアターが今後は増えるのではと予想しています。また、屋根裏のような個室にホームシアターをつくった場合も、クローズドではなく周りと緩やかにつながるオープン気味のスタイルが増えるのではないかと思っています。

それというのも、最近は家族みんなで同じモノ、時間を共有するということが減り、それぞれが別々のことをしていても緩やかに共有するという傾向になってきているからです。ひとりでホームシアターを楽しむというより、ひとりでもみんなでも楽しめる空間があれば、そこから共通の会話が生まれ、家族のつながりも増すのではないでしょうか。

―お話を伺って、ホームシアターのポテンシャルの高さを改めて実感しました。本日はありがとうございました。

  • 「西湘・小田原モデルハウス(ラセーヌ)」(神奈川県小田原市)の1階リビングにあるホームシアター。壁面側にテレビボードなどを置かずに、オンラインフィットネスなどを手軽に行えるようにしています。また、みんなでライブやスポーツ観戦、ゲームを楽しめるよう、コーナーソファを配置しています。
  • WESTWOOD(ウエストウッド)の1階寝室に設えられたホームシアター。自然の映像を投写すれば、眠りにつくひとときも安らぎに包まれます。

Lascène(ラセーヌ)西湘・小田原モデルハウス 

  • リビングでホームシアターを楽しめる「Lasc ène(ラセーヌ)」(西湘・小田原モデルハウス)。テレワークなどの新しい生活様式を取り入れた空間提案や、全館空調などの設備、採光や通風などの環境をリアルに確かめられるのが魅力です。
    神奈川県小田原市国府津1-4-65 「西湘・小田原住宅区園」内
    営業時間:平日10:00~17:00/土日祝10:00~17:00
    定休日:年末年始
    電話番号:0465-46-0103