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レビュー

  • いまこそテレビでホームシアターを!
    サウンドバー特集 2022 SPRING PART1
    8万円未満(スタンダードクラス)のモデルを徹底テスト

    取材・執筆 / 折原一也
    2022年5月2日更新

    • VGP審査員
      折原一也

ドルビーアトモス対応と自動音場補正にも注目

スタンダードクラスと位置づけてテストした8万円未満の7機種は、すべてが過去3年以内に発売されたアイテムです。低価格ながら、より立体的なサラウンドが楽しめる「ドルビーアトモス」に対応したモデルも登場していて、コスパ激戦区となっています。設置性についても、ワンボディ型、サブウーファー分離型が混在していて、多彩な選択肢があります。

  • 音元出版の試聴室でサウンドバーを一斉比較テスト。スタンダード編では、新作揃いの5万円未満の入門クラス5機種と5~8万円のミドルクラス2機種をチェックしました。

まず、5万円未満で印象に残ったのは、2万円台のお手頃価格ながら2.1chで驚きの高音質が楽しめたJBL「CINEMA SB190」。コスパは抜群でした。JBLは4万円台に「Bar 5.0 MultiBeam」があり、壁反射と音場補正技術を用いることで臨場感のあるサラウンド表現にも成功していて、ラインアップ全体で実力の高さを見せつけました。

5万円超のモデルでは、デノン「DHT-S517」が、伝統の老舗ブランドらしく、サウンドバー離れした高音質で魅力を放ちました。そのほか、スマホアプリによる音場補正で映画でも素晴らしい空間再現を実現した「SONOS Beam(Gen2)」も予算に見あう実力派です。設置性に優れた小型ボディながら、移動表現や包囲表現でもトップの成績を収めたことからも、キャリブレーション技術が搭載されていることの優位性も伺い知れます。

  • 映画との相性は『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』15分あたりからのカーチェイスのシーン、ライブとの相性は『ボヘミアン・ラプソディ』チャプター22のライブ・エイドのシーン、音楽との相性は宇多田ヒカル『あなた』など複数のジャンルのステレオ音源でそれぞれ確認しています。

PART2はこちら>>>いまこそテレビでホームシアターを!サウンドバー特集 2022 SPRING PART2

YAMAHA「SR-B20A」〜エンタメ志向の爆音系サウンド

  • YAMAHA
    「SR-B20A」
    ¥OPEN(実勢価格¥20,160/税込)

ワンボディで「DTS Virtual:X」によるバーチャル3Dサラウンドにも対応する、コスパに優れたヤマハの入門機。幅広で奥行きがある形状ですが、高さ53mmという背の低さで、昨今の薄型テレビと組み合わせた際の設置性も考慮されています。フロント2ch分が30W×2、サブウーファー60Wの総合120Wとパワフルな出力に、デュアルバスレフポートでサイズを超えた低音再生を狙っています。Bluetoothによる接続も可能でSBC/AACに対応しています。

実際にサウンドを体験すると、これぞホームシアター!と思わせるエンタメ志向の爆音系サウンド。アクション映画にはピッタリです。ライブ映画は歌声の音色を正確に再現する、というより、臨場感を追求するタイプと感じました。音楽再生は低音重視でマイルドな傾向でした。

  • 「SR-B20A」の音質傾向
  • Wi-Fi –
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス –
    DTS:X –
    アプリ ○

JBL「JBL CINEMA SB190」〜ライブの臨場感を再現する

  • JBL
    「JBL CINEMA SB190」
    ¥33,000(直販サイト価格/税込)

直販価格で33,000円というお手頃価格でありながら、ワイヤレスサブウーファーを付属する2.1ch構成。そしてドルビーアトモスによるイマーシブサウンドに対応、テレビとの接続に使うHDMI端子はeARC対応という充実したスペックを誇ります。サウンドバー部には48mm×90mmウーファー2基と30mmトゥイーター2基、ワイヤレスサブウーファーには165mmウーファーユニットを搭載。それを合計380Wでパワフルに駆動します。

映画/音楽/ニュースの3つのサウンドモードを搭載しているほか、低音を制御できる「バスブースト」、ニュースやドラマを観るときに役立つ声を明瞭に届ける「ボイスモード」のON/OFFが可能です。実際のサウンドは中高域にキレがあって、空間の広がりも大いに感じられ、価格以上に高音質。とりわけライブ音源との相性が抜群。音楽再生もパワフルかつ情報量あるサウンドが絶妙です。

  • 「JBL CINEMA SB190」の音質傾向
  • Wi-Fi –
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス ○
    DTS:X –
    アプリ –

Bose「Bose TV Speaker」〜カジュアルに高音質を味わう

  • Bose
    「Bose TV Speaker」
    ¥36,300(直販サイト価格/税込)

横幅わずか60センチ弱のワンボディで、今回の特集で最もコンパクトなサイズなのが「Bose TV Speaker」。ARC対応のHDMI端子を搭載することで、テレビの前に置いて手軽に高音質化、テレビのリモコンでも操作できるカジュアルさがコンセプトの製品。luetooth接続でスマホの音楽もワイヤレスで楽しめます。ボーズらしく本体内部のスピーカーレイアウトも独特で、中央部に2基のフルレンジスピーカーを外向きに配置、センターにトゥイーターを搭載してセリフの再現を補強する仕組みになっているようです。

実際のサウンドは、映画ではスピーカー本体のサイズを超えた音場表現の拡張という狙いがハッキリと伝わります。ライブや音楽でもサイズ以上に元気よく鳴らしますが、振動はズンズンとは響かない程度。賃貸住宅などにぴったり、都市部の住環境にちょうどいいバランスでしょう。

  • 「Bose TV Speaker」の音質傾向
  • Wi-Fi –
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス –
    DTS:X –
    アプリ –

SONY「HT-X8500」〜ソニー独自満載の万能型

  • SONY
    「HT-X8500」
    ¥43,868(直販サイト価格/税込)

ソニーによる本格志向のワンボディのサウンドバーとして、ベストセラーを続けている人気モデルが「HT-X8500」です。ドルビーアトモス、DTS:Xといったイマーシブサウンドへの対応に加えて、高さ方向の表現力を加えるソニー独自の「Vertical Surround Engine」と前後左右方向の表現力を加える「S-Force Pro Front Surround」を搭載。スピーカー構造は中央にデュアルサブウーファー、両端にフロントスピーカーを搭載した2.1ch構成を採用しています。スマホの音楽をBluetooth経由でワイヤレスリスニングすることも可能です。

映画のサウンドは高さ表現に優れていて、コンパクトな一体型サウンドバーとは思えないほど、スピーカー本体から離れたところに音の広がり感を再現します。ライブや音楽を聴いても中高域がナチュラル志向なので、特にJ-POPなどと相性がよいモデルです。

  • 「HT-X8500」の音質傾向
  • Wi-Fi –
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス ○
    DTS:X ○
    アプリ –

JBL「JBL Bar 5.0 MultiBeam」〜さすが「テレビシアター大賞」

  • JBL
    「JBL Bar 5.0 MultiBeam」
    ¥44,000(直販サイト価格/税込)

音を壁に反射させてリアルな左右後方サラウンドを生み出すJBL独自の「MultiBeamテクノロジー」を採用したユニークなモデル。高さ方向の表現もバーチャルで生み出して、ドルビーアトモスの立体的なサラウンドを実現します。本機には測定用マイクが内蔵されていて、AMC(Automatic Multibeam Calibration)によってサラウンドを最適化する技術を搭載しています。そのほか、BluetoothやAirPlay2対応などのワイヤレス機能も揃います。

実際に映画のサウンドを体験してみると、部屋の壁や天井の位置に、音の在処を指差せるくらいにハッキリとした音の定位感は他にない魅力です。音の移動感、空間スケールも存分に発揮しています。クラス最高峰の実力を備えていて、コスパは抜群。VGP2021夏では「テレビシアター大賞」にも輝いています。

  • 「JBL Bar 5.0 MultiBeam」の音質傾向
  • Wi-Fi ○
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス ○
    DTS:X –
    アプリ –

DENON「DHT-S517」〜パワフルでピュアな音

  • DENON
    「DHT-S517」
    ¥OPEN(実勢価格¥59,800/税込)

“音質のいいサウンドバー”で人気急上昇中なのがデノン。このモデルも、同社のサウンドマスターである山内慎一氏がチューニングを手がけています。サウンドバー部分は立体音響の高さを再現するイネーブルドスピーカー付き。50インチ以上の大きな画面サイズのテレビを想定した幅1050mmという幅広ボディの筐体には合計7基ものスピーカーユニットを搭載。さらにワイヤレスサブウーファーも付属する本格シアター仕様です。Bluetooth接続でスマホの音源もワイヤレス再生できます。

実際に聴いてみると、クラスを超えた圧倒的なまでの高音質に驚かされます。映画を観ても、音の厚みや臨場感を徹底追求していて、大型フロアスピーカーで鳴らしているような肉厚でパンチを効かせた情報量のあるサウンドです。特にライブの歌声の存在感ある鳴りっぷり、ビートのパワフルな再現性は、他の機種ではなかなか得られない体験といえます。

  • 「DHT-S517」の音質傾向
  • Wi-Fi –
    Bluetooth ○
    HDMI(ARC)○
    アトモス ○
    DTS:X –
    アプリ –

SONOS「Sonos Beam(Gen2)」〜スマートさが際立つ

  • SONOS
    「Sonos Beam(Gen2)」
    ¥59,800(税込)

欧米を中心に人気を集めるブランド、SONOSによるサウンドバー「Beam」の第2世代。ドルビーアトモス対応を果たしました。幅651mmのコンパクトなワンボディで、テレビとの接続はケーブル1本とシンプル。セットアップはすべてSONOSアプリからおこなう仕様で、スマホのマイクを活用する独自の自動音場補正機能「Trueplay」で、住まいの環境にあわせて、最適なサウンドを提供してくれます。リモコンは付属せず、音量もテレビとの連動操作かスマホアプリの操作のみという所も現代的な割り切りです。同社のワイヤレススピーカーをリアスピーカーとして追加できるのも便利な拡張機能です。

完全に部屋全体を把握したうえで立体的に音をレイアウトするようなサウンドで、背後近くまで音が回る爆音や銃声の位置感も正確。ライブも歌声の自然さ、楽器や歓声と分離感もあり音楽リスニングでも実力十分です。

  • 「Sonos Beam(Gen2)」の音質傾向
  • Wi-Fi ○
    Bluetooth –
    HDMI(ARC)○
    アトモス ○
    DTS:X –
    アプリ ○

SPEC

YAMAHA「SR-B20A
●総合出力:30W×2(サウンドバー)、60W(サブウーファー)●スピーカー構成:2.1ch ●接続端子:HDMI出力×1、光デジタル音声入力×2、サブウーファー出力×1 ●外形寸法:910W×53H×131Dmm ●質量:3.2kg

JBL「JBL CINEMA SB190
●総合出力:90W×2(サウンドバー)、200W(サブウーファー) ●スピーカー構成:2.1ch ●接続端子:HDMI出力×1、HDMI入力×1、光デジタル音声入力×1、USB×1 ●外形寸法:900Wx62H×67Dmm(サウンドバー)、200Wx409H×280Dmm(サブウーファー)●質量:1.9kg(サウンドバー)、5.6kg(サブウーファー)

Bose「Bose TV Speaker
●総合出力:非公開 ●スピーカー構成:非公開 ●接続端子:HDMI出力×1、光デジタル音声入力×1、ステレオミニ音声×1、サブウーファー出力×1 ●外形寸法:594W×56H×102Dmm ●質量:2.0kg

SONY「HT-X8500
●総合出力:160W ●スピーカー構成:2.1ch ●接続端子:HDMI出力×1、HDMI入力×1、光デジタル音声入力×1ほか ●外形寸法:890W×64H×96Dmm ●質量:3.1kg

JBL「JBL Bar 5.0 MultiBeam
●総合出力:250W ●スピーカー構成:5.0ch ●接続端子:HDMI出力×1、HDMI入力×1、光デジタル音声入力×1、LAN×1ほか ●外形寸法:709W×58H×101Dmm ●質量:2.8 kg

DENON「DHT-S517
●総合出力:非公開 ●スピーカー構成:3.1.2ch ●接続端子:HDMI出力×1、HDMI入力×1、光デジタル音声入力x 1、ステレオミニ音声入力×1 ●外形寸法:1050W×60H×95Dmm(サウンドバー)、172W×370H×290Dmm(サブウーファー) ●質量:2.5kg(サウンドバー)、4.3kg(サブウーファー)

SONOS「Sonos Beam(Gen2)
●総合出力:非公開 ●スピーカー構成:非公開 ●接続端子:HDMI×1 ●外形寸法:651W×69H×100Dmm ●質量:2.8kg

※実勢価格はすべて2022年3月上旬時点、大手家電量販店の価格です。