リビングシアターなど、居室としての意匠を整えながらオーディオ空間としての機能も備えるのはなかなか難しいもの。RC構造の場合はもちろん、木造住宅であっても高気密高断熱住宅では響きが堅くなりがちです。
そんなとき使いたくなる、見た目もよくて効果のある吸音パネルはなかなかありません。ここで紹介するのは、「DESIGNART TOKYO」期間中に東京・外苑前「BOCONCEPT(ボーコンセプト)」ショールームに展示されたウォールアート「ZAMA(ザマ)」です。
京都発信サスティナブルブランド「ZAMA」
「ZAMA」は、サンスクリット語で「静」「休息」「平和」などの意味。サスティナブルな素材を使い、ホッとする居心地のいい空間を実現しようとするアコースティックプロダクトブランドです。
- ZAMA
画像左上から「リーフ(Leaf)」「七宝(Shippo)」「波(Nami)」「連(Len)」「ダイヤ(Daiya)」「凪(Nagi)」
- BOCONCEPTのディスプレイエリア。ふたつの四分円が連なることで曲線が伸びたり、円として完結させたり様々な組み合わせが楽しめる「連(Len)」を駆使したインスタレーション「むすび/Knot」。壁面がマグネットキャッチ構造だったため、そのままインストールできました
一見すると一体型ウォールアートのようですが、30cm角のパネルの集合体です。麻の一種「ヘンプ」のファブリックで覆われたパネルには、主に建築素材として使用する高密度の遮音層を、高音域の響きを改善する吸音素材で挟む「Acoustic Wall Covering」を内蔵。製品背面のコルクボード上に備えたマグネットを付属の金属プレートでキャッチし、壁面に貼って並べることで、大がかりな造作を建築することなく、防音壁に近い効果を得られるというのがウリです。
サイズは30cm角と小さめ。取り外しも用意なので、効果の出そうな位置を探りながら、壁のポイントのみに絞って貼れますし、必要に応じて買い足すこともできます。また、引っ越し先でもそのまま使えます。
手仕事の魅力あふれる凝った裁縫・デザイン
「ZAMA」を手掛けるのは、2014年創業の京都のメーカー「MOLFO(モルフォ)」。これまでも、サスティナブルな布地を使ったバッグやテーブルウェアなど、地球環境に配慮した豊かなライフスタイルを提案する製品を提供してきました。大量生産大量廃棄に異を唱え、受注ないし小ロットを国内で手作りし、サスティナブルかつ労働力としてもロスの少ない事業を展開してきました。
コロナ禍で人々が自宅で過ごすことが増えると、静かで心地よい室内環境の要望が高まったそう。そこで居住環境を損ねない吸音パネル「ZAMA」を開発したのだといいます。
「これからの時代は、機能性だけでなく、美しく、サスティナブルな視点が重要です。ZAMAによって、日々の暮らしに上質な豊かさをもたらしたいと思っています」。目にも耳にも優しいリビングシアターで、心豊かな日常を!
- ブランディングおよびプロダクトデザインを担当した、デザイナーのヒロミキムさん。ヒロミさんは京都出身。建築インテリアデザインを学んだ後、ミラノ工科大学で工業デザインを学びました。デザインマネージメントマスターを修了後もミラノを拠点に活動を続け、現在は京都を拠点に工業製品のほか、建築、インテリア、アカデミック分野まで多岐に亘り活躍しています。
お問い合わせ先
- MOLFO LLC
京都市下京区万屋町342−805
TEL:050−7108−4014
ZAMAブランドサイト/MOLFOショップサイト