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  • 伊尾喜大祐のシネマレポート ドルビーシネマが凄い!
    ナンバーワンの映画体験
    関東“初”上陸

    取材・執筆 / 伊尾喜 大祐
    2019年5月22日更新

関東初のドルビーシネマ、待望のオープン

2019年4月26日、さいたま新都心のMOVIXさいたまに関東初のドルビーシネマがオープンしたことは、熱心なオーディオビジュアルファンの皆さんならすでにご存じかも知れません。筆者もそのオープン2日前にメディア内覧会に参加、驚きの「映画」ならぬ「映画館」体験を味わってきました。そのレポートをお届けしましょう。

  • 「MOVIXさいたま」にオープンした「ドルビーシネマ」。さいたま新都心駅の東口を出てすぐの好立地で、入り口には大きな“ドルビーシネマ”のロゴがあり気分も高まります。

劇場入口、そして通路にドルビーシネマのロゴが大きくフィーチャーされたシアターに足を踏み入れます。スクリーンサイズは幅13.92×高さ5.8m。スピーカーはマットブラックの壁面に埋め込まれ、青いラインのイルミネーション以外に目に付くものはありません。黒くやわらかな革張りのシートは通常の劇場のものより座面が広く、前後の空間にもかなりの余裕がありました。元々この場所にあったシアター11は420席でしたが、ドルビーの高い基準をクリアすべく5ヶ月もの改装期間を費やし、292席(車椅子用2席含む)のシアターへとリニューアルされたことが大きいのでしょう。

  • 椅子には上質なマットブラックの合皮を採用し、座り心地や疲れにくい配慮が施されているほか、反射させないようにも配慮されています。
  • 視野の広さが確保されるよう考慮し、どの座席からでも最適に映画を楽しめるようにドルビーシアターの座席の配置は決められているのです。

スクリーンが消える!驚愕の漆黒表現

内覧会を進行するドルビージャパン株式会社代表取締役社長・大沢幸弘氏によると、ドルビーシネマの特徴は3つ。ドルビービジョンによる「ドラマチックな映像」、ドルビーアトモスによる「心揺さぶるオーディオ」、そして「考え抜かれた究極のシアターデザイン」の要素がもたらす、究極のシネマ体験であるといいます。

  • ドルビーシネマ採用スクリーンは、全世界で400以上にものぼり、ドルビーシネマ対応作品は190以上を数えます。ドルビーの技術は、映画業界はもちろん著名監督からの厚い信頼も寄せています。
  • プロジェクターには、レーザー光源の「ドルビービジョン プロジェクションシステム」を2台使用。従来のシネマフォーマットの約2倍に相当する驚愕の輝度を実現しています。また、左右それぞれ映像を表示することができるため、3D映像はフラッシュやジッターの解消にも効果があります。

ドルビービジョンは、ドルビー独自のHDR規格。HDR10とは異なり、映像の明るさのメタデータを作品ごとではなくシーンごとに参照し、制作者の意図により忠実なイメージを再現します。この映像を2台の4Kレーザー光源プロジェクターで投射することで、コントラスト比は従来の約500倍相当の100万:1、そして輝度は約2倍の31ft-L(108nits相当)を実現しています。映写室の窓から見たところ、プロジェクターは日本初のドルビーシネマであるTジョイ博多に導入された、クリスティ社との共同開発モデルのようです。

  • HDR (ハイダイナミックレンジ)の映像技術「Dolby Vision(ドルビービジョン)」(写真の右側)。コントラスト比の向上、色域も拡張され、今まで描ききれなかったディテールを余すことなく、制作者の意図した映像表現が可能になりました。

ドルビーアトモスはオブジェクトベースの音響技術で、制作者は劇場の好きな場所に音を配置したり、自在に動かすことが可能に・・・と、これは読者の皆さんもすでにご存じですよね。本シアターの天井には、ドルビー純正のSLS 3軸スピーカー MA390Cシステムが8本×2列=16本設置されていました。

  • 前後左右に加え、天井にもスピーカーが設置された3次元的な立体音響表現が可能な「Dolby Atmos(ドルビーアトモス )」。スピーカーの数や配置の制約を受けないあらゆる場所に音を縦横無尽に移動させることで、まるでその場にいるような没入感を味わえます。

そしてシアターデザインについては前述の通り。可能な限りの無駄を排した空間設計により、映画の世界により没頭できる環境が整えられていました。

  • ドルビーシネマは、可能な限り無駄を配して映画に集中できるようにデザインされています。また、防音を含めて音響デザインの最適化を図り、上映中のスクリーンへの影響を最小限にするための照明デザインや光を反射しない素材の選定まで考え抜かれています。

ハリウッドのクリエイターたちがドルビーシネマへの期待を語る映像が上映された後、いよいよ待望のドルビーシネマのお披露目に。最初に画面に映し出されたのは、黒い背景に白い線で描かれた円が浮かんだ映像。正確に言えば、グレーのスクリーンの中央にぽわっと白い円が映っているイメージでしょうか。大沢氏いわく、実はこれが「一般的な、良い映画館の映像と呼ばれるもの」。ここで映像がドルビーシネマに切り替わると・・・不意に目の前のスクリーンが消えて漆黒の空間が広がり、鋭いエッジの白い円が浮かび上がったではありませんか!劇場のあちこちから「おぉ」というどよめきが漏れ、筆者も思わず隣の編集M氏と顔を見合わせたほどです(笑)。大沢氏の言葉を借りて言うなら「私たちは本当の『黒』を見ていなかった」!

  • ドルビービジョンであれば、漆黒の中にいくつもの小さな点を浮かび出すことができます。劇場内が真っ暗になるため、まるで広大な宇宙空間に居合わせた感覚に陥ります。
  • コントラスト比が上がり、色域が拡張されたことで、漆黒の中にも発色の強い炎を表現することができます。映像の中に埋もれることなく、猛烈な炎が浮かび上がります。

圧倒的なオーディオビジュアルパワー、これが『アベンジャーズ』の本当の姿!

そして数々のドルビーシネマ作品のハイライトシーンに続き、6.5K撮影/2KのDI作品である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が上映されました。

  • 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(C)2018 MARVEL

まず特筆したいのは光の表現。6つのインフィニティ・ストーンがそれぞれ複雑な結晶構造を持つことを、今回初めて視認できたように思えます。光やパワーの描写にも各々の個性があり、これらを見事に使い分けてサノスが戦っていたことがわかります。アイアンマンのアーマーの鈍い輝き、ドクター・ストレンジの魔法陣、ヴィジョンの額の眩い光線、ワンダの赤い目の妖しい輝き、そして何よりキャラクターたちの意志を宿した、瞳の色彩が力強いです。

  • アベンジャーズ・シリーズ最強のヴィラン「サノス」。ドルビービジョンは煌めきがより鮮明になり、相手に応じて強力なパワーを持つ“インフィニティ・ストーン”を使い分けていることがしっかりとわかります。(C)2018 MARVEL

暗部階調では吸い込まれそうなほどの漆黒の宇宙空間に、星雲が立体的に浮かぶのも圧巻でした。ブラックパンサーの黒いスーツに血管の様に走る、鈍色の紫光も印象深いもの。人間に宇宙人にサイボーグ、神様に樹木まで揃った(笑)バラエティに富んだキャラクターたちの肌の描き分けも素晴らしい。特にネビュラの青く硬質な皮膚や、ヴィジョンの人工皮膚のラバー質感には驚くばかりです。

  • 様々なキャラクターが登場することも特徴のアベンジャーズ・シリーズです。(C)2018 MARVEL

また、この日の上映は惜しくも2D上映でしたが、被写体と背景の描き分けが非常に立体的で、実に「3D的」だったことも追記しておきたいポイント。さらにドルビーアトモス音響も激烈!音圧が低くパンチに欠けるUHD BD版のアトモス音声とは比較にならないパワフルかつ繊細なサウンドで、まさに全編が興奮のるつぼでした。

ただ不満も正直あります。高輝度ゆえに天井への照り返しが目立ったり、日本語字幕の白さが暗部の描写を台無しにする傾向も否めません。とは言え、ドルビーシネマという映画新時代の幕開けを迎えられたことは非常にうれしいですし、今後のラインアップと上映館数のますますの充実を心から願ってやみません。まずは今秋オープンの、丸の内ピカデリー2のドルビーシネマ化に大期待ですね。

  • ドルビーシネマ初体験となった伊尾喜氏。インフィニティ・ウォーはすでに数回視聴されていますが、ドルビーシネマでの映像体験に大満足の様子でした。

ホームシアターでも“ドルビーシネマ”

しかしこうなると『エンドゲーム』はもちろん、既存のドルビーシネマ作品も再見したくなるのは筆者だけではないでしょう。幸いなことにホームシアター環境では、液晶や有機ELの大画面テレビ、UHD BDプレーヤーはもちろん「AppleTV 4K」などのネット動画端末、そしてAVアンプやサウンドバーなど、ドルビービジョン映像やドルビーアトモス音声対応の機器、そしてコンテンツのラインアップは着実に増加中です。4K&HDRの織りなす新時代の映像と超立体効果のアトモス音声を、劇場より一足早く楽しんでみるのも一興ではないでしょうか。

  • ドルビービジョンに対応したテレビは、2019年5月現在、ソニーやパナソニック、LGから発売されています。写真はソニー「A9Gシリーズ」
  • ドルビーアトモス対応モデルであれば、サウンドバー1本からでも擬似的に立体音響を楽しむことができます。写真はパナソニック「SC-HTB01」

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