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レビュー

  • PIEGA/JBL/ELAC/B&W テレビに組み合わせたい“推し”スピーカー
    フロア型を徹底レビュー PART3
    ハイエンドクラス(ペア35万円以上)をチェック[2021]

    VGP 取材・執筆 / 岩井 喬
    2021年12月1日更新

    • VGP審査員
      岩井 喬

ハイクオリティなシアター展開も叶う

テレビ周りのサウンド強化において設置性と音質のバランスで考慮すると、“フロアスタンディング型”のスピーカーは理にかなった存在です。設置するスペースは必要ですが、テレビラックの空きスペースやスピーカースタンドを必要とせず、そのままセッティングできます。また昨今はインテリアにマッチしたデザイン性やフォルムを持つモデル、テレビの横に置きやすいスリムなキャビネットを採用したスピーカーも多くなってきています。もちろん、デザイン面を考慮しながらも、ピュアオーディオとしての実力を兼ね備えています。

そこで本稿では、ぜひテレビと組み合わせてほしい“推し”のフロア型スピーカーをご紹介します。初めて本格的なスピーカーを導入してみたい方にお薦めの入門機から、ペア50万円を超える高級モデルまで集めてクオリティチェックを実施しています。

PART3は、ペア35万円以上の高級モデルを揃えたハイエンドクラスとして、4機種のクオリティをチェック。まさにクオリティ志向で、ピュアオーディオでも高く評価されているモデルたちです。しかしマルチチャンネルにも展開できるホームシアター向けのラインアップを備えていることもポイントであり、将来的にハイクオリティなホームシアター環境へとアップデートできることも注目です。

  • スピーカーの試聴取材では、UHD BDプレーヤーのパナソニック「DP-UB9000」からプリメインアンプのブルーサウンド「POWERNODE 2i」までHDMIケーブルで接続し、プレーヤーからの音を再生。テレビからの音を試聴する際は、テレビからPOWERNODE 2i(ARC対応)までHDMIケーブルで接続しています。
    <試聴コンテンツ>
    音楽ライブ:BD『ONLINE LIVE 2020 -Arena Travelers-/Official髭男dism』(『Universe』付属BD)
    映画アクション:4K Ultra HDブルーレイ『エクスペンダブズ3』
    映画ドラマ:4K Ultra HDブルーレイ『君の名は。』

PIEGA「Ace 50」

  • PIEGA
    「Ace 50」
    ¥363,000(税込/ペア)
    マルチch展開:○
    イネーブルド:×
    サブウーファー:○

高い人気を誇ったシリーズの後継

1986年スイスで創業したピエガ。同社の入門ラインとして、アルミ筐体ならではの高剛性を生かしてコンパクトなラインナップを展開してきたのが「Tmicroシリーズ」です。「Aceシリーズ」はTmicroシリーズの後継であり、「Ace50」はその最上位のフロア型スピーカーです。他にブックシェルフ型とセンタースピーカーが用意され、マルチ展開も対応します。ユニットはハイルドライバー形式のAMT-1リボン・トゥイーター、120mm MDS・ウーファー、2基の120mm MDS-Bウーファーからなる3ウェイ構成です。中低域ユニットがストレスなく動けるようキャビネット形状を改良したといい、エネルギー放射性は従来の約2倍に強化されました。

  • 素材に軽量のダイアフラムを用いたひだ状のユニットと高純度ネオジウムの磁気回路で構成されたAMT-1・トゥイーターを搭載。ミッドレンジドライバーは、従来モデルから大きく出力を高めました。独特な楕円形デザインのスリムなキャビネットも特徴です。
  • スピーカーターミナルはシンプルなシルバーメッキ仕様で、シングルワイヤリング、バナナプラグの接続に対応した仕様になっています。バスレフポートは前面に設置されています。

スリムな外観ながら豊かな低域

スリムな外観からは想像できないほど豊かで厚みのある低域を聴かせてくれます。高域は粒立ち細かくマイルドな表現で、本来のAMTらしさは控えめです。「POWERNODE 2i」との相性もありそうです。アクション系のBGMは管弦楽器の厚みがあり、ふくよかに広がります。SEは銃声や爆発音は軽めに感じられるが、ヘリや大口径銃は太めです。ドラマ系のセリフは落ち着いたトーンで余韻はドライ。ボディは厚めで口元のハリは滑らかに描きます。SEはまろやかな質感で耳当たりよいです。音楽系はローエンドのパワーが強めで、管楽器はきめ細やか。ボーカルは滑らかにまとめた穏やかな傾向です。

  • 55インチ・テレビの隣に設置
  • 音質傾向表1
    6軸で評価、MAX10点、0.5刻み
  • 音質傾向表2
    ☆で評価、MAX5点、0.5刻み

JBL「HDI-3600」

  • JBL
    「HDI-3600」
    ¥198,000(税込/1本)
    マルチch展開:○
    イネーブルド:×
    サブウーファー:×

エレガントさと新機軸の技術が融合

JBLプロフェッショナルのスタジオモニターにも採用されている、広帯域に渡り安定した指向特性を持つHDI(High Definition Imaging)ホーンを取り入れた2.5ウェイスピーカーです。コンプレッションドライバーにはD2由来の25mm Vシェイプ Teonex製・リングダイアフラムを搭載した「2410H-2」を採用。3基の165mmアルミ・マトリックスコーン・ウーファー「JW165AL-12」は、上段の1基と中・下段の2基をスタガー接続で使用しています。バッフルはホーン幅ギリギリに狭め、内部も補強を徹底したスリムな構造を実現。インテリアマッチのよりエレガントなデザインも特長です。

  • 強力なネオジム・リングマグネットと25mmのTeones製リングダイアフラムを採用した、新開発のコンプレッションドライバーである「2410-H」をトゥイーターに搭載。さらにHDI-Xウェーブガイド・ホーンを併せたことで安定した指向性を実現しています。
  • 金メッキ仕様で、バイワイヤリング、バナナプラグに対応したスピーカーターミナルを搭載。背面にバスレフポートを2基搭載しており、スリップストリーム設計を用いています。

軽快で明瞭な高域と密度の高い低域

ホーン型らしく中域のプレゼンスが高くコシのある音像を形成し、低域にかけて密度高く力強い描写を行います。アクション系ではBGMの重厚さとともに、ストリングスの粒立ちよく軽快な旋律が明瞭に際立ちます。SEは分解能高く細やかに描く傾向で、銃声も厚みがあり、爆発音もキレと量感を両立。ドラマ系のセリフはドライな傾向で口元の動きはキレがよいです。ボトム感はナチュラルな厚みで落ち着きがあり、虫の音などSEはふわりと軽快。音楽系のベースは逞しく抑揚豊か。ホーンセクションやギターの旋律はコシが太く鮮明です。エアー感が良く出ており、ボーカルはレスポンスよく爽やかに描かれます。

  • 55インチ・テレビの隣に設置
  • 音質傾向表1
    6軸で評価、MAX10点、0.5刻み
  • 音質傾向表2
    ☆で評価、MAX5点、0.5刻み

ELAC「Solano FS 287」

  • ELAC
    「Solano FS 287」
    ¥506,000(税込/ペア)
    マルチch展開:○
    イネーブルド:○
    サブウーファー:○

中核機に見合う渾身の技術を投入

5世代目まで進化したハイル型ドライバー、「JET V」トゥイーターを積むエラックの中核的シリーズが「Solano280シリーズ」です。本機は、2.5ウェイ・3スピーカー構成となっています。キャビネットの重心を下げ制振性を高めるアルミベースを採用した他、アルミ振動板とペーパーコーンによるハイブリッド構造となる「AS-CONE」を用いた2基の150mmウーファーにはアルミダイキャスト製フレーム・バスケットを採用し、共振を排除しています。上位の「VELAシリーズ」由来となる洗練されたデザインのキャビネットは、スクエア形状を基調としたラウンドフォルムを持っていて剛性も高いです。

  • エラックの代表的なトゥイーターである「JET V」を搭載。「400 series」と同様にアルミ・ダイキャスト・フレームに最新のウェーブガイドを装着しています。新たなAS CONE・ウーファーは、クラス初の高剛性フレーム構造によって、レスポンスとS/Nを高めています。
  • スピーカーターミナルは、バイワイヤリング、バナナプラグの接続に対応。ネットワークは、大型空芯コイルを導入したウーファー専用基盤と高品位パーツで構成されたトゥイーター基板に分離させ、相互干渉を防いでいます。

分解能のよさと豊かな低域が魅力

「POWERNODE2i」との相性問題があるようで、高域の軽快さに対し、低域は厚くどっしりとして繋がりがやや希薄にも感じられたが、アクション系では金属のきしみ音や銃声の細やかさ、軽快な浮き立ちを感じさせ、爆発音やヘリの音は太くリッチに響きます。BGMは分解能よく弦の旋律を引き出し、ローエンドはどっしりと豊かでゴージャスな傾向です。ドラマ系のセリフは厚みがあり、ハリ艶のよい滑らかな描写で落ち着きのあるトーン。音楽系では太く逞しいベースラインと明瞭なホーンセクション、ギターのフラッシーさが好対照。ボーカルはメリハリ良く息継ぎも生々しく、ボディ感も自然です。

  • 55インチ・テレビの隣に設置
  • 音質傾向表1
    6軸で評価、MAX10点、0.5刻み
  • 音質傾向表2
    ☆で評価、MAX5点、0.5刻み

B&W「703S2」

  • B&W
    「703S2」
    ¥264,000円(税込/1本)
    マルチch展開:○
    イネーブルド:×
    サブウーファー:×

旗艦機の技術と品位を細部まで継承

人気の高かった「CMシリーズ」の後継として誕生した「700シリーズ」。フロア型が3機種用意されていますが、中間機となる3ウェイ・4スピーカーが「703S2」です。最上位の「800D3シリーズ」から継承した、25mmデカップリング・カーボンドーム・トゥイーター、150mmコンテュニアムコーン・FST・ミッドレンジ、2基の165mエアロフォイル・プロファイル・コーンウーファーを採用。「603S2 Anniversary Edition」と同口径のユニット構成ですが、部材などはより上位グレードに近い高品位な仕様です。ブックシェルフ型、センタースピーカーも揃えており、プレミアムなマルチ展開が可能です。

  • 「703 S2」に搭載されたデカップルド・カーボンドーム・トゥイーターは、700シリーズ専用に最適化されており、高域一次共振周波数を47kHzまで上げて、正確性を高めています。上位機で圧倒的な支持を得たコンティニュアム・コーン・ウーファーも採用。
  • バイワイヤリング、バナナプラグの接続に対応し、端子部からジャンパープレートまで金メッキ仕様にすることでS/Nを高めています。バスレフポートは、スピーカーの背面下部に設置されています。

混濁のないシャープでリアルな描写

S/Nよく混濁のないシャープなキレを持つサウンドであり、低域は朗々と豊かに響きます。アクション系はSEのきめ細やかさが印象的で、銃弾の音のキレ、金属に穴が開く描写のリアルさに驚きます。BGMは奥行きよくストリングスが展開し、ローエンドは厚みを持たせつつ引き締めよく表現で、爆発音は派手に響きます。ドラマ系のセリフは、ヌケのよさと重心の低い安定感のある描写となります。定位感も正確で口元は丁寧かつ艶やか。音楽系はキレよく逞しいリズム隊のタイトなアタックと、音離れ良くスカッと爽快なボーカルの明瞭さが光ります。息継ぎの生々しさ、細やかなギタープレイもマスクされず浮き立ちます。

  • 55インチ・テレビの隣に設置
  • 音質傾向表1
    6軸で評価、MAX10点、0.5刻み
  • 音質傾向表2
    ☆で評価、MAX5点、0.5刻み

SPEC

PIEGA「Ace 50
●形式:3ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:AMT-1 リボン・トゥイーター×1、120mm MDS・ウーファー×1、120mm MDS-B・ウーファー×2 ●再生周波数帯域:45~40,000Hz ●クロスオーバー周波数:200Hz/4,000Hz ●感度:90dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:140W×1040H×160Dmm ●質量:12kg

JBL「HDI-3600
●形式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:25mm Teonex製Vシェイプ・リングダイアフラム・コンプレッションドライバー×1、165mm アルミ・マトリックスコーン・ウーファー×3 ●再生周波数帯域:38~30,000Hz ●クロスオーバー周波数:900Hz/2,000Hz ●感度:90dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:255W×1026H×342Dmm ●質量:28kg

ELAC「Solano FS 287
●形式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:JET V・トゥイーター×1、150mm AS-CONE・ウーファー×2 ●再生周波数帯域:30~50,000Hz ●クロスオーバー周波数:450Hz/2,400Hz ●感度:87dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:260W×985H×300Dmm ●質量:19.0kg

B&W「703S2
●形式:3ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:25mm デカップル・カーボン・ドーム・トゥイーター×1、150mm コンティニュアム・コーンFST・ミッドレンジ×1、165mm エアロフォイル・プロファイル・ウーファー×2 ●再生周波数帯域:30~33,000Hz ●感度:89dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:320W×1025H×370Dmm ●質量:25kg

REFERENCE

  • プリメインアンプ
    BLUESOUND
    POWERNODE 2i
    ¥OPEN(実勢価格120,000円前後)
  • UHD BDプレーヤー
    PANASONIC
    DP-UB9000
    ¥OPEN(実勢価格210,000円前後)
  • 4K有機ELテレビ
    PANASONIC
    TH-55JZ1000
    ¥OPEN(実勢価格310,000円前後)