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レビュー

  • OPTOMA/NEBULA BY ANKER/BENQ/LG ELECTRONICS プロジェクター・クオリティレビュー[2022]
    今見逃せない4K超えモデルを横並び PART2
    ミドルクラス(20万円以上50万円未満)

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2022年7月29日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

ホームシアターにおけるビジュアル機器の花形は、なんといってもプロジェクター。近年、国内ブランドからハイエンドやミドルクラスのモデルがリリースされるだけでなく、リビングにも導入しやすい明るくカジュアルなプロジェクターが海外ブランドから多数登場するなど、プロジェクターのシーンが大いに盛り上がっています。そこで本稿では、4K/HDR対応モデルはもちろん8Kモデルまで、今注目すべきプロジェクターを一挙にクオリティチェック。ホームシアターライフをさらに豊かにしてくれるモデルを見極めます。

デバイスのサイズの大型化が顕著

PART2では、「ミドルクラス(20万円以上50万円未満)」でお薦めの4モデルを比較検証していきます。ミドルクラスでご紹介するモデルは、全てDLPモデルですが、エントリークラスのプロジェクターと比べて、搭載しているDMDデバイスのサイズがひと回り大きい点が特長です。エントリークラスでは、0.47インチを採用しているモデルが多いのに対して、ミドルクラスは0.65インチが中心です。これはカメラのセンサーサイズと同様で、映像が明るく、コントラストも高めやすい傾向があります。センサーサイズが大きくなるとレンズの口径も大きくする必要があるため、解像度面でも有利です。

また最新のトレンドとしては、光源にレーザーやLEDを採用したモデルが増えており、ミドルクラスもその流れは顕著に表れています。ミドルクラスでは、こうした技術やデバイスの変化が、画質にどのような進化をもたらしているのかが、大変興味深いところです。

  • PART2「ミドルクラス(20万円以上50万円未満)」では、20万円台が3モデル、
    30万円台が1モデル、全4モデルのクオリティをチェックしました。エントリークラスよりも着実に画質を高めたモデルが並びます。

OPTOMA「UHD33」

  • OPTOMA
    「UHD33」
    ¥OPEN(実勢価格¥220,000前後)

8セグメントカラーホイールを搭載

DLPプロジェクターのブランドとして著名であり、エントリークラスから高級モデルまで、広いラインアップを持つオプトマ。「UHD33」は同社の4Kプロジェクターの入門機ともいえるモデルです。コンパクトなサイズながらUHE光源で最大3000ルーメン(ANSI)の明るさを備えています。RGBW+RGBWの8セグメントカラーホイールは、明るさと色域の両立に加え、カラーブレーキングの低減にも寄与します。また、上下左右シフトによる830万画素相当の解像度と、HDR10/HLGの両方のHDRフォーマットに対応します。ほか、最大240Hz表示、最小4.2ms低遅延など、ゲーミング用途も強く意識した仕様も特長です。

  • 映像モードは、「ディスプレーモード」から選択が可能。HDR映像が入力された場合は、「HDR」(HDR10)、「HLG」の2モードに自動的に切り替わります。SDR映像の場合は、「シネマ」「ゲーム」「リファレンス」「ブライト」などの映像モードを選べます。
  • 画質調整をカスタマイズしたい場合、「BrilliantColor」「色温度」「カラーマッチング」などの設定のほか、「輝度」や「コントラスト」、「ガンマ」や「シャープネス」などの調整も可能です。
  • 入力端子は、HDCP 2.2対応のHDMIを2基、ステレオミニを1基搭載するほか、出力端子では光デジタル音声を1基、ステレオミニを1基搭載しています。

コントラストが高く階調表現も豊か

映画は色彩がナチュラルなのが好印象。逆光シーンは太陽の力強い輝きと暗部の見通しを両立し、HDR映像のダイナミックさを表現しています。コントラストの高さ、階調表現の豊かさは、このクラスならではと思えるクオリティ。カラーブレーキングは見えるものの少な目です。また、映画で多い平均輝度の低いシーンも、肌色がナチュラルに感じられるなど、見ていて安心できる画調も特筆に値します。シーンチェンジで明るさが大きく変化する瞬間も、機敏に追随してダイナミック。紀行映像は、細い線も繊細に描き情報量が豊富です。夕暮れシーンは、明暗の諧調も併せ、パースペクティブな表現も良好。暗室では輝度を絞って黒を沈めると、より引き締まった映像が楽しめるでしょう。

  • UHD33の画質傾向/映像コンテンツの相性
  • UHD33の測定による傾向
    UHE光源モデルらしいスペクトラムのパターンで、広い色域よりもできるだけ明るさを高めている傾向で、それはしっかりスペックの数値にも表れています。ちなみに本機の映像モードによっては、赤色成分が増す機能もあります。

NEBULA BY ANKER「Cosmos Laser 4K」

  • NEBULA BY ANKER
    「Cosmos Laser 4K」
    ¥OPEN(実勢価格¥249,900前後)

持ち運び用ハンドル付きで視聴場所も広がる

モバイルプロジェクターで人気を博する同社がラインアップする据置型の最上位モデル。DLPタイプで、レーザー光源の採用により最大2000ルーメン(ANSI)の明るさを誇り、HDR10に対応します。オートフォーカスや自動台形補正に加え、スクリーンに合わせたインチサイズ調整もオートで可能。Android TV搭載による各種動画配信サービスへの対応、Dolby Audioに対応したスピーカーの内蔵など、オールインワン志向は同社ならではです。本体天面に備える持ち運び用ハンドルも特長的です。

  • 「画像モード」の項目では、「標準」「鮮やか」「ソフト」のほかにも
    「ムービー」「ゲーム」といった映像コンテンツのジャンルに適したモード、そして「画像カスタム」からモードを選ぶことができます。HDRコンテンツを視聴する場合は、「HDR」の項目をオンにすることで最適化されます。
  • 内蔵スピーカーのモードは、「オーディオモード」から調整することができ、「標準」のほかに、サラウンドで出力する「ムービー」や人の声をクリアに聴かせる「ニュース」、高域/中域/低域をユーザーが調整できる「オーディオカスタム」のモードを備えています。
  • 入力端子は、HDMIとUSB-Aを1基ずつ、ステレオミニ出力も1基という、搭載する接続端子はシンプル。電源ケーブルは、ノートPCの電源などで使用されている3ピンタイプを採用しています。

画も音も明るくパワフルさに溢れる

映像はとにかく白が明るくHDR映像も力強く表現でき、比較的コンパクトながら、レーザー光源による圧倒的なパワーを感じます。映像が明るいため、暗室では暗部階調が浮く印象。暗いシーンは難しいが、肌の色表現は薄まる方向ながら色味が不自然にならないなど、丁寧にチューニングされています。明るいためカラーブレーキングが目立ってしまいますが、その場合はユーザー側で明るさを調整すると収まっていきます。解像感はやや穏やかで、柔らかい映像に寄せている傾向。特筆すべきはサウンドで、コンパクトなサイズながら低域も迫力十分。映画も音楽も映像の明るさに負けない、パワー感に溢れたサウンドが楽しめます。

  • Cosmos Laser 4Kの画質傾向/映像コンテンツの相性
  • Cosmos Laser 4Kの測定による傾向
    580nm(オレンジ色)周辺にくびれが無いのが特徴。明るさを重視したと思われますが、映像では、アリアナ・グランデのステージで、ピンク色の照明が少し紫寄りに感じられたのと符合するかもしれません。明るさを控えめに調整し、ガンマを2.0にすると明暗のバランスも整います。

BENQ「X3000i」

  • BENQ
    「X3000i」
    ¥OPEN(実勢価格¥287,000前後)

ゲーミングプロジェクターを牽引

低遅延表示とハイフレームレート表示を得意とし、ゲーミング用を謳うモデルです。立方体に近い形状も個性的。0.65インチのDMDを用いたDLPタイプで、光源は4LED(RGBB)を採用し、DCI-P3比100%の色域と最大3000ルーメンの高輝度を実現しています。
HDR10のみならずHLGにも対応し、放送映像との相性もよいです。AndroidTV機能を持つHDMIドングルが付属するほか、同社のオーディオ技術を活かした「treVoloチャンバースピーカー」(5W+5W)も搭載。

  • 映像モードは、「ピクチャ」の項目にある「画像モード」から選択が可能です。
    HDRコンテンツの場合は、「HDR10」「HLG」「HDR ゲーム」からモードを選べます。SDRコンテンツの場合は、「シネマ」「ゲーム」「スポーツ」のほか、「明るく」「Living Room」などのモードを装備。
  • プロジェクターの内蔵スピーカーを使用する場合は、オーディオ出力を「treVolo」に設定。サウンドモードは、「シネマ」「音楽」「ゲーム」「スポーツ」、ユーザーでカスタマイズできる「ユーザー」のモードを揃えています。
  • HDMI入端子を2基搭載し、どちらもHDCP 2.2対応、1基はeARCにも対応しています。X3000iはAndroid TVに対応しているため、プロジェクターで再生している映像コンテンツの音声をAVアンプなどに接続して出力することも可能。

ノイズが少なく自然な立体感が好印象

映画は、暗部は少し浮くものの充分に抑えられていて暗部階調も丁寧に描き、奥行の見通しがよいです。カラーブレーキングはゼロではないですが、かなり抑えられている印象。ミドルクラスの製品としては、エンハンスに頼らず解像感が高く、DMDのサイズやレンズの質がプラスに働いているように感じます。紀行映像の夜景は光の粒が引き締まって輝き、コントラスト面でも有利。音楽ライブはハイライトのピンク色が適度に抑えられて飽和感がなく、自然な立体感が好ましいです。エンハンスが控えめなのか、ノイズやバンディングが目立たないのもよい印象。騒音が非常に小さく、スピーカーの音もより活きます。映画視聴も高いレベルで満足できるモデルです。

  • X3000iの画質傾向/映像コンテンツの相性
  • X3000iの測定による傾向
    光源のパワーと光学系の相乗効果か、色温度を適正に保った状態でも明るいです。スペクトルは赤色のボリュームがたっぷりとしており、ゲーム映像などで原色の見映えを狙ったものでしょう。反面、映画映像では、表情がやや濃く重く感じられましたが、色の濃さをマイナス方向に調整するとよいでしょう。

LG ELECTRONICS「HU710PW」

  • LG ELECTRONICS
    「HU710PW」
    ¥OPEN(実勢価格¥300,000前後)

レーザー+LEDの独自光源を搭載

DLP方式で、光源は独自のレーザー+2ch LED構成。RBの2chをLEDが担当し、Gは青色レーザーを蛍光体によって変換しています。LEDもレーザーも緑色の発光は発展途上で、効率がよい青色を活用する向きがあります。映像の明るさは緑色の影響が大きく、緑色の発光効率向上は消費電力の低減にも寄与しているようです。明るさは最大2000ルーメン(ANSI)で、HDR10/HLGに両方対応しています。独自のwebOS搭載で各種動画配信サービスへの対応も万全で、特長的なマジックリモコンも備えます。

  • HDRコンテンツの場合で選べる映像モードは「あざやか」「標準」のほか、
    「シネマブライト」「シネマダーク」や、ゲーム用に最適化した「ゲームオプティマイザ」、UHD Allianceによって認定されたシネマ画質モード「FILMMAKER MODE」などを採用しています。
  • 「HDRトーンマッピング」機能では、HDRコンテンツの映像の明るさに対してリアルタイムに反応し、適切なコントラストで映像調整を施します。
  • HDMI入力端子を3基搭載し、そのうち1基はeARCに対応しています。USB-A入力を2基、光デジタル音声出力を1基、さらにLAN端子も搭載するなど、接続端子の豊富さはミドルクラス随一です。

明部が濃密で情報量も豊かに描き切る

本モデルは、映像が明るめの「シネマブライト」で画質を確認しました。暗部は黒にザワツキがなく、しっとり沈んで階調も豊かです。空のような明部もグラデーションが濃密でリッチな画調。映像処理が巧みで情報量の多い画です。暗部は色のコントロールもよく、肌色にも透明感が感じられ、目に心地よい。暗い映像でパン時にカラーブレーキングが若干目立ちますが、明るさを抑えると目立たなくなります。解像度面ではコントラストが高く引き締まって感じられ、レンズ性能が高い印象です。音楽ライブ映像は、中間輝度の階調が豊かかつ滑らかで、人物が有機的で躍動感も感じるほど好印象。粒状ノイズが適度に除去され暗部が落ち着き、S/N感も高いです。

  • HU710PWの画質傾向/映像コンテンツの相性
  • HU710PWの測定による傾向
    緑色の山の頂上が幅広で台形に近い形状になっています。面積の広さは明るいことを意味し、本機の光源構成と狙いが見て取れます。音楽ライブは色彩に飽和感が無く、ブルー一色の照明でも、その中に多くの色が感じられ、明るさの余裕を階調表現に活かしているようです。

ブランドの個性が色濃く反映される

ミドルクラスのモデルは、それぞれに尖った個性を持っていることが印象的でした。エントリーモデルに比べ、ブランドの考えがより濃く反映されていた印象です。「Cosmos Laser 4K」は取っ手が付いた外観がユニークで、機能面ではスピーカーが充実。好きな場所で気軽に大画面映像とサウンドを楽しむのに適したライフスタイルに寄り添う製品といえます。「HU710PW」はレーザーとLEDのハイブリッド光源が特徴で、暗室で色彩が豊かな映像を鑑賞したい方に適するでしょう。「UHD33」は明るいリビングで、「X3000i」はゲーミング用途を想定したモデルですが、それ以上に映画や音楽ライブなどさまざまの映像作品で価格以上の画質を楽しませてくれます。

測定から見るプロジェクターの特徴

今回のクオリティチェックでは、映画作品『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(4K Ultra HDブルーレイ)、紀行映像『『8K空撮夜景 SKY WALK』(4K Ultra HDブルーレイ)、音楽ライブ『アリアナ・グランデ:excuse me, i love you』(Netflix)の視聴と並行して、スペクトルと輝度の測定も実施しました。

今回、KIKUCHIのスクリーン「SES-120HDSG/K」に投写し、反射光をコニカミノルタの業務用の分光放射輝度計「CS-2000A」で測定。これにより、光源に含まれるRGB成分が分析でき、UHE光源/LED光源/レーザー光源といった光源の違い、そしてより繊細な設計意図も理解できる場合があります。

レーザー光源モデルの特長は、青色レーザー(単波長とも呼ばれる純度が高い青色)を用い、緑色と赤色は蛍光剤で変換することから、青色に針のような鋭いピークが見られることです。ただし山の幅は細く面積としては小さいので、映像の色味が青色に偏る訳ではありません。色純度の高さ、言い換えると色域の広さと、明るさを両立できる方式です。

ほか、グラフの読み方としては、RGBの山がくっきりしていると色域が広いことを表します。RGBが独立したLEDモデルは、実際の映像もそうした特徴がみられます。UHEモデルなど、山谷がなだらかな波形は、色純度やコントロールが不利な反面、映像が明るく感じます。光源による特性を知っておくと、用途に応じた製品の選び方にも役立つはずです。

  • 今回取材したプロジェクターのなかで、UHE光源を採用しているモデルのスペクトラム。
  • 今回取材したプロジェクターのなかで、LED光源を採用しているモデルのスペクトラム。
  • 今回取材したプロジェクターのなかで、レーザー光源を採用しているモデルのスペクトラム。

SPEC

OPTOMA「UHD33
●投写形式:DLP ●投写デバイス:0.47型DMD ●表示解像度:3480×2160 ●レンズ:1.1倍マニュアルズームフォーカスレンズ ●光源:UHEランプ ●投写サイズ:33~300型 ●明るさ:3,600lm ●騒音:26dB ●消費電力(待機時):336W(0.5W) ●主な入力端子:HDMI×2、USB×1 ●外形寸法:315.0W×115.0H×270.0Dmm ●質量:約4.2kg

NEBULA BY ANKER「Cosmos Laser 4K
●投写形式:DLP ●投写デバイス:0.47型DMD ●表示解像度:3840×2160 ●レンズ:電動ズームフォーカスレンズ●光源:レーザーダイオード ●投写サイズ:60~150型 ●明るさ:2.000lm ●騒音:約30dB ●消費電力(待機時):200W(0.5W)●主な入力端子:HDMI×1、USB-A×1 ●外形寸法:約165.0W×220.0.H×263.0Dmm ●質量:約4.9kg

BENQ「X3000i
●投写形式:DLP ●投写デバイス:0.65型 DMD ●表示解像度:3820×2160 ●レンズ:1.3倍マニュアルズームフォーカスレンズ ●光源:LED(4ch) ●投写サイズ:60~180型 ●明るさ:3,000lm ●騒音:28dB(消音モード時) ●消費電力(待機時):385W(0.5W以下) ●主な入力端子:HDMI×3、USB-A×2 ●外形寸法:272.0W×207.0H×259.0Dmm ●質量:約6.6kg

LG ELECTRONICS「HU710PW
●投写形式:DLP ●投写デバイス:DMD ●表示解像度:3840×2160 ●レンズ:1.6倍マニュアルズームフォーカスレンズ ●光源:レーザーダイオード+LED(2ch) ●投写サイズ:40~300型 ●明るさ:2,000lm ●消費電力(待機時):210W ●主な入力端子:HDMI×3、LAN×1、USB-A×2 ●外形寸法:259.0W×390.0H×129.2Dmm ●質量:6.5kg

REFERENCE

  • レコーダー
    PANASONIC
    「DMR-ZR1」
  • スクリーン
    KIKUCHI
    「SES-120HDSG/K」
  • 分光放射輝度計
    KONICA MINOLTA
    「CS-2000A」