VGP phileweb

レビュー

  • LG ELECTRONICS/PANASONIC/SHARP/SONY/TVS REGZA 4K有機ELテレビ2022年モデル、プロの評論家が画質音質をレビュー 完成度を追求したモデルと新構造パネルを採用した機種が並ぶ

    取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2022年10月19日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

シネフィルにとって欠かせない、黒の表現力に優れ、コントラストの高い映像が楽しめる有機ELテレビ。そのなかでも、ホームシアターファンに特に注目してほしい、プレミアムクラスの大画面4K有機ELテレビ、2022年モデルを集めてその実力を検証しました。ぜひ、お好みの画質・音質に近い大画面テレビを選んでください!

  • ハイエンドの4K有機ELテレビの一斉レビューでは、5つの製品の画質・音質をチェックしました。取材では、コンテンツに合わせて映像モードも変更。映画作品はシネマ、ビデオコンテンツは標準に関連するモードを選択しました。また、オートAIに関連するモードとの比較、環境センサーのオン/オフもチェックしています。

・同じ有機ELテレビでも、パネルまわりにメーカーごとの工夫がある

有機EL方式は、現在の大画面・高画質テレビの中心的存在です。大画面テレビ用の有機ELパネルは生産メーカーが限られていることもあったため、メーカー各社がパネルの構造に独自設計を盛り込むなどして、有機ELパネルの性能を底上げしてきました。また、有機ELパネルの輝度を安全に向上させるために、各社開発した放熱・冷却プレートを追加するなどの方法も用いています。特にハイエンドモデルにおいて、その流れは明らかであり、そして完成度も未だかつてないほどに高まっています。

2022年はそこに、新たな構造を採用した有機ELパネルを採用したモデルが登場しました。ソニーの一部のモデルが搭載する「QD-OLED」と呼ばれるパネルで、QDは「Quantum dot=量子ドット」を意味します。従来の有機ELパネルは「WOLED」と呼ばれ、白色光源(W)からの光をRGBフィルターに透過して映像表現する方式でした。しかしQD-OLEDは、青色光源からの光を量子ドットシートで波長変換して映像表現します。WOLEDはWRGBの4光源ですが、QD-OLEDはRGBの3光源のためシンプルな構造となっており、色純度の点で利点があるといわれています。

  • 有機ELパネルそのもののクオリティを高めるため、各社が独自構造を導入、放熱・冷却プレート、バックカバーの採用など、完成度を上げています。さらに、新たな有機ELパネルの方式の誕生も話題になりました。
  • 有機ELパネルの特性を活かし、高精度に駆動させることで、より高い次元で画質を追求するキーテクノロジーとなるのが映像エンジン。長年、テレビ開発で培ってきたノウハウを土台とし、映像処理制度を高めています。

しかし、やはりここでも高画質のカギとなるのが各社の映像エンジンです。年々、その映像処理の精度は高まり、リアルタイムで可能な処理もレベルアップしています。パネルとエンジンによる組み合わせで、どこまで画質を追求できるか。その実力がさらに問われることとなりました。大画面テレビ市場への導入以来、事実上1方式だった有機ELが、方式による画質と性能の違いを競い合う状況にまで到来したのです。まさに有機EL方式・第2章の開幕として、今回の比較視聴を楽しんでもらえることでしょう。

  • 映像作品のジャンルや、ネット動画か放送番組かなど、さまざまな映像を学習してきたデータベースをもとに、あらゆる映像に対して最適な映像処理をリアルタイムで施すことができる、AIによる映像処理技術が進化しました。
  • ハイエンド・4Kテレビでは、高音質の追求も見逃せません。立体音響を再現するために、テレビ上部にトップスピーカーやイネーブルドスピーカー、左右にサイドスピーカーを搭載したり、ラインアレイスピーカーやアクチュエーターを導入したり、各社各様のアプローチがあります。

42インチ有機ELはこちら>>>待望の42インチ・4K有機ELテレビを徹底比較

有機ELミドルクラス・スタンダードモデルはこちら>>>狙い目の実力派・4K有機ELテレビを徹底比較

LG ELECTRONICS「OLED G2シリーズ」

  • LG ELECTRONICS
    「OLED G2シリーズ」
    OLED55G2PJA ¥OPEN(実勢価格¥400,000前後)
    OLED65G2PJA ¥OPEN(実勢価格¥550,000前後)
    OLED77G2PJA ¥OPEN(実勢価格¥830,000前後)

「OLED evo」で画質を徹底追求

LGエレクトロニクスの4Kテレビにおいて、史上最高画質として登場した「LG OLED evo Gallery Edition」です。「OLED G2シリーズ」は、従来の有機ELパネルから、RGBの波長をブラッシュアップさせた「OLED evo」を搭載。併せて映像エンジン「α9 Gen 5 AI Processor 4K」を投入するなど、フラグシップモデルにふさわしい高画質技術を導入しています。

最先端の映像アルゴリズムを持ち合わせた本機ならでは技術が盛り沢山であり、明るさを強化した「ブライトネスブースターマックス」や、AIを用いて映像の色彩とコントラスト感をリアリティ豊かに描く「オブジェクト型リアルタイム映像処理」など、高精度な映像処理を成し得ています。オリジナルの「ThinQ AI」によって、カスタマイズできるコンテンツ表示も特長です。

  • 大幅に進化した独自のAI対応映像エンジンである「α9 Gen 5 AI Processor」では、オブジェクト検出による精細感や色彩表現の向上、ピクセル自発光制御による鮮明なコントラスト表現、HDRのトーンカーブの最適化などを実現しています。
  • 映像と音声の両方で高精度な処理を成し得る「リアルタイムAIプロセッサー」は、映像ジャンルを自動認識し、色や明るさ、トーンカーブを補正、オブジェクト型リアルタイム映像処理を行い、バーチャル7.1.2chサウンドへ変換といったステップを踏み、画質と音質の最適化を図っています。
  • OLED G2 seriesに搭載された新パネル「OLED evo Gallery Edition」は、新たな発光素材を使用しRGBの波長を改善、さらにカラーレイヤーを追加したことで、輝度と色純度を圧倒的に高めています。通常の有機ELパネルと比較しても、その差は歴然です。

光の表現が細やかで自然光も鮮やか

4K UHD BDのビデオコンテンツは、映像モード「FILMMAKER MODE」で視聴すると、良好なバランスが得られました。見栄えを意識した演出臭がなく好感触。動きが滑らかで建物の輪郭が端正に描きます。灯火が引き締まり文字に滲みがなく、地平線の彼方まで細やかな光を散りばめて壮観。その反面、輪郭強調とノイズリダクションは掛からず、映像のノイズもありのままに映し出します。新宿の高層ビル群の外壁のじらじらしたノイズは、他のモデルよりも目に付く印象です。

映画コンテンツでは、映像のマチエール(地肌)の表出にとても優れており、雨や霧、スモークなどの要素が映像に立ち籠めます。黒が深々と沈み込み、映画の世界観を全開に表現。俳優の衣服にノイズが乗らず、自然光のシーンも瑞々しく、映画でも透明感のある再現を得意とします。

  • OLED G2シリーズのHDR信号入力時の映像モードは「あざやか」「標準」「シネマブライト」「シネマダーク」「ゲームオプティマイザ」「FILMMAKER MODE」から選択できます。AIによる自動画質調整機能を活用したい場合は、別途「AIサービス」から「AI映像プロ」「AI輝度設定」「AI映像ジャンル選択」の機能をオンにしましょう。
  • マジックリモコンに搭載されているマイクを活用して設定する自動音場補正機能である「オートサウンドチューニング」。機能を使用する際は、初期設定としてテスト音声による音質チェックを行い、テレビからのサウンドを自動調整します。
  • 電源ケーブルは着脱に非対応。HDMI入力端子は4基搭載しており、4基全て4K/120Hz入力に対応、eARC/ARC対応の端子は1基備えています。端子は、背面と背面側面に分かれて設置されています。
  • 「OLED65G2PJA」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

PANASONIC「LZ2000シリーズ」

  • PANASONIC
    「LZ2000シリーズ」
    TH-55LZ2000 ¥OPEN(実勢価格¥440,000前後)
    TH-65LZ2000 ¥OPEN(実勢価格¥610,000前後)
    TH-75LZ2000 ¥OPEN(実勢価格¥850,000前後)

独自設計・組み立てで画質を極める

独自構造の有機ELパネルを搭載した4K有機ELテレビを、他社に先駆けて開発してきたパナソニック。今期のフラグシップモデル「LZ2000シリーズ」では、独自設計・組み立て、独自素材による貼付け構造、一体型放熱プレートを採用した「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイNEO」を搭載しました。さらに独自のパネル制御「Dot ContrastパネルコントローラーPro」と「Bright Booster」を装備しています。「オートAI画質」は、新たに部屋の明るさや照明の色による影響も考慮した自動最適化も可能に。

サウンド面でも躍進しており、イネーブルドスピーカー、ワイドスピーカー、そこへ新たに正面スピーカーとしてラインアレイスピーカーを採用することで、「360立体音響サウンドシステム+」の音質を高めています。

  • 独自設計・組立て、独自素材を用いた貼り付け構造、そしてバックカバー一体型の放熱プレートを採用したことで、他と一線を画す高コントラストを叶えた「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイNEO」を搭載しています。
  • さらなる輝度向上を実現させるパネル制御技術「Bright Booster」を搭載。画素ごとのパネル発光状態を時間軸で管理、さらに3次元映像信号解析と温度センサーを追加して管理しながら、独自の電流制御アルゴリズムで駆動させることでコントラストを高めています。
  • LZ2000シリーズに投入した「360立体音響サウンドシステム+」では、イネーブルドスピーカー、ワイドスピーカー、そして画面下部に多数のスピーカーユニットを並べることでクリアなサウンドを追求した、ラインアレイスピーカーが組み込まれています。

優れた鮮鋭感と透明感を両立する

4K UHD BDのビデオコンテンツでは、映像モード「オートAI」精度のよさが際立ちます。暗部の情報量が豊かで、潰れずにしっかりとディテールを伝えてくれます。暗部が滲むことなく、常に透明感に満ちていてクリア。「Dolby Vision Dark」で視聴したネット動画は、色彩感もコントラストも豊かで、アクションシーンの閃光が画面から飛び出す華やかさと迫力があります。クリーンで清潔すぎる感もありますが、シャドウ部の俳優の表情が鮮明で常に破綻がなく、ネット動画の描写力を格段に高めた印象です。

映画作品では「シネマプロ」を選択しましたが、落ち着きのある映像もコントラストがよく、暗部と輝度のメリハリ感も持ちながら鮮鋭感を維持できており、バランス感覚が優秀。サウンドは自然音が背後に広がり、試聴室であることを忘れさせるほど広々として、音場がよいです。

  • LZ2000シリーズの映像モードは、選べるモードが多く、視聴している映像コンテンツに合わせて自動で画質調整を施す「オートAI」をはじめ、シネマ関連のモードでは「シネマ」「ファイルシネマ」「シネマプロ」を用意、ユーザー自身で画質を詳細に調整した画質を固定でき、ISFccc規格に準拠したモードである「キャリブレーション」「プロフェッショナル」も備えています。
  • リモコンのマイクを使って、テレビの設置環境や視聴ポジションに合わせて、自動音場補正を行う機能「Space Tune」を搭載しています。「Space Tune調整」で設定を進めていき、「Space Tune Auto」の項目を選択すれば、テストトーンを測定し、さらに最適化を図ったサウンドに調整できます。
  • 電源ケーブルの着脱は非対応。HDMI入力端子は4基搭載しており、eARC/ARC対応の端子は1基、4K/120Hz入力に対応する端子は2基装備しています。端子は、背面と背面側面に分離して設置されています。
  • 「TH-65LZ2000」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

SHARP「ES1ライン」

  • SHARP
    「ES1ライン」
    4T-C55ES1 ¥OPEN(実勢価格¥385,000前後)
    4T-C65ES1 ¥OPEN(実勢価格¥550,000前後)

高輝度有機ELが第2世代へと進化

シャープの4K有機ELテレビ「AQUOS OLED」のシリーズは2系列ありますが、ハイエンドに位置するのが「ES1ライン」です。放熱構造「クールダウンシールド」を組み合わせた第2世代の高輝度有機ELパネル「S-brigttパネル」を採用しています。さらに、有機ELの独自制御で輝度を高める「Sparkling Drive EX」も搭載。

映像エンジンには、AI高画質画像処理を実現する「Medalist S3」を搭載したことで「精細感復元」や「スマートアクティブコントラスト」、「リッチカラーテクノロジープロ」など、高画質機能を高い精度で反映できるように。サウンド面では「ARSS+」を搭載し、画面の背面上部にミッドレンジ+トゥイーターを搭載したハイトスピーカー、背面にサブウーファーを組み合わせた構成のサウンドシステムを導入しています。

  • ES1ラインに採用されたAIプロセッサー「Medalist S3」では、映像コンテンツ内の人の顔や風景を高精度で検知し、最適な映像ジャンルに併せて映像を自動で調整。精細感、色彩感、コントラスト感を最適化することで、映像の臨場感を高めています。
  • 有機ELの発光に伴う発熱を効果的に抑制するための放熱構造「クールダウンシールド」を採用した、高輝度有機EL「S-Brightパネル」では、従来の有機ELモデルよりもさらに暗部から明部まで、コントラスト豊かに表現することができます。
  • 全11基のスピーカーに加え、聴き取りやすい音のダイレクトさと臨場感を兼ね備えた「ARSS+」を搭載。画面の上部に配置したハイトスピーカーは、前面に20度傾けた形状にすることで、包み込まれる臨場感をさらに高めています。

鮮鋭感豊かでリッチな量感を重視

ネット動画は「Dolby Vison Dark」で視聴しました。絵画的な画作りで、全体的に濃い味の印象です。4K UHD BDのビデオコンテンツでは、やや明るさが抑えられ、鮮鋭感豊かで明るく克明。映像モード「AIオート」だと、コントラストが少々強く加味されていて、美麗ですが夕空の描写等にやや誇張感がありました。「標準」に切り替えて、映像レベル、明るさ、黒レベルを調整すると、有機ELらしい深い黒が出ます。暗部のニュアンス表出より厚みとリッチな量感を重視した印象です。動きの描写は自然。

Dolby Vision Darkで映画作品を視聴すると、柔らかな質感の黒が魅力。サウンドもドルビーアトモスの包囲感を十分に堪能できます。SEの音場への散らし方が鮮明で、劇伴が高潮しパーカッションの低音は量感豊か。同社のテレビで最高の音質です。

  • ES1ラインの映像モードは「AVポジション」の項目から調整でき、コンテンツに合わせて自動で映像調整が可能な「AIオート」、「標準」「ダイナミック」「映画」などのモードを選択が可能です。ドルビービジョンが入力された場合は、「Dolby Vision(ダーク/ブライト/ダイナミック/ゲーム)」から選択できます。
  • ドルビーアトモスに対応しているため、立体音響の効果を楽しみたい場合は「Dolby Atmos」の入を選択。高さ方向のサウンドは「ハイトスピーカーレベル」の項目で調整することができます。音質モードは「標準」「ダイナミック」「イマーシブサウド」「音楽ライブ」を用意しています。
  • 電源ケーブルの着脱は不可。HDMI入力端子は全部で4基、そのうちeARC/ARC対応は1基、4K/120Hz対応は2基搭載しています。端子は、背面部と背面側面部に設置。
  • 「4T-C65ES1」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

SONY「A95Kシリーズ」

  • SONY
    「A95Kシリーズ」
    XRJ-55A95K ¥OPEN(実勢価格¥473,000前後)
    XRJ-65A95K ¥OPEN(実勢価格¥660,000前後)

「QD-OLED」を新搭載した最上位

ソニーの4K有機ELテレビのトップレンジとして誕生した「A95Kシリーズ」は、新たに青色光源を用いて量子ドットテクノロジーを組み合わせた「QD-OLED」を採用したことで、純度の高い発色を実現しています。認知特性プロセッサー「XR」の高精度な信号処置によってQD-OLEDの特長を活かし、暗部から明部まで鮮やかな色階調を成し得ました。さらにパネル表面の温度分布を検知する温度センサーと、放熱用インナープレートによって、色彩輝度を大幅に向上させています。

パネルにアクチュエーターを取り付けて、画面自体を振動させて音を出力する「アコースティックサーフェスオーディオプラス」は、従来モデルよりも2基のアクチュエーターのコイルを大型化したことで高音の表現力を高めました。最新のGoogle TV機能も搭載しています。

  • 認知特性プロセッサー「XR」による有機ELパネル特性と映像信号の分析・処理、加えて温度センサーと放熱用インナーシートを採用した「QD-OLED」パネルを組み合わせることで、従来モデルよりも最大で200%の色彩輝度の拡大を可能にしました。
  • 「XR」は、元の映像信号から精細感や色、コントラストや奥行きなど、さまざまな情報を横断的に分析・処理することで高画質化を追求。「XR Triluminos Max」や「XR Smoothing」、「XR Super Resolution」などの高画質機能を実現させています。
  • 独自の音響技術「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」を採用。画面中心に搭載した真円大型アクチュエーターで直接画面を振動させて音を出力することで、被写体の位置に合わせた音を作り出し、さらに包囲感のあるサウンドも併せ持ちます。

暗部に解像感があり光も華やか

放送番組は「スタンダード」で視聴しましたが、そこから「カスタム」に切り替え、明るさや、色合いなどを調整しました。打てば響くように、画が好みのバランスに変わります。モーションフローも動きボヤケがなく、レスポンスに優れ調整の自在さも特長です。ネット動画は「Dolby Vision Dark」で視聴。やや暗部が沈みますが、逆光やダークシーンでも表情が潰れず階調が豊か。

4K UHD BDのビデオコンテンツは、スタンダードではやや黒浮きしたため、カスタムに変更してみると、同社らしいハイコントラストで爽快な画に変わりました。マスクされがちな微妙な暗部情報が出て、闇を見通す解像感があり、光と影の対比が華やかに感じられます。QD OLEDの赤の純度は目を射るようです。映画作品では、ドロドロした重い黒にならずフィルムライクで甘美。音も映像のアクションの動きと一致する、一体感が大きな強みです。

  • A95Kシリーズの映像モードは、「スタンダード」「ダイナミック」「シネマ」「ゲーム」「グラフィックス」などのモードを用意。HDMIから入力される映像信号の解析し、映像コンテンツの種類に合わせて、自動で映像モードを選んでくれる「オート画質モード」も搭載しています。
  • 映像コンテンツの内容をリアルタイムに解析して、そのコンテンツの内容に沿って超解像処理とノイズ除去処理を併せて行う「リアリティークリエーション」は、「オート」を選択すれば自動に最適化され、またユーザー側で効果を調整することも可能です。
  • 電源ケーブルは着脱が可能です。HDMI入力端子は4基搭載し、eARC/ARCに対応する端子を1基、4K/120Hzに対応する端子を2基搭載しています。
  • 「XRJ-55A95K」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

TVS REGZA「X9900Lシリーズ」

  • TVS REGZA
    「X9900Lシリーズ」
    55X9900L ¥OPEN(実勢価格¥385,000前後)
    65X9900L ¥OPEN(実勢価格¥550,000前後)

レグザエンジンのAI技術を昇華

新世代レグザ専用の高コントラスト有機ELパネルを搭載した最上位モデル。自社開発の高冷却インナープレートとメタルバックカバーを新世代有機ELパネルに組み合わせ、従来の約1.2倍まで輝度を高めています。ディープニューラルネットワークを駆使した映像処理を実現する、最新のハードウェアAIエンジン「レグザエンジンZRα」を搭載しています。

被写体と背景を識別し、それぞれに超解像処理をかける「AIナチュラルフォーカステクノロジー」、肌の色を自然なトーンにする「美肌AIフェイストーンZRα」、さらに「ネット動画AIビューティZRα」や「地デジAIビューティZRα」など、進化した映像処理を実現。タイムシフトマシンはもちろん、センターにもスピーカーを配置した新たなサウンドシステム「重低音立体音響システムXHR」にも注目です。

  • レグザ史上最高輝度を誇る「新世代レグザ専用 高コントラスト有機ELパネル」は、新設計の自社開発高冷却インナープレートを最新世代の有機ELパネルに組み合わせることで、従来モデルと比較して約1.2倍の輝度向上を実現しています。
  • AIが映像内にある顔領域をリアルタイムで検出、肌色のカラーシフトを高精度に判定することで、自然な顔色への補正を実現。さらに被写体に適した超解像処理も併せて実施し、立体感を高めた人物描写を可能にします。
  • 「重低音立体音響システムXHR」は、2ウェイ・バスレフボックス・メインスピーカー、トップトゥイーター、サイドトゥイーター、重低音バズーカ、そしてスクリーンスピーカーを合わせた全10基のスピーカーを搭載し、より自然な音像描写を実現します。

複雑な明暗の表現をきめ細かく描写

放送番組は、映像モードを「放送プロ」で検証しました。透明感があり、平坦部にノイズもなくベストバランス。女性キャスターは、メイクの濃淡、地肌のニュアンスに目が惹きつけられます。ネット動画では「Dolby Vision Dark」に設定すると、暗部がきめ細やかで滑らかな質感のしっとりした映像に。

4K UHD BDの映画作品では、黒の表現が滑らかで柔らかさがり、かつ複雑な黒の階調表現にも応えてくれます。ビデオコンテンツは、明暗コントラストの豊かさ、力強さが随一。灯火も引き締まってきめ細かい表現も描き切ります。新国立競技場の客席が遠目でも落ち着いてざわつかず、回路技術の高さの証左といえます。明部の階調も豊富。BGMは軽やかな美音が心地よく浮き上がります。映画ではホームシアターバー要らずの重量感、スケール感とエネルギー感を表現します。

  • X9900Lシリーズの映像モードは「映像メニュー」の項目から設定可能。「あざやか」「標準」の他、「放送プロ」「映画プロ」「ゲーム」など映像ジャンルに合わせたモード、そして映像の内容と視聴環境の明るさに応じて最適な画質に自動調整する「おまかせAI」などのモードを用意しています。また、別設定で「クラウドAI高画質」をオンにすれば、さらにネットワークを使って、映像内容に合わせた画質に最適化されます。
  • 「音声詳細設定」に含まれる「オーディオキャリブレーション」をオンにすれば、テレビのリモコンマイクとテレビから出力されるテストトーンを併せた自動音場補正機能が使用できます。測定することで、通常時よりもさらに視聴環境に最適化されたサウンドを楽しめます。
  • 電源ケーブルの着脱に対応。HDMI入力端子は全部で4基搭載しており、そのうちeARC/ARC対応は1基、4K/120Hz対応は2基装備しています。タイムシフトマシン専用のUSB端子を2基搭載していることも特長です。
  • 「65X9900L」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

全て極めて高レベルだが性格差は歴然

VODの高画質化は、4K有機ELテレビのクオリティも著しく進化させたことを、改めて実感しました。OSもAndroid TV、Google TVを搭載したモデルが増えてきている印象です。HDRの機能も進化し、Dolby Vision IQやHDR10+ ADAPTIVEといった機能を搭載したモデルが、ハイエンドに増えているのも特徴的でした。今回、5モデルを視聴しましたが、極めて高いレベルの比較でした。4K液晶テレビは画質・音質にばらつきがありましたが、4K有機ELテレビはずっと僅差で、どのモデルを選んでも満足できるでしょう。しかし、性格差は歴然と存在します。

注目のソニーは色純度以上に暗部の透明感が印象的で、打てば響くレスポンスの高さと調整の奥深さが魅力でした。逆にセッティングに手間取らず、素性のよさを感じさせてくれるのがパナソニックで、よく練り上げられた画質・音質、そして使い勝手のよさは万人に薦められます。逆に尖った魅力と潜在能力の高さを実感させるのがLGエレクトロニクスで、腕に覚えのあるAVファイルに薦めたいモデルでした。濃密でおおらかな映像美ならシャープ、今回はサウンドも画に拮抗するスケールです。そして総合的に完成度が高く、入力ソースを問わず4K有機ELテレビとして高い忠実度を堅持する“ぶれない”TVS REGZAに強く惹かれました。

  • 視聴のレファレンスには、4K UHD BD『8K空撮夜景 SKY WALK』、『THE BAT MAN-ザ・バットマン-』、ネット動画にはNETFLIX『グレイマン』、そして地デジのニュース・バラエティー番組を放送番組として用いています。

SPEC

LG ELECTRONICS「OLED65G2PJA
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:65型(1428W×804H/対角1639mm)●画素数:3840× 2160 ●対応HDR規格:HDR10 、HLG、Dolby Vision ●スピーカー:フルレンジ×2、トゥイーター×2、ウーファー× 2 ●音声出力:10W+10W+10W+10W+10W+10 W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、 Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:486W(待機時約0.5W)●外形寸法:1441W×878H×245Dmm(スタンド含む)●質量:約27.6kg(スタンド含む)

PANASONIC「TH-65LZ2000
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:65型(1428 W×804H/対角1639mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10、HLG、HDR10+、Dolby Vision ●スピーカー:ラインアレイスピーカー×1、イネーブルドスピーカー×2、ワイドスピーカー×2、ウーファー×1 ●音声出力:80W+15W+15W+15W+15W+20W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声出力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN× 1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:567W(待機時約0.3W)●外形寸法:1448W×916H×348Dmm(スタンド含む)●質量:約29.5kg(スタンド含む)

SHARP「4T-C65ES1
●デジタルチューナー数:地上デジタル× 3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K× 2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:65型(1428W×804H/対角1639mm)●画素数:3840× 2160 ●対応HDR規格:HDR10、HLG、Dolby Vision ●スピーカー:ミッドレンジ×4、ハイトミッドレンジ×2、トゥイーター×2、ハイトトゥイーター×2、サブウーファー×1 ●音声出力:7.5W+7.5W+15W+15W+15W+10W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力 ×1、アナログ音声出力×1、USB入力×3他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:510W(待機時約0.5W)●外形寸法:1448W×895H×304Dmm(スタンド含む)●質量:約35.5kg(スタンド含む)

SONY「XRJ-65A95K
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×3 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:65型(1428 W×804H/対角1639mm)●画素数:3840×2160 ● 対応HDR規格:HDR10、HLG、Dolby Vision ●スピーカー:アクチュエーター×2、サブウーファー×2 ●音声出力:20W+20W+10W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声出力×1、USB入力×2他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4 GHz、5GHz)●消費電力:401W(待機時約0.5W)●外形寸法:1444W×851H×301D(フロントポジション/スタンド含む)●質量:約40.9kg(スタンド含む)

TVS REGZA「65X9900L
●デジタルチューナー数:地上デジタル×9、 BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:65型(1428W×804H/対角1639mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10、HLG、HDR10+、Dolby Vision ●スピーカー:フルレンジ×2、トゥイーター×2、サイドトゥイーター×2、トップトゥイーター×2、ウーファー×1、スクリーンスピーカー×1 ●音声出力:10W+10W+10W+10W+5W+5W+5W+5W+20W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声出力×1、USB入力×4他 ●ネットワーク接続:LAN×1、 Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:542W(待機時約0.5W)●外形寸法:1452W×868H×336Dmm(スタンド含む)●質量:約29.5kg(スタンド含む)