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  • ルームチューニングでいい音大作戦 なぜ、映画館はいい音なのか?
    ホームシアターには「ルームチューニング」が必要だ!

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年3月22日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

映画館が“いい音”なのは理由がある

ホームシアターの理想のひとつ、映画館はなぜ「いい音」なのでしょうか。それは単純に機材のスペックがスゴイから、という話だけで片付けられません。映画館は、どの席からでも作品が意図するサウンドを味わえるように、反響音までも厳密に計算して設計されています。つまり、音質やサラウンドの立体効果をきちんと引き出そうと、音の響きを適正にコントロールする「調音」が施されているのです。映画館の品質基準として知られる「Dolby」や「THX」でも、そうした音にまつわる基準を設け、認証テストも行う厳格さで知られています。

  • ドルビーが提案するプレミアムなシネマシステム「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」。国内では2018年11月にT・ジョイ博多で導入されたのを皮切りに、全国で9館が導入しています。※関東(丸の内ピカデリー、新宿バルト9、MOVIXさいたま、T・ジョイ横浜)、中部(ミッドランド・スクエア・シネマ)、近畿(梅田ブルク7、MOVIX京都、TOHO CINEMASららぽーと門真)、九州(T・ジョイ博多)
  • 写真はアメリカのAMCシアターズで展開される劇場の様子。ドルビーシネマでは、没入感を向上させるために、劇場によっては切子面のある天井や壁面をカスタマイズして設置するなど、最良の音環境にするために「調音」を施しています。

作品に収録された本来の”いい音”を引き出せる部屋にしよう

読者のみなさんがいま手にしているブルーレイやNETFLIXでは、「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」という映画館に匹敵するクオリティの音を収録している作品が増えています。それは言い換えると、再生環境を整えれば映画館と同等、あるいはそれ以上で制作者の意図した立体音響を楽しめる可能性を秘めています。

では、映画館とホームシアターでサウンドの臨場感が異なる理由とは? それはスピーカーやアンプといった機材のグレードや音量だけでなく、「部屋」の音響特性(響き)が原因であることも多いです。たとえば、トンネルの中で映画を見たら、音がワンワンと反響して聞き取り難いことはご想像いただけるでしょう。そうした好ましくない現象が、もしかするとみなさんのホームシアターでも引き起こされている可能性があります。

今後アップされるPART.2以降の記事では、そうした悪さをする不要な反響音を対策して、いい音をつくるセオリーと自宅でできる調音、ルームチューニングのテクニックをご紹介していきます。

音質改善テクニックその1>>>「高音がキンキンする」対策は?

※この記事はホームシアターファイルVOL.79の特集「いい音大作戦」をもとに制作されています。