1つのスピーカーに対して2組のケーブルを接続することを「バイワイヤリング(bi-wiring)」と呼び、音質を高めるテクニックの1つとして知られています。しかし1組でも音が出るのに、あえて2組を用意するのは面倒に感じたり、そもそも音質改善効果に疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、バイワイヤリングによって音質が向上する理由と、聴感上の効果例をご紹介します。
バイワイヤリング接続の手順・メリット
まずバイワイヤリングの効果を得るには、少なくともスピーカーがバイワイヤリング接続に対応していることが前提条件です。スピーカーのバイワイヤリング対応とは、2ウェイ以上のドライバー構成で、トゥイーターとウーファーそれぞれに専用のスピーカー端子があること。
- ちなみにバイワイヤリング対応スピーカーも、通常、出荷時にはトゥイーターとウーファーを電気的に結合するジャンパーワイヤー(短いケーブル)やジャンパープレート(金属の板)がセットされているので、1組のスピーカーケーブルで鳴らすことができます。バイワイヤリングは少し贅沢な使い方と考えればよいでしょう。
本題のバイワイヤリング接続のメリットは、電気的には諸説あるものの、主にウーファーが振幅することによって発電機のように発生する電気(逆起電力)が、一度アンプに戻って受け止められることで、より繊細な電気信号を扱うツイーターに回り込みにくいというものです。
実際の聴感上のバイワイヤリング効果ですが、空間が広く開放的になったり、ボーカルが明瞭で聴きやすくなるなどさまざま。とはいえ、やはりトゥイーターからの再生音がよりピュアでナチュラルになるのは体感できるところといえそうです。
- 接続の一例。アンプ側もバイワイヤリングに対応し、トゥイーターとウーファーを別々のアンプ回路で駆動する場合は、さらなる音質改善効果が期待できます。
もしお手持ちのスピーカーがバイワイヤリング対応なら、ぜひバイワイヤリング接続にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? スピーカーケーブルの追加だけで、新しいサウンドに出会えるかもしれません。
- クリプトンのバイワイヤ対応スピーカーケーブル「SC-HR2000」。お手持ちのスピーカーがバイワイヤ対応なら、ケーブルをこちらに交換するのもお薦めです。