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レビュー

  • DENON「DHT-S217」/YAMAHA「SR-B30A」/SONY「HT-S2000」 ミニマルテレビシアターのススメ・50インチ級TVのサウンドバーは“設置性”で選ぶ! ワンボディ&HDMI eARC対応モデル3機種

    取材・執筆 / 折原一也
    2023年9月1日更新

    • VGP審査員
      折原一也

50インチ級TVにマッチする新定番サウンドバー3機種

高画質&大画面のバランスが取れた、50インチクラスのテレビ。購入後にパワーアップしたいポイントとして、”音”は真っ先に注目したいところです。しかし、サウンドバー選びでつい見落としがちなのが「設置性」です。今回はパナソニックの55インチの4K有機ELテレビ「TH-55MZ1800」をお借りして、その画面サイズの横幅121センチ以内に収まる、インテリアを損ねないサウンドバーから、音質的にもお薦めできるモデル3つを厳選しました。いずれもサブウーファーなし、ワンボディで臨場感が得られる定番&最新モデルです。壁寄せテレビスタンドに設置した際のバランスのよさを検証しつつ、それぞれの音質をチェックしました。(編集部)

  • PANASONICの55V型4K有機ELテレビ「TH-55MZ1800」と、SWINGの壁寄せテレビスタンド「WS-C590」を組み合わせて取材を行いました。55V型テレビの画面サイズは横1210×縦680mmほど。ここではサウンドバーの横幅がテレビの3分の2程度にピッタリ収まるサイズ感でお薦めできる3機種を厳選して、聴き比べてみました。

今回の取材では映画2本、アニメ1本、そして音楽1本の計4作品を試聴して比較を行いました。映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(以下アバターWOW)』では、CH30からの水上〜水中での戦闘シーンを通して、上下左右の音の移動感などをチェック。映画『トップガン マーヴェリック』では音の厚みや低域再生の迫力を確かめるため、冒頭のマーヴェリックのジェット機が離陸するシーンなどを試聴しました。

アニメ作品は、ユーザーの視聴環境になるべく近くなるよう、動画配信サイトにてチェックしました。セリフの聞きとりやすさ、リアリティを中心に確認しました。そしてステレオ再生およびアップミックス時の音質も確かめるため、音楽はジャズシンガー・ピアニスト、ダイアナ・クラールのアルバム『wallflower』より「California Dreamin’(夢のカリフォルニア)」を試聴しました。(編集部)

  • 『アバターWOW』と『トップガン マーヴェリック』は4K Ultra HDブルーレイをPANASONIC「DMR-ZR1」を使用して再生。アニメはテレビの内蔵アプリにてAmazon Prime Videoから、音楽はデバイスをBluetooth接続し、Apple Musicにて再生してテストしました。

DENON「DHT-S217」〜原音の質感を重視した優秀機

  • DENON
    DHT-S217
    ¥OPEN(実勢価格¥29,700/税込)
  • DHT-S217の音質傾向

音質のよさで大ヒットとなった「DHT-S216」の後継モデルとして、デノンが2022年に発売した一体型サウンドバー「DHT-S217」。一体型ボディながら、ドルビーアトモスをはじめ上位機種と同じ、高音質フォーマット対応を特長としています。

映画『アバターWOW』は本体サイズ以上の移動感と定位で、水中の水音は暴力的な肉厚さとパワーを巧みに再現してくれました。『トップガン マーヴェリック』は、フロントの立体感と音の密度感がよく、画面サイズに見合った高さ再現が優秀。ただし上位機種と比べると、ジェットエンジンの轟音は、若干軽めの再現にとどまります。

アニメ作品は、声とBGMのクオリティが高く、特に男性声優のボイスの厚み、女性声優の声の質感もしっかり再現。画面の奥にまで広がるBGMも臨場感を引き出します。

音楽「California Dreamin’」は、ややハスキーな歌声の再現性に優れ、空間をしっかり音楽で満たしてくれました。

DHT-S216の後継として、音のタッチ、質感を重視したサウンドで、バランスのとれた優秀機です。

  • Bluetooth ○(SBC)
    HDMI(ARC/eARC) ○
    ドルビーアトモス ○
    DTS:X −
    アプリ −
    壁掛け ○(壁掛け用プレート付属)
  • ドルビーアトモスをはじめとするロスレス音声入力に対応した本機。DENONサウンドを統括するサウンドマスター・山内慎一氏がチューニングを担当しています。デジタル信号処理によって左右の広がりと高さをバーチャルで再現するために、ハイエンドAVアンプで培ったノウハウを投入したSoCを搭載。オーディオブランドらしいHi-Fi志向の表現力と、音の広がりを両立しました。
  • DHT-S217の内部構造。フロントL/Rにカスタムメイドの25mmトゥイーターを2基と90mm×45mm楕円形楕円形ミッドレンジを2基、底面に75mmのサブウーファーを2基搭載。左右両端にはバスレフポートも備えた3ウェイシステムによって、クリアな質感と豊かな低音再生を両立しました。

YAMAHA「SR-B30A」〜メリハリの効いた移動表現が見事

  • YAMAHA「SR-B30A
    ¥OPEN(実売想定価格¥33,000/税込)
  • SR-B30Aの音質傾向

ワイヤレスサブウーファーが付属する「SR-B40A」とともに新たに登場した、ワンボディで臨場感ある立体音響に対応する、ヤマハサウンドバーの2023年最新モデルです。今回はより設置性に優れた「SR-B30A」の音質をチェックしていきます。

映画『アバターWOW』は、特に画面内の移動に対する音のキレ、ダイナミックな再現が印象的です。前方で繰り広げられるスリリングな映画体験をしっかり没入して楽しめます。『トップガン マーヴェリック』でも音の移動感のキレが優秀で、ジェットエンジンの点火音もリアル。低音の厚みもあるので、迫力たっぷりにハリウッド映画を鑑賞する用途にピッタリです。

アニメ作品では、男性・女性声優のボイスともにシャープに立てて聞きやすくするテレビ的な体験となり、セリフの聞き取りやすさは秀逸でした。

音楽「California Dreamin’」もクッキリとした歌声で、音楽リスニング用としてはメリハリ強めのサウンドとなっています。楽器の音にはやや硬さが残りました。アプリから4種類のサウンドモードを選べるので、視聴するコンテンツに応じて最適なサウンドモードを選んでみてもよいでしょう。

  • Bluetooth ○(SBC、AAC)
    HDMI(ARC/eARC) ○
    ドルビーアトモス ○
    DTS:X −
    アプリ ○(Sound Bar Remote)
    壁掛け ○(壁掛け用プレート付属)
  • SR-B30Aはヤマハが手がけるホームオーディオ製品において一貫した音づくりのコンセプトである「TRUE SOUND」を踏襲。4つのサウンドモードを備えているほか、セリフを明瞭にするクリアボイス機能、重低音を強化するバスエクステンション機能も搭載しました。テレビ放送からネット動画まで、幅広いコンテンツでヤマハサウンドの広い音場感、人の声音の繊細な違いを体感できるスタンダードモデルです。
  • 内部構造は非公開。本体にはフロントL/Rに斜め上向きで46mmフルレンジを2基ずつと25mmトゥイーターを1基ずつ、ウーファーは軸上直角になるよう斜め後ろ向きに2基、計8基のスピーカーを搭載しています。各スピーカーはよりリスナーの耳へ届きやすいよう、斜め向きに設計されています。

SONY「HT-S2000」〜映画らしいサラウンドを再現する

  • SONY「HT-S2000
    ¥OPEN(直販サイト価格¥71,500/税込)
  • HT-S2000の音質傾向

3.1chのサウンドバーに高さ方向を表現する独自技術「Vertical Surround Engine」を組み合わせて、立体音響を再現するソニーの2023年最新サウンドバー。

映画『アバターWOW』から試聴してみると、映画らしい密度感のある中低域表現が魅力的です。ハリウッド映画らしい派手な演出、前後左右とともに、高さ方向を含む難しい位置からの音も、臨場感たっぷりに再現してくれます。『トップガン マーヴェリック』でジェットエンジンが発する轟音のパワーと深みある表現は、本機がクラス随一といえるでしょう。背後までの音の再現性につながるサウンドフィールドの広がりも優秀です。

一方、映画に比べるとアニメ・音楽との相性は一歩及ばない印象です。

アニメ作品では、女性声優の声の帯域との相性なのか、音の通りがいまひとつに感じられました。サウンドバランスが低音に寄っているため、男声がやや籠もったように聞こえるところもありました。もっとも、セリフの聞き取りやすさはリモコンから操作できる「ボイスモード」にすることでカバーできます。

音楽「California Dreamin’」は、生楽器や歌声のリアリティーという意味では、映画作品で感じたほどの驚きはなく。あくまで映画のサラウンド向け、として本命に選びたいモデルです。

  • Bluetooth:○(SBC、AAC)
    HDMI(ARC/eARC) ○
    ドルビーアトモス ○
    DTS:X ○
    アプリ ○(Home Entertainment Connect)
    壁掛け ○
  • HT-S2000はブランドの独自技術によって前方のスピーカーのみでサラウンド音場を表現。「S-Force PROフロントサラウンド」で前後左右方向、「Vertical Surround Engine」で高さ方向の音を拡張し、密度感と広がりを再現しています。2chコンテンツで立体音響を楽しめる新開発のアップミキサー機能も搭載。
  • HT-S2000はフロントスピーカーとサブウーファーに、音の歪みを低減する形状の振動板を用いた「X-Balanced Speaker Unit」を採用。フロントには45×82mmフルレンジを3、同じ45×82mmサイズのウーファーを2基搭載しています。

まとめ〜好みのジャンルや音に応じて選ぶのがお薦め

取材を通して比較試聴してみると、各製品のキャラクターの違いも感じることができました。もっともお手頃な実売価格2万円台で購入できるデノン「DHT-S217」は、ドルビーアトモスの立体音響にも対応しつつ、ストレートな音質のよさを志向するモデル。人の声の質感や情報量重視で、映画よりアニメや音楽が得意な印象。

3万円台で購入できるヤマハ「SR-B30A」は、特に映画の移動感をダイナミックに再現する迫力重視派です。実売価格7万円台とチェックした3機種で最も高価なソニー「HT-S2000」は、独自技術により高さ方向の表現が得意という立体音響志向。重低音も空間を満たす再現性があり、映画の迫力と臨場感重視のモデルとなっています。

いずれのモデルもリモコン操作でサウンドカスタマイズが可能なので、好みに応じてサウンドを調整しながら使いこなしてみましょう。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の画質・音質レビューはこちら

HDMI「eARC」についてもっと知りたい!

SPEC/REFERENCE

SPEC

DENON「DHT-S217
●総合出力:- ●スピーカー構成:- ●ユニット数:スピーカー合計6基(ミッドレンジ×2、トゥイーター×2、ウーファー×2) ●接続端子:HDMI入力×1、HDMI出力×1、光デジタル音声入力×1、ステレオミニ入力×1、サブウーファー出力 ほか ●外形寸法:890W×67H×120Dmm ●質量:3.6kg

YAMAHA「SR-B30A
●総合出力:フロントL/R:30W×2、ウーファー:60W ●スピーカー構成:- ●ユニット数:スピーカー合計8基(フルレンジ×4、トゥイーター×2、上向きウーファー×2) ●接続端子:HDMI出力×1、光デジタル音声入力×1、サブウーファー出力×1 ほか ●外形寸法:910W×68H×133Dmm ●質量:3.9kg

SONY「HT-S2000
●総合出力:250W ●スピーカー構成:3.1ch ●ユニット数:スピーカー合計5基(フルレンジ×3、ウーファー×2) ●接続端子:HDMI出力×1、光デジタル音声入力×1 ほか ●外形寸法:800W×64H×124Dmm ●質量:3.7kg

REFERENCE

  • 4Kチューナー内蔵ビデオレコーダー
    PANASONIC
    DMR-ZR1
  • 壁寄せテレビスタンド
    SWING
    WS-C590」 ダークブラウン

コラム〜テレビスタンドのススメ

壁に穴を開けずに、けれど壁掛けスタイルのようにスタイリッシュな見た目と省スペース化を実現してくれるのが壁寄せテレビスタンド。今回の取材では朝日木材加工が擁するSWINGブランドより「WC-C590」を使用しました。組み立てからテレビの取り付けまで視聴室で実際に行ってみましたので、製品のかんたんなスペックと使いこなしをご紹介します。

  • WC-C590はキャスター/アジャスター付きの自立タイプ。M9相当の耐震試験をクリアしており、安全面にも配慮しています。転がして簡単に移動できるので、配線や場所の調整はもちろん掃除や模様替えにも便利そう。サウンドバー用の棚板およびレコーダー用棚板が標準装備なのもうれしいポイント。
  • スタンド本体の組み立てにかかる時間は40〜60分ほど。ボルトをしめる際に棚板を支えたり水平を見たりするため、2人いたほうがスムーズに作業できます。同梱の組み立てマニュアルのほか、動画でも確認が可能。
  • テレビを設置するには、まずテレビ背面にスタンドの付属品である取り付け金具を取り付けます。WS-Cシリーズにはさまざまな直径・種類のボルトが同梱されているので、合うものを選んで付ければOK。開封してから慌てて買いに走る、なんて心配はありません。
  • 金具の取り付けが終われば、本体の同素材部分に金具を引っ掛けて爪を噛ませれば設置完了。リボンを引っ張れば爪が引っ込むので取り外しも簡単です。ほか、側面の角度調整つまみで画面の傾きを調整できます。
  • 背面に配線溜まりスペースが設計されているので、ケーブル類を視聴位置からは見えないようすっきりとまとめることができます。

サウンドバー棚は上下に位置調整が可能なので、オプションでサブウーファーなどを追加する際も、本体サイズに留意すればテレビの横幅に収まるようコンパクトに設置できそうです。ブランドサイトで製品一覧カタログをダウンロードできるほか、家電量販店では実際にテレビとサウンドバーを設置してディスプレイしているところも多いので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。(編集部)

大型テレビも設置できるお薦めテレビスタンド6選