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  • 鴻池賢三のホームシアターTips プロジェクターの明るさ基準「ルーメン」ANSIとCVIAはどう違う? ホームシアターのプロが解説!

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年9月29日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

プロジェクターの映像の明るさは長らく「ANSIルーメン」での表記が標準化されてきましたが、近年は「光源ルーメン」や「LEDルーメン」といった表記が散見される混乱状態に。この記事では「光源ルーメン」や「LEDルーメン」の問題点や、規格化されている「ANSIルーメン」の基本、そして「ANSIルーメン」よりも条件が厳しいという中国発の新規格「CVIAルーメン」について解説します。

「映像の明るさ」をスペック上で比較するには

プロジェクター選びでもっとも重要な性能の一つといえるのが「映像の明るさ」。画質に直結し、より明るい部屋、より大画面でも視認性を確保できることで、用途も広がります。

長らく業界では、メーカーが「明るさ」を性能スペック値として表記する際、規格基準「ANSI(The American National Standards Institute)ルーメン」に基づくのが基本とされてきました。消費者が正しく判断できるよう、現在も引き続き確固たる標準といえます。

  • 「ANSIルーメン」は算出方法が定められているため、メーカーや製品に関わらず比較が可能な数値といえます。実際に目にする投写面の明るさを表しておりANSIルーメンの数値が大きくなるほど明るさも増します。

ところが近年、海外の格安メーカー品がネット販売を通じて直接消費者に届くようになりました。またそれらが、他社製品よりも優位に立とうと「ANSIルーメン」に基づかない「ルーメン表示競争」を起こして混乱状態に。たとえば「光源ルーメン」や「LEDルーメン」などがあり、「ANSIルーメン」での実力値よりも、高い値が表示される傾向がありました。

こうした混乱を背景に、「ANSIルーメン」よりも条件が厳しいという「CVIAルーメン」が中国発で登場。注目すべきテーマといえます。この記事では「光源ルーメン」や「LEDルーメン」の問題点や、規格化されている「ANSIルーメン」、そして新しい「CVIAルーメン」について解説します。

基準となり得ない「光源ルーメン」「LEDルーメン」

「光源ルーメン」の定義は定かではありませんが、採用しているメーカーの説明を要約すると、「光源の明るさ」を直接測定するという考え方のようです。言い換えると、光源の後段にあたる映像デバイス、フィルター、レンズを無視した値です。測定方法が厳密に規格化されたとしても、プロジェクターの実力を示すことができないのはご理解いただけるでしょう。

「LEDルーメン」は、ヘルムホルツ-コールラウシュ(H-K)効果、言い換えると、LED光源の特性とヒトの視覚の特性を加味するという考え方です。旧来のランプ光源と比べLED光源は、光のスペクトラム(成分)が急峻で、ヒトが見ると刺激が強く色鮮やかで明るく感じるのは確かです。とはいえ、その度合いについて規格化されていないので、現時点で明るさの比較に用いるのは適切といえません。

ネット通販の格安プロジェクターを実際に検証してみた

中国発の「CVIAルーメン」が新しく登場

いまやプロジェクター市場で大きなシェアをにぎるのが中国ブランド。「光源ルーメン」や「LEDルーメン」による市場の混乱を察してか、有力メーカーを中心に「CVIAルーメン」採用の動きがあります。

「CVIA」はプロジェクターブランド「JMGO」が主導しChina Electronic Video Industry Associationおよびその会員企業が発行した規格。「ANSIルーメン」は1990年に発行された古い規格であり、LEDやレーザー光源などの登場はその後のこと。さまざまな技術的進化も踏まえ、消費者に対してより実用的な指標を提示するのがねらい、とのことです。

今回JMGOの日本販売代理店である(株)日本ビジネス開発の協力により「CVIA」の詳細を確認することができました。筆者の解釈も含めて要点を整理すると:

1) 測定方法

ANSIと同等。画面を9分割し、各中央のルクス値平均に面積(㎡)を掛けてルーメン値を算出。

  • 【図】「プロジェクター光出力技術要件および試験方法」より引用。測定方法はGB/T 28037-2011 の 5.6.2で規定。

2) ANSIとの違い

ANSIよりも規定が厳しい部分。色温度は出荷設定(6000K〜18000Kの間)。投写サイズは80インチ(ANSIは40〜70インチ)。

ほか「CVIAルーメン」では、測定機材や方法について数値で詳細な規定が設けられていることに加え、出荷製品は表示値の80%を下回ってはならない、などの記載もあります。実際の測定と表記がメーカーに委ねられるとしても、規格が明確だと、第三者が製品を市場で調達してチェックすることが可能なので、信頼に値すると考えられます。

プロジェクター選びの際はぜひご参考に!

  • JMGO」は2011年中国を拠点に設立されたプロジェクターブランド。独自の光学研究所とグローバルな研究チームを持ち、製品の光学ユニットは自社で開発を行なっています。
  • VGP2023 SUMMERではスマートプロジェクター「N1 Ultra」がクオリティと提案性、ともに高い評価を得てW金賞が授与されました。

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