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  • 置くだけ簡単! 音響拡散パネル「オトノハ」でサウンドの透明感をアップ 黄金角×黄金比の数学的デザインで不要な反射音を抑える

    取材・執筆 / 遠藤義人
    2024年1月22日更新

    • ホームシアター・コンシェルジュ
      遠藤義人

先日、リビングに置きたい吸音パネル「ZAMA(ザマ)」を紹介しました。今回は、日本環境アメニティからリリースされた、純粋な数学×オーディオの掛け合わせから生まれた音響拡散体「オトノハ」を紹介します。『フェルマーの料理』もビックリな数学とのマリアージュ。その製品の正体とは?

リビングに置きたいおしゃれな吸音パネル「ZAMA」を見る

音響空間のスペシャリスト・日本環境アメニティ

日本環境アメニティは、日本板硝子の環境事業部をルーツに持つ会社。日本板硝子といえば、整った音響空間のホームシアター専用室をつくりたいと調べたことがある人なら、目にしたこともあるのではないしょうか。音楽ホールやスタジオといった音響空間のみならず、防音から騒音対策に関して、現地調査測定から施工までを請け負う、音響のスペシャリスト集団です。「オトノハ」とは、そんな彼らが生み出したインテリアパネル。

音響拡散体の多くは、異なる大きさの立体をランダムに配置するもの。それに対し「オトノハ」は、黄金角と黄金比を用いて数学的にデザインされています。現物を見ると、人が造ったとは思えない不規則な配列ながら、不思議と雑然とはしていません。いかにも音がよさそうなメカメカしさもなく、むしろ、何者かよく分からない現代アートの趣きすら窺えます。

訊けば、植物が太陽の光を効率的に浴びるために複数の葉が重ならないよう配置する角度が“黄金角”。また、特定の周波数に偏らないように葉の形状や拡大率を設定しているのが、無理数比のひとつである“黄金比”だそう。逆の発想で、音を効果的に拡散する面積と角度、分布を導き出したのが音響拡散体「オトノハ」なのです。

スケール感アップ! ABS製スタンダードモデル「Ivy wall」

その「オトノハ」には、スタンダードモデル「Ivy wall」と、ハイエンドモデル「Container garden」が存在します。「ぜひ聴いてみて下さい!」とおっしゃるので、実際に試聴しました。

スタンダードモデル「Ivy wall」は、30cm角のABS製パネル。表側のパネルと裏側のパネルを接合してネジ止めしたように見えます。こんな素材で鳴きは出ないの? すぐさま疑問が生じるも、内部は無数のダボとダボ穴が、一度組み合わせると分解できないほどガッチリ組み合っているうえ、8箇所でネジ止めしているのだとか。試しにちょっと叩いてみても樹脂っぽい響きはありません。

  • 「Ivy wall」の本体は公称約600g。ひじょうに軽く感じました
  • 背面にはフックや釘を引っ掛けるための穴が1つと、カメラ用ねじに対応したねじ穴が4隅にあります

さっそくアクティブスピーカーで効果を確認します。まずは「Ivy wall」なしで背面が直接壁に反射する状態で試聴します。これでも背面からは数10cm離れているので、悪くありません。

  • まずはそのままの状態で試聴

次に「Ivy wall」をスピーカーと背面の壁の間に差し込むと、あら不思議。音が立体的に広がり、スピーカーが一回り大きくなったかのようにスケールが増したではありませんか。

  • 「Ivy wall」を本体後ろの壁際に設置して試聴

裏側には1個のフック穴と4個のネジ穴があり、壁掛けのほかスタンド設置などもできそう。スピーカー試聴なら一次反射面に壁掛けしたいところです。また、YouTube配信で収録音に気を遣う人なら、マイクの背面に立てたらすごく効果が出そうです。

  • 「Ivy wall」をマイクの背面に立てるとこんな感じ

「Ivy wall」はホワイトグレーとグレージュの2色が用意され、1枚10,780円(税込)。通販などでも販売されているそう。100円ショップでも買えるようなスタンドと組み合わせて、手軽に様々な使いこなしができそうです。

より自然な音に。ハイエンドモデル「Container garden」

続いてハイエンドモデル「Container garden」を試します。こちらは20cm角と「Ivy wall」よりコンパクトですが、奥行きが少し厚め。本体だけで自立します。色はブラックで、ベロア素材を貼ったような感触です。その素材はナイロンで、スタンダードモデルよりやや重い約865g。

  • 「Container garden」をアクティブスピーカーの後ろの壁際に設置して試聴

同じように試聴させてもらうと、スタンダードモデルより小さいのに、スピーカーが別のものに入れ替わってしまったかのよう。音量はむしろほのかになり、ふわりと自然に聞こえてくる印象です。モニターっぽくダイレクトに音を聴いてきた人は、この変化にちょっと驚くかも。

訊けばこちらは3Dプリンターを使った受注生産で、価格は「Ivy wall」の約15倍、151,800円(税込)。おいそれとは手が出せませんが、デスクトップで音作りするエンジニアなど、プロオーディオの世界にニーズがありそうです。

もし音の一次反射で悩みを抱えているなら、ペアで2万円から試せる「Ivy wall」からはじめてみては?

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