4K Ultra HDブルーレイの注目タイトルを、プロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。2024年4月は現在発売中の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』、『マーベルズ』、『アビス』の3タイトルを取り上げます。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックしました。
CONTENTS
・『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
・オブジェクトオーディオで描く臨場感たっぷりのアクション
・『マーベルズ』
・HDRで輝く光線、音場をすばやく飛び交う空中バトル
・『アビス』
・4K&アトモスでさらにサスペンスフルに進化!
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
- 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
¥9,460(税込)
ポニーキャニオン
PCZP-67002
●製作:2023年/米 ●ジャンル:洋画アクション ●本編ディスク:169分、スコープ、ドルビービジョン ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語ドルビーTrue HD7.1ch(48kHz・24bit) ●字幕:日本語、日本語吹替用
(R), TM & (C) 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
●ストーリー
最強の殺し屋ジョン・ウィックに安息は許されなかった。裏社会を仕切る首席連合はジョンを執拗に追い、彼が身を潜めるニューヨーク、大阪のホテルを襲撃するが倒すことはできない。憎悪をたぎらせる首魁グラモン侯爵はパリを決闘の地に定め、ジョンの旧友、盲目のケインを刺客に差し向ける。
- ●監督:チャド・スタエルスキ ●出演:キアヌ・リーブス ●特典:メイキング、キアヌ60秒振り返り、“愛犬の日”特別映像ほか
(R), TM & (C) 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
オブジェクトオーディオで描く臨場感たっぷりのアクション
映像と音の新趣向が見逃せないソフト。伝説の殺し屋ジョン・ウィックを主人公に、フィルムノワールのダークなルックに徹し、デジタル的な硬さがやや目立ちますが、ノイズが極小でクリーンな高画質。CH2大阪での襲撃は真田広之が登場。エキゾティックなセットをバックに、東映ヤクザ映画やカンフー映画へのオマージュを滲ませてけれん味たっぷりに楽しませます。CH14パリの邸宅内の銃撃戦は、ジョンと刺客たちの移動しての攻防を真俯瞰で捉えるゲーム的な撮影構図がユニーク。169分を飽きさせません。映像以上にサウンドは要注目。CH3着弾音が量感豊かに音場に轟き、ガラスが音場に四散。CH4日本刀が切り結ぶ金属音が音場を鋭利に切り裂きます。オブジェクトオーディオのアクション描写は客観性に富み、映像と精度高く一致。現場に拉致されたかのような臨場感が味わえます。CH13パリ市中のカーチェイスも量感十分。(大橋伸太郎)
- ユニークな映像に、精度高く一致する音響。戦闘の現場に拉致されたかのような臨場感です。
(R), TM & (C) 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『マーベルズ』
- 『マーベルズ』
¥9,790(税込)
ウォルト・ディズニー・ジャパン
VWAS7521
●製作:2023年/米 ●ジャンル:洋画アクション ●本編ディスク:105分、スコープ、HDR10 ●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語ドルビーデジタルプラス7.1ch ●字幕:英語、日本語、日本語吹替用
(C) 2024 MARVEL
●ストーリー
キャプテンマーベルに故郷の星を滅ぼされた…と復讐を誓う強敵スプリマー(ダー・ベン)が出現。ひとりで立ち向かうには手強すぎる…偶然にもマーベルコミックのオタク高校生カマラ、敏腕エージェントのモニカ・ランボーの3人の体が入れ替わる怪現象が発生。こうなったら女3人チームで敵に立ち向かえ!
HDRで輝く光線、音場をすばやく飛び交う空中バトル
アメコミをデジタルでカラー映像に移し替えた映像は、CH14惑星アラドナのシーケエンスを除いて子供向きの満艦飾でなく、黒が引き締まったモノトーンベースの落ち着いた色彩設計で、スペースSFらしいダークで硬質なルックを備えています。宇宙空間の漆黒を背景に、時空の裂け目=ジャンプ点やアクションシーンの光線の応酬がHDR10で華やかに輝きます。終盤のクライマックス、CH18マーベルとスプリマー最後の対決からCH19モニカがジャンプ点修復に向かうシーンでHDR10が効果を発揮。煮えたぎる白光が画面を焦がしますが、ドルビービジョンならさらに効果的だったでしょう。3Dを前提にした画面設計と撮影構図に合わせた、、立体感と移動感主体のサウンドデザインです。CH6空中アクションシーンでは、音場を所狭しと使ったスピーディーなオブジェクトの移動が楽しめます。濡れ場、流血シーンが皆無。文句なしにファミリーで楽しめます。(大橋伸太郎)
『アビス』
- 『アビス』
¥7,590(税込)
ウォルト・ディズニー・ジャパン
VWBS7526
●製作:1989年/米 ●ジャンル:洋画SF ●本編ディスク:約140分(劇場公開版)/約171分(完全版)、スコープ、ドルビービジョン ●本編音声:(劇場公開版)英語ドルビーアトモス、英語DTS-HDマスターオーディオ2.0ch、日本語DTS-HDハイ・レゾリューション・オーディオ 5.1ch/(完全版)英語ドルビーアトモス、英語DTS-HDマスターオーディオ2.0ch ●字幕:英語、日本語、日本語吹替用
(C) 2024 20th Century Studios.
●ストーリー
米海軍の原潜モンタナがキューバ沖で未確認物体と遭遇した後、制御不能になり遭難。民間海底石油採掘チームが救助に駆けつけたものの、生存者はいない。モンタナは核弾頭を搭載していた。ソ連に機密が渡ることを畏れた政府が特殊部隊を派遣、採掘チームとの間で指揮権を巡って緊張が高まっていく。
- ●監督:ジェームズ・キャメロン ●出演:エド・ハリス ●特典:※同梱のBDに収録/水の中へ:ジェームズ・キャメロン監督と『アビス』、偉大なる開拓者たちほか
(C) 2024 20th Century Studios.
4K&アトモスでさらにサスペンスフルに進化!
ジェームズ・キャメロンのライフワークである生命の根源、海をテーマにしたアドベンチャーロマン。1989年の劇場版(140分)と1993年の完全版(171分)を1枚に収録。映像はドルビービジョンでマスタリングされていますが、ピーク(高輝度部分)をぎらつかせるシーンはなく、暗部の中のファンタスティックな輝きや彩りが印象的。力強いフィルム映像の奥から解像感が滲み出ます。ドルビープロロジック時代の代表的サラウンドソフト。ハイトチャンネルが生む空間表現で、視聴室を凍てつく深海の基地に変えます。CH25リンジーが初めて遭遇するエイリアンは七色をまとって神々しく浮かび上がり、BT.2020の本領発揮。CH42バッドの深海への単独行はフィルムらしい柔らかい黒が出せるか、ディスプレイの黒表現の試金石といえるでしょう。クライマックスCH45エイリアンの深海基地は映像と音が一体になって、スクリーンに海洋版『未知との遭遇』のビジョンが全開になります。(大橋伸太郎)