皆様お馴染みの動画サイト「YouTube」には、多様な動画が日々アップロードされています。中には、ため息をつくほどキレイな映像を見つけることも。今回は実践編として、プロが映像装置の評価にも利用している超高画質コンテンツとその見どころをご紹介します。自宅のテレビや手持ちのスマホで、気軽にチェックしてみてください。
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YouTubeで見られる高画質コンテンツ
「プロの評論家が解説! いますぐ無料でできる、YouTubeで画質チェックする方法とは?」では「Uzbekistan 8K HDR 60p」を例に取り上げて“画質”を構成する要素をご紹介しました。
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今回の「Bulgaria 8K HDR 60P (FUHD)」も同じくJacob + Katie Schwarzの作品。8K/HDR・60pで制作されており、再生環境の条件がそろえば最大8Kの解像度で再生が可能。4Kテレビではネット接続速度が充分に確保されている場合、最大4K/HDR・60pで再生することができます。
「Bulgaria 8K HDR 60P (FUHD)」のここが見所!
画質評価の基礎については、こちらから「基本編〜映像の画質評価要素を分解」の章を参照してください。画質を判断するための主な要素と、評価方法を整理しています。
では「Bulgaria 8K HDR 60P (FUHD)」の見所をシーン別にご紹介しましょう。シーンは5秒程度と短いですが、似たようなシーンも何度か登場しますので、まずは見逃しを気にせず最後までご覧ください。
【要素:ピーク輝度(コントラスト) 00:05-00:08】
街を見下ろす構図で、薄暗い街と遠くに輝く太陽のコントラストが印象的なシーン。有機ELディスプレイなら、太陽は明るくもオレンジ色が濃く、HDR映像ならではのピーク感が感じられます。有機ELディスプレイの中でも、ピーク輝度性能が高い最新モデルほど、感動も増すはずです。
【要素:ピーク輝度(コントラスト)/暗部階調 00:09-00:12】
アレキサンドル・ネフスキー大聖堂内。薄暗い屋内とシャンデリアの灯りのコントラストが印象的なシーンです。有機ELディスプレイでは灯りの一つ一つがピーク感をともなってリアルに。液晶もバックライトの分割数が多く明暗の描写に長けたMini LEDタイプなら、薄暗くも暗部階調の豊かさによって見通しが効き、中央のシャンデリアの輝き感が美しく感じられるはずです。コントラスト性能が低く、暗部階調の表現に乏しいディスプレイの場合は、薄暗い壁面の色が淡く平坦に見えがちです。
【要素:色再現(明部) 00:24-00:28】
暗めの屋内で外光に透かし出されるステンドグラスを望むシーン。HDR対応で高色域表示が可能な映像装置なら、赤色、オレンジ色、黄色、薄紫が発色をともなって明るく、また光の方向や床面での反射も感じられ、実風景を肉眼で眺めるようなリアルさを体感できます。
【要素:明部諧調 00:49-00:52】
陽光で光り輝くシプカ・メモリアル・チャーチの金色が印象的なシーン。高輝度の有機ELディスプレイで見ると、金色が濃厚で光沢から質感が手に取るように分かります。有機ELタイプでも、輝度が不足していたり、EOTF(明るさのコントロール)がハードクリップ(飽和)していると、白飛びや色抜けを生じるので、ディスプレイの画作り傾向を確認する用途にも使えます。
【要素:解像度 02:29-02:32】
Glozhene修道院の空撮シーン。屋根の瓦や細かな石垣など、解像度テストにもってこいの画です。4K映像装置ならディテールまで見えて当然といえますが、さらに残像の少ないディスプレイでは動きがあってもディテールが鞣されず、高解像度でナチュラルに感じられます。逆に、解像度が低いディスプレイや、スケーリングが上手くいっていない場合は、細かな模様がモアレやジャギーとなって目につくので、解像度系の処理能力や画作りの傾向も確認できます。
「Bulgaria 8K HDR 60P (FUHD)」はいかがでしたか? 無料で美しい映像を楽しみつつ、ご自身の映像装置であるテレビやスマホでは、どのように見えるのかをチェックして遊んでみてください。また、より高画質で楽しむために、映像装置を新調する切っ掛けにもなれば幸いです。
- ご自身の評価基準とレファレンス映像の一例を紹介してくれたオーディオビジュアル評論家の鴻池賢三先生は、THX/ISF認定のホームシアターデザイナーとしても活躍、当サイトでも数々のガイド記事や、製品レビューを執筆されています。