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  • キクチ科学「Dressty 4K G2」 キクチ科学「Dressty 4K G2」8K/HDR推奨スクリーンとして待望の次世代モデルが登場 明るく爽やかな発色で、透き通るようなブルーが印象的

    取材・執筆 / 遠藤義人
    2024年5月24日更新

    • ホームシアター・コンシェルジュ
      遠藤義人

プロジェクターが車のエンジンだとすれば、スクリーンはホイールやタイヤのようなもの・・・わたしはそれぐらいスクリーンを大切だと考えています。プロジェクターが高輝度&高精細になり、映像コンテンツはデジタルノイズレス、色数も増えたことに対応するように、スクリーンも進化しなければなりません。今回は、キクチ科学研究所に赴き、ホームシアター用プレミアムスクリーン「Dressty(ドレスティ)4K G2」のプロトタイプを観てきました。

プレミアムモデルの第二世代

キクチ科学研究所の家庭用スクリーンの大きな3本柱は、スタンダードな「Stylist(スタイリスト)」、職人の手で吹き付け塗装するプレミアムな「Recodis(レコディス)」、8K対応サウンドスクリーン「EASTONE(イーストン)」の3シリーズです。

  • キクチ科学は、使用用途に応じて機構タイプや生地特性の異なるさまざまなスクリーンをラインアップしています

そのうち今回発売されたのは、Recodisの「Dressty 4K G2」。2014年に発売された「Dressty 4K」の第二世代(G2)という位置づけです。目指したのは、第一世代(G1)のクリアでシャープなイメージは残しつつ、より明るくわかりやすい自然な発色だといいます。

たしかに、暗い部分の階調表現に目が行きがちだった「G1」に対し「G2」は、白ピークが伸びたことでパワー感が増した印象。ディスプレイでいうところの輝度が一気に上がったかのように、ぱっと見でも明るく爽やかな発色で、とくに透き通るようなブルーが印象的です。テレビでの再生を前提にした映像作品や、輝度を意識した最近のプロジェクターのトレンドにも合いそうです。

スペック上でみても、G1のピークゲイン=0.95、半値角85°に対し、G2はそれぞれ1.25、75°。光の拡散をやや抑えて、跳ね返りを増やしたというワケです。

  • 幕面に寄ったイメージ。左がG2、右がG1。G2がキラキラしているのがわかります
  • G2のピークゲインと半値角の測定グラフ。スクリーンゲインとはスクリーン生地固有の反射特性を示したもので、ピークゲインはその一番高い数値を指します。半値角はスクリーンの適視範囲の角度を示すもので、大きいほど視野角が広く、大勢で横に広がって視聴するのに適しています

もっともG2の開発過程はそうした数値ありきの調整ではなく、試作と視聴を延々繰り返した成果。たとえば、ゲイン1.25という微妙な数値は、ゲイン1.3で仕立てると作品によっては白が飛び気味に見えた・・・というように、実際に人の目で見た生理的・心理的な印象を大切にした結果だといいます。

またRecodisは、冒頭に記したとおり職人による手吹きです。G1で同じ塗料の3回塗りだったところ、G2では異なる塗料を2回ずつ、合計4回塗っているというこだわりようです。

  • 職人による手吹きのようす。画像はイメージで、実際の塗布時には黒マスク部を養生するそう

この違いは、単にスペック上では測れないほど違いがあり、実際に観ていただくしかありません。VICTORの8Kプロジェクター「DLA-V90R」で映した映像では「クリアでシャープ」がウリだったはずのG1がちょっと渋めに感じるほど。

とくに青空のヌケがよく、かといって赤のトーンの違いもきっちり描き分けることができ、黒も浮くことなく自然な映像を見せていました。色数も多く、作品によっては印象が変わるほどで、“G2”というよりも別モデルの新製品といってもいいほどと思います。

  • 青空を映したシーンのイメージ。左がG2、右がG1。いずれもたいへん滑らかですが、G2のほうが青空のヌケがよく見えます

明かりを残したリビング用途にも

Dressty 4K G2は、ハイエンド専用ルームで高品位の映像を観るために開発されたモデルですが、個人的に注目したのは、照明を点灯した状態のままでも意外と色のバランスが大崩れせず、美しい映像が保たれたこと。

もちろん全暗環境こそもっとも実力を発揮できるとは思いますが、照明を残したリビングでも結構使えるのではないでしょうか。輝度アップと視野角が若干狭まったことで、結果的に環境光の影響も受けにくい性能が得られたのでしょう。リビングでの使用にもオススメです。

  • キクチ科学研究所の視聴室で110インチの映像を視聴。プロジェクターはVICTOR「DLA-V90R」(投写映像には著作権保護のためぼかしを入れています)

Stewartのスクリーンが高止まりする中、国産でこうした手作りのプレミアムなスクリーンが得られること自体も、貴重といえます。

ラインアップ/SPEC

Dressty 4K G2

●電動巻き上げタイプ(ケースカラー黒/白)
100インチ「LE-100HDDMG2」¥440,000円(税込)
110インチ「LE-110HDDMG2」¥467,500円(税込)
120インチ「LE-120HDDMG2」¥495,000円(税込)

●パネルフレームタイプ(ブラックマスクフレーム仕上げ)
100インチ「LFM-100HDDMG2」¥462,000円(税込)
110インチ「LFM-110HDDMG2」¥489,500円(税込)
120インチ「LFM-120HDDMG2」¥517,000円(税込)

●ゲイン:1.24±5% ●半値角:75°±5% ●アスペクト比:16:9(オーダーメイド対応)

お問い合わせ先

キクチ科学研究所
TEL:03-3952-5131