プロジェクターが車のエンジンだとすれば、スクリーンはホイールやタイヤのようなもの・・・わたしはそれぐらいスクリーンを大切だと考えています。プロジェクターが高輝度&高精細になり、映像コンテンツはデジタルノイズレス、色数も増えたことに対応するように、スクリーンも進化しなければなりません。今回は、キクチ科学研究所に赴き、ホームシアター用プレミアムスクリーン「Dressty(ドレスティ)4K G2」のプロトタイプを観てきました。
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プレミアムモデルの第二世代
キクチ科学研究所の家庭用スクリーンの大きな3本柱は、スタンダードな「Stylist(スタイリスト)」、職人の手で吹き付け塗装するプレミアムな「Recodis(レコディス)」、8K対応サウンドスクリーン「EASTONE(イーストン)」の3シリーズです。
そのうち今回発売されたのは、Recodisの「Dressty 4K G2」。2014年に発売された「Dressty 4K」の第二世代(G2)という位置づけです。目指したのは、第一世代(G1)のクリアでシャープなイメージは残しつつ、より明るくわかりやすい自然な発色だといいます。
- スクリーン
キクチ科学研究所「Dressty 4K G2」
たしかに、暗い部分の階調表現に目が行きがちだった「G1」に対し「G2」は、白ピークが伸びたことでパワー感が増した印象。ディスプレイでいうところの輝度が一気に上がったかのように、ぱっと見でも明るく爽やかな発色で、とくに透き通るようなブルーが印象的です。テレビでの再生を前提にした映像作品や、輝度を意識した最近のプロジェクターのトレンドにも合いそうです。
スペック上でみても、G1のピークゲイン=0.95、半値角85°に対し、G2はそれぞれ1.25、75°。光の拡散をやや抑えて、跳ね返りを増やしたというワケです。
- G2のピークゲインと半値角の測定グラフ。スクリーンゲインとはスクリーン生地固有の反射特性を示したもので、ピークゲインはその一番高い数値を指します。半値角はスクリーンの適視範囲の角度を示すもので、大きいほど視野角が広く、大勢で横に広がって視聴するのに適しています
もっともG2の開発過程はそうした数値ありきの調整ではなく、試作と視聴を延々繰り返した成果。たとえば、ゲイン1.25という微妙な数値は、ゲイン1.3で仕立てると作品によっては白が飛び気味に見えた・・・というように、実際に人の目で見た生理的・心理的な印象を大切にした結果だといいます。
またRecodisは、冒頭に記したとおり職人による手吹きです。G1で同じ塗料の3回塗りだったところ、G2では異なる塗料を2回ずつ、合計4回塗っているというこだわりようです。
この違いは、単にスペック上では測れないほど違いがあり、実際に観ていただくしかありません。VICTORの8Kプロジェクター「DLA-V90R」で映した映像では「クリアでシャープ」がウリだったはずのG1がちょっと渋めに感じるほど。
とくに青空のヌケがよく、かといって赤のトーンの違いもきっちり描き分けることができ、黒も浮くことなく自然な映像を見せていました。色数も多く、作品によっては印象が変わるほどで、“G2”というよりも別モデルの新製品といってもいいほどと思います。
明かりを残したリビング用途にも
Dressty 4K G2は、ハイエンド専用ルームで高品位の映像を観るために開発されたモデルですが、個人的に注目したのは、照明を点灯した状態のままでも意外と色のバランスが大崩れせず、美しい映像が保たれたこと。
もちろん全暗環境こそもっとも実力を発揮できるとは思いますが、照明を残したリビングでも結構使えるのではないでしょうか。輝度アップと視野角が若干狭まったことで、結果的に環境光の影響も受けにくい性能が得られたのでしょう。リビングでの使用にもオススメです。
Stewartのスクリーンが高止まりする中、国産でこうした手作りのプレミアムなスクリーンが得られること自体も、貴重といえます。
ラインアップ/SPEC
●電動巻き上げタイプ(ケースカラー黒/白)
100インチ「LE-100HDDMG2」¥440,000円(税込)
110インチ「LE-110HDDMG2」¥467,500円(税込)
120インチ「LE-120HDDMG2」¥495,000円(税込)
●パネルフレームタイプ(ブラックマスクフレーム仕上げ)
100インチ「LFM-100HDDMG2」¥462,000円(税込)
110インチ「LFM-110HDDMG2」¥489,500円(税込)
120インチ「LFM-120HDDMG2」¥517,000円(税込)
●ゲイン:1.24±5% ●半値角:75°±5% ●アスペクト比:16:9(オーダーメイド対応)
お問い合わせ先
キクチ科学研究所
TEL:03-3952-5131