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レビュー

  • PANASONIC「DMR-ZR1」 【PR】映像と音を極めた ディーガ旗艦機 デジタル技術の飽くなき追求

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2024年6月25日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

ホームシアターの中核となる録画再生機として、プロの評論家から支持を集めて、絶対的なレファレンスとして君臨し続けているディーガ。ここでは、改めてその真価、高画質高音質の秘密について、解説していきます。

映像の根本に着目したアプローチで高画質を実現

コンテンツの4K/HDR化、テレビの大画面化と高画質化、プロジェクターの高解像度化や輝度アップ、そしてオーディオのイマーシブ化とさらなる高音質化など、表現力の向上はとどまることを知りません。こうしたなか、映像と音のクオリティを追求するホームシアターファンにとって、Ultra HDブルーレイの情報を最高の状態で送り出すことは、もっとも重要なテーマのひとつでしょう。

パナソニック「DMR-ZR1」は、同社が長年培ってきた映像技術を凝縮した多機能なフラグシップ録画再生機です。この記事では、いま改めて本機の価値に注目し、その優れた画音力の理由をロジカルに紐解きます。そこには、物量のみならず、デジタル技術の飽くなき追求が見えてきます。

AV機器の価値は、重量や物量で評価が左右されがちだが、鵜呑みにするのは早計というもの。デジタル機器では、その前に行うべきことがたくさんあるという意味です。技術的に要素と結果の関係を理解して解決するのが重要ですが、これもポイントを外してしまうと意味がありません。起点として重要なのは膨大な試行錯誤から得られる大局観と方針の見定めです。

  • AV分離出力できるように、HDMI出力を2系統装備。そのほかLAN端子や同軸デジタル音声端子も含めて、よりピュアな信号伝送ができるように、端子まわりに高品位パーツを配置したり、回路設計を最適化したり、細部まで工夫されています。

パナソニックは長らくレコーダーで画質を追求してきました。その中で、再生機の映像信号処理が最終的な画質に直接的に大きく影響する要素が「解像度」と「階調」と見極めるに至ったといいます。

デジタル領域において解像度と階調では別の要素に感じますが、結果といえる一枚の画のディテールは、「解像度(周波数特性)」と「階調(ビット精度)」の掛け合わせで表現されます。両者を高い次元に引き上げることで、ディテールの豊かな映像が再現できるという考え方です。

まず解像度(周波数特性)の面では、ディーガは長年「クロマアップサンプリング」にこだわってきました。Ultra HDブルーレイの4K映像といえども、フォーマットは4:2:0で、これは4K解像度でも色情報は2K相当しか含められないという意味です。通常、この信号はプレーヤー側か映像装置側でアップサンプリングして表示することになりますが、その質については明確に説明されるケースは少ないです。ディーガは単純に水増しせず、高精度なマルチタップ処理を行うことで、垂直および水平方向に高度に復元。この成果は、色解像度を確認するテスト画像でも簡単に確認でき、また実際の映像でも、色のキレのよさ、ディテールの再現性の高さは明らか。高密度でどっしりと安定したルックはディーガの独壇場といえます。

次にディーガが大切にしている階調について。階調とは明暗の表現で、計算上最大、8bitなら256段階、10bitなら1024段階で表現できます。映像信号ではこのレンジをフルに利用しませんが、8bitよりも10bitの方が4倍きめ細やかに再現できると考えていいです。ディーガでははやくから12bit(4096段階)の高精度処理にこだわり、ブルーレイの8bit時代にも、スタジオマスター同等の12bit収録と再生を可能にする「MGVC」に取り組んできました。そのスピリッツはHDR10bit時代の高画質化に繋がっています。最大32bit処理により実効12bitのHDR出力が得られ、ディーガ側でロスのない自在なトーンマッピング、ダイナミックレンジ変換、ガンマ調整、HLGからPQへの変換が可能となり、有用な数々の機能が利用できます。具体的には、映像装置の輝度性能に合わせてディーガ側でトーンマッピングを行うと、元信号を映像装置に直接入れて内部でマッピングさせるよりもよい結果が得られるケースが多いです。とくにハイエンドプロジェクターのユーザーには、ぜひ試してみてほしいです。

  • 画質の基本要素を徹底追求! 「解像度」と「階調」
    パナソニック設計陣が考える、高画質の要素。 「解像度(周波数特性)」と「階調(ビット精度)」が改善すれば、副次的にS/N、コントラスト、色再現、動き表現にも好影響を与え、結果、命題ともいえるディテールの究極的な再現に至るという深い洞察に基づきます。このアプローチのシンプル化が、高効率で飛躍的なクオリティ実現の源泉といえます。

物量投入だけじゃない! ディーガならではの工夫

ほか、そんなZR1だからこそ重要といえるのが、物量の投入です。高剛性・低重心筐体を採用し、新開発の信号系とドライブ系を分離した電源回路、好評な「パワーコンディショナー回路」をUSBおよびHDMI端子まわりに内蔵、高品位パーツの採用など枚挙にいとまがありません。これらは、デジタル領域を極め尽くした上で、さらにほんの僅かでも上を目指すエンジニアの拘りです。

またディーガは、HDMI経由の音質が芳しくないことに着目し、原因をジッターと見定め、根本原因を解決。HDMIではクロックが伝送されず、受け手が映音信号を受け取ってクロックを生成する仕組みから、乱れを抑えるよう映音信号の送り方を工夫。この処理はSoCレベルで行う必要があり、深く関与できるパナソニックならではの成果といえます。

デジタル領域でロジカルにクオリティを追求し、それを支える体感してのハードウェアを鍛え上げたZR1。ハイエンドホームシアターに最も相応しいレファレンスとしての格を備えたモデルです。

  • 高剛性&低重心筐体
    デジタル領域でのクオリティ追求をベースに、その効果を最大化するための最終的なアプローチが「物量投入」。不要な振動を低減するために4層構造のベースシャーシや2層構造のトップパネル、ハイカーボン鋳鉄インシュレーターを採用。「高剛性&低重心筐体」を徹底しました。
  • より高品位のHDMI伝送
    低ノイズ設計を追求して、HDMI端子まわりにルビーマイカコンデンサーと非磁性の炭素被膜抵抗で構成される「パワーコンディショナー回路」を内蔵するほか、チップフィルムコンデンサーやチップビーズなど、高品位パーツを配置。ハードウェア部分でも創意工夫を凝らしました。

SPEC

4Kチューナー内蔵ビデオレコーダー
PANASONIC
DMR-ZR1
¥OPEN
SPEC ●チューナー:BS 4K・110度CS 4K×3、地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3 ●HDD容量:6TB ●録画目安時間:約390時間(4KDRモード)/最大約3120時間〜4680時間(おまかせ長時間 4K 8~12倍録モード) ●主な入出力端子:HDMI出力×2、デジタル音声出力(光×1、同軸×1)、 LAN×1、USB×2 ほか