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  • 鴻池賢三のホームシアターtips 8KコンテンツをYouTubeで楽しもう! フルスペックで再生できるシステム2種を解説 4Kディスプレイで再生する際にもメリットがある

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2024年7月3日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

“高画質”を追求するなら、解像度はもっとも重要な要素の一つ。解像度は、技術の進展によりフルHDから4Kへ、そして4Kから8Kへと進化しています。しかし、8K放送は受信設備やコンテンツの面でハードルが高い・・そんなお悩みをお持ちの方に向けて、8K放送をいま楽しみたいならYouTubeが好手といえます。

  • 環境を整えればYouTubeで8K再生が楽しめます(背景画像はぼかし加工しています)

今回はYouTubeの8K/HDRコンテンツを再生する方法をご紹介します。充分に高速で安定したネット回線に加え、PCの場合はハイスペックが要求されますが、筆者が実際に比較試聴をしてみると、シアターファンのみなさんにお薦めしたいと感じられる効果が得られました。この機会に、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

確実かつ簡単なら8K対応テレビ

まずフルスペックで最も確実に見る方法としては、対応テレビの利用が考えられます。以下の製品は8Kパネルを搭載していて、YouTubeの8K再生にも対応しています。

  • 8K有機ELテレビ
    LG ELECTRONICS
    「OLED Z3(OLED88Z3PJA)」(88型)
  • 8K液晶テレビ
    SHARP
    DX1ライン」(85V型/75V型/65V型)

PCで8K映像を8K再生するなら

ディスプレイ解像度は別として、PCでYouTubeの8K映像を再生することが可能です。スムーズに再生するにはハイスペックなハードウェアが必要ですが、カクカクとコマ落ちしながらでも再生は可能なので、8K解像度の雰囲気を確認するのによいでしょう。

では、ソフトウェア面で再生に必要な条件を整理しましょう(OSはWindowsで設定をおこないました)

1)ブラウザ

YouTubeの8K/HDR再生に最初に対応したのはGoogle Chromeでしたが、2024年6月現在はMicrosoft Edgeも対応しています。ちなみに非対応ブラウザを使用すると、再生時に8K/HDRを選択することができません。

2)PCの設定

まずPCの設定で、HDR表示およびHDR再生機能をオンにする必要があります。解像度とHDRは本来無関係ですが、HDRがオフの状態だと、ブラウザで再生時に8K/HDRが選択できません。このときHDR非対応ディスプレイを接続している場合、HDR機能はオンにできませんので注意。

  • PCの設定画面の参考

さらにハードウェアは8K出力に対応したグラフィック処理能力(GPU)が必要です。8Kで出力しない場合も、8K映像をデコードするためにはGPUの力が必要なためです。ただし、こうした高性能がGPUを搭載したグラフィックボードやPCは高額かつプロ向けの製品が多く、利用できるユーザーはかぎられてしまいます。

  • たとえばNVIDIAのGPU「GeForce RTX 40シリーズ」と「GeForce RTX 30シリーズ」は、YouTubeの8K配信の再生に使用するAV1コーデックのデコーダーを備え、8K/HDR再生機能の搭載を謳っています(画像はGeForce RTX 30のイメージ)

一方で朗報も。Intel最新の「Core Ultraプロセッサー」(2024年)は「インテル Arc GPU」を内蔵しており、AVIのデコードにも高度に対応しています。搭載されたPC製品は、外付けグラフィックボードに頼らず8K映像のデコードが可能です。8K解像度で出力できるか否かは製品によりますが、こうしたモデルが普及すれば、2024年は8K映像再生の敷居がぐっと下がりそうです。

  • Intel「Core Ultraプロセッサー」は、同社によって薄型ノートPC向けに開発されているAI対応の処理装置。AV1コーデックのエンコード/デコードにも対応しています。製品選びの際は、8K解像度の出力に対応しているかも留意してみると吉

4Kディスプレイでもメリットはある?

8K映像を表示できるディスプレイやプロジェクターは選択肢が少ないとはいえ、いまや4Kは標準ともいえる時代。4K表示に対応した映像装置であれば選択肢の幅はぐっと広がります。では、4Kディスプレイで映像を視聴するときも、8K解像度の動画データを受信してデコードすることにメリットはあるのでしょうか?

答えは「イエス」。YouTubeにかぎらず、映像は伝送帯域の制約からロッシー方式で高度に圧縮されます。つまり“4K”と称して配信されている映像は、もちろん4K相当の高画質が期待できるとはいえ、厳密には圧縮によって失われる情報があるといえます。このことから、撮影時の4K解像度をフルに発揮することができません。

この圧縮によるロスは8Kも同じことがいえますが、もともとの情報量が多い8Kを4Kにダウンコンバートすると画素を“凝縮”することになるので、4Kデータを受信して再生するより、高解像度が期待できます。

4Kと比べて8K解像度の魅力とは

4Kディスプレイを用い、実際に同じコンテンツの8Kデータと4Kデータを再生し、比較してみました。4Kデータ再生よりも8K再生はディテールがより鮮明でクリアに。ほか、モスキートノイズ(輪郭付近に蚊が飛んでいるようにモヤモヤするノイズ)が見えてしまうところも、8K再生を4Kダウンコンバートした場合は少なく、すっきりとクリアな映像が得られました。これが、8K再生チャレンジをお薦めする理由でもあります。

  • 左が8K、右が4Kのイメージ。同じ4Kディスプレイに表示しても、元映像の情報量が多いとより高解像度に映し出せます。この画像では細い枝に注目すると違いがわかりやすく、葉の質感にも差が見て取れます

YouTubeの8K映像をパソコンで再生するにはハイスペックが要求されますが、技術の進展によって敷居は下がりつつあります。コンテンツも8K/HLGの放送番組のほか、「K-Choreo 8K HDR」で検索してみるとK-POPのミュージックビデオがたくさん見つかります。

対応ハードウェアを手に入れた方なら、この記事を参考に設定をおこない、8K再生にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? また4Kテレビでも、いままでとは桁違いの高画質が楽しめるはずです!

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