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光ディスクの用語解説
CD/SACDプレーヤーを例にスペック表の見方を解説し、あわせて光ディスクに関する用語をまとめましょう。CDとSACD、それぞれを再生する場合のスペックや出力端子にどういったものがあるのかなど、割とシンプルですね。
- スペックでは量子化ビット数とサンプリング周波数がポイント。たとえばこのスペック表のプレーヤーはSACDのチャンネル数が2なので、5.1chのマルチチャンネル対応ではなくステレオ専用機です。端子では普通のアナログ出力のほかに、デジタル音声出力用としてCOAXIAL(同軸)とOPTICAL(光)をそれぞれ1系統持っています
CD(Compact Disc)
CDとはコンパクトディスクの略。1982年に誕生したデジタルオーディオディスクです。それまでのアナログディスクに対して溝がなく、レーザーピックアップによって信号ピットを読み取る仕組み。信号そのものも0か1かのデジタル信号で、CDのフォーマットでは16ビット/44.1kHzサンプリングという規格が採用されています。
SACD(Super Audio CD)
正式にはスーパーオーディオCDです。CDよりも多くのデータを記録できるものとして、ソニーとフィリップスにより1999年に規格化されたフォーマットです。CDより微細で高密度なピット構造を持ち、より高音質なサウンドを楽しむことができます。高域が20kHzでカットされていたCDに対して、100kHzまでレンジをのばし、音の大小であるダイナミックレンジの点でも有利。またCDの16ビットリニアPCM方式に対して、SACDは1ビットDSDという方式を用いています。
ハイブリッドディスク
SACDとCDの両方が記録されたディスクをハイブリッドディスクと呼びます。SACDは2枚のディスクを貼りあわせた構造になっていて、ハイブリッド型の場合は上層(HD層=SACD)と下層(CD)を、それぞれ専用のレーザーピックアップで読み取る仕組みです。ほかにもCD層を省いた単層ディスクや両方ともHD層の2層ディスク(長時間仕様)の3パターンがあり、SACDプレーヤーではそのすべてを再生できます。
ピット
ビット(bit)ではなくピット(pit)。ディスク上にはミクロンオーダーの微細な突起(ピット)が無数に記録されており、CDの場合、およそ2万トラックが渦巻きに並んでいるのです。このトラックを読み取るのがレーザーピックアップで、内周から外周へとトレースしていきます。ピットは透明な樹脂で覆われているので、キズや汚れに強いのもCDの特長です。
レーザーピックアップ
光ディスクプレーヤーでは細く絞ったレーザービームを盤上に照射して、ピットの情報を読み取る仕組み。その役目をするのがレーザーピックアップです。波長でいうと、CDでは780nm、SACDの場合は650nmとより短波長のレーザー光が用いられていますが、それに伴ってレンズなどの光学系も異なります。
リニアPCM方式
PCMとはパルス符号化変調です。CDなどに採用されているデジタル化方式で、MDのように圧縮しないのが特長。16ビットデータをフルに使った直線比例(リニア)で、音の大小をPCMデータ(0、1)に置き換えるのです。リニアPCMはデジタル音声の基本といえるもので、CDのほかDVDやブルーレイなどにも採用されています。ドルビーデジタルやDTSはもちろんリニアPCMではありません。
DSD方式
DSDとはダイレクト・ストリーム・デジタルの略。SACDに採用されている符号化方式で、音声信号の大小を1ビットのデジタルパルスの密度で表現する方式です。どのように密度変化するかというと、大きな音のときはぎっしり密になり、小さな信号だと粗になります。つまり元のアナログ波形を音の粗密でとらえて1ビット(0、1)の信号波形に変換、その分サンプリング周波数は2.822MHzと非常に高くなるのが特長です。
サンプリング周波数(fs)
サンプリングとはデジタル化するために、もとの音楽(アナログ)波形からサンプルをとること。標本化ともいいます。波形を高速で縦切りすると思えばわかりやすいでしょう。1秒間に何回の割合でサンプルをとるかがサンリング周波数(fs)です。CDの場合は44.1kHzなので毎秒44,100回というわけです。再生帯域はサンプリング周波数のほぼ半分という理論上の決まり(シャノンの標本化定理)があり、CDでは高域が20kHzとされています。
量子化ビット数
サンプリングされたアナログ波のそれぞれのレベルを、どれだけの精度(ステップ)でデジタル化するかの目安です。単位はビット(bit)。ビット表現は2進数なので、CDの16ビットでは「2の16乗=約65,000ステップ」となります。ビット数が多いほど、より細かくデジタル化できますね。これは音のダイナミックレンジ(強弱の幅)を決める目安で、1ビットにつき6ビット。CDでは6ビット×16=96dBとなります。
CDプレーヤーの用語解説
トランスポート
CDプレーヤーのメカ部を独立させたコンポのこと。D/Aコンバーターを含まず、ディスクをまわす回転機構と、その信号を読みとるレーザーピックアップなどから構成されています。出力信号はデジタルのみで、別にD/Aコンバーターが必要になります。
D/Aコンバーター
デジタル/アナログ変換回路。オーディオマニアの間でDAC(ダック)と呼ばれるもので、CDから読み取ったデジタルデータを最終的にもとのアナログ音楽信号に戻す役目をします。D/Aコンバーターは必ずCDプレーヤーに内蔵されますが、これを独立させコンポとして使うのもオーディオの楽しみです。
サーボ
CDプレーヤーの中に住む見張り番です。微細なピット情報を正確に読み取るべく、レーザー光のピントはズレていないか、コースから外れていないか、回転数は正しいかなど、サーボという補正機能が監視の目を光らせているのです。技術用語になりますが、フォーカスサーボやトラッキングサーボ、スピンドルサーボといったサーボの仲間の連携で、正しい再生ができると覚えましょう。
エラー訂正
キズや汚れに強いCDでも、その程度がひどいと読み取りミスがでます。そのために信号の並びをあるルールで並べ変えておき(インターリーブという)、ほんの少しの欠落であれば元の信号を復元することができる。これをエラー補正と呼んでいます。
クロック
クロックとはCDプレーヤーの体内時計。デジタル機器はすべての回路が正確な時を刻むクロックの指令で動いています。この基準周波数がクロック周波数。体内に水晶発振機などを内蔵しているのです。クロックのタイミングがズレると、ジッターという時間軸の揺らぎがおきて音が濁ったり動作が不安になったりします。高級機ほど精度の高いクロックを内蔵したり、また外部からより高精度なクロックを入力できる端子を備えています。ディスクのピット長もクロックと連動しています。
プレーヤー端子の用語解説
デジタル出力端子(同軸デジタル/光デジタル)
プレーヤーからデジタル信号のまま出力するための端子。アンプとつなぐ場合、普通はプレーヤー内のD/Aコンバーターを経由したアナログ出力端子を使うことが多いのですが、コンバーターの前からそのままデジタルでひっぱってきたのがデジタル出力端子です。同軸と光デジタルの2タイプがあります。接続には同軸タイプのデジタルケーブルや、光ファイバーを用いた光デジタルケーブルが用いられます。
i-Link
AV機器やコンピュータを接続する高速シリアルバス規格のことです。SACDをデジタル信号のまま出力するのは、同軸や光ではフォーマット上不可能。この場合はより伝送スピードの速いi-Linkなどが用いられます。