CONTENTS
・千葉の自社工場で一枚のアクリル板から製造をおこなう
・マンションリノベでも諦めない。JAXSONのジェットバス
・引き出しの中にバスタブが!一覧できて試せる充実の展示室
・「根っこがないといずれ廃れてしまう」品質至上主義
日本が世界に誇るバスタブブランド・JAXSON
家に居ながら非日常に没入することで心からの癒やしをもたらす視覚と聴覚の世界、ホームシアター。家族や仲間と食を囲むリビングシアターや、寝室兼用のベッドルームシアターまで、ライフスタイルの多様化とともに進化を遂げてきました。同じように、半世紀を経て装置だったハズのものが建築と一体化した住宅設備となり、ライフスタイルの中心として捉えられるようになったものとして、バスタブも挙げられるでしょう。今回は、毎日使うものでありながら、それに浸ることで一瞬にして極上のリラクゼーションを得られる、日本が世界に誇るバスタブブランド・JAXSON(ジャクソン)を紹介すべく、JAXSON TOKYOを訪れました。
- 東京・赤坂にあるブランド直営ショールーム「JAXSON TOKYO」では、5ゾーン27モデルのバスタブを巡りながら、意匠照明、ガラス収納、高級水栓などとのコラボレーションも体感できます
千葉の自社工場で一枚のアクリル板から製造をおこなう
JAXSONは1982年創業。現在79モデルを展開するバスタブメーカーです。創業当初の日本のお風呂は、狭く窓がない空間が主流でした。しかし日本のインテリア業界が、人の集まるリビングを中心とした洋の文化を取り入れゆく中で、お風呂も徐々に居住空間に進出してきます。
お風呂のモダンリビング的解釈として、デザイナーの清水秀男さんは、古くからある日本独特の文化を取り入れることを考えます。銭湯など老若男女がみなでお風呂に入る習慣は、浮世風呂、仙人風呂などに見るように、世界に誇るべき和の文化だからです。
素材はアクリル。JAXSONは高級素材といわれる厚みのあるサニタリーグレードのアクリル板を加熱して、型の中を真空状態にて成形する真空成形技術でバスタブを作った初めてのブランドです。アームレストやフットレストといった段差があるものを一枚の板から創り出す自社工場は千葉に。これまで手掛けた製品数はカスタムを含むと数知れず、200〜300もの金型が現存するそう。6m×4mといった世界最大の一体成型バスタブを作ることもできます。
意匠もイタリアのトレンドを先取りした素材を用いるのが特徴で、アウトドア家具やイタリアのモザイクタイル、古代ヒノキ等の木とのハイブリットも、ジェットバス機能とともにJAXSONブランドのアイコンとなっています。カバーリングはヨーロッパ高級アウトドア家具の製造を担うセブ島の工場にて手編みで仕上げたものをバスタブにセットしています。
- 「Sabrione(サブリオーネ)」
左右にパパ・ママ、そして真ん中のステップには子ども、というファミリーコンセプトのユニークなバスタブ
- 「Tonda(トンダ)」
イタリア語で「大きくて丸い」。ブランドを代表するフラッグシップモデルで、周囲のグレーチングにお湯をあふれさせて温泉のように贅沢に使える “二人掛け” 仕様のチェアを備えた大型バスタブ。スパのような使い方が可能
- 「Abbraccio(アブラッチオ)」
イタリア語で「抱擁」「愛する」を意味するこの製品はまさに二人のためのバス。真正面向かい合わせでは少し恥ずかしい、少し視線が交わるぐらいがちょうどいいというコンセプトですが、少し円形でありながら壁面に密着して設置できるのも人気の秘密。ロングセラーなのが頷けます
同ブランドのバスタブは宿泊先などで体験して感激し「チャンスがあれば自宅や別荘に入れたい」と憧れる人が多く、需要は増える一方。ホームシアターもそうですが、納品に先立ち何年も前から、それこそ土地探しの段階から相談に訪れる人もいるといいます。
こうした一連の製品は、何年もの構想を経て一気に新シリーズとして登場することが多いのだそう。清水さんは長年、バスタブとしての使い勝手はもちろん、実際の建築物にどうすればうまく納まるかを、施主や建築家らの要望に沿って数多くカスタムで製作してきました。その中で、汎用できるものがカタログ商品化されています。一見奇抜に見える製品も、そうした確かな裏付けをもとに一段一段磨き上げることでラインアップとなり、JAXSONブランド全体を形作ってきたのです。
マンションリノベでも諦めない。JAXSONのジェットバス
「そうはいっても、在来工法でのバスタブ設置は無理でしょ」……難しいのは確かです。とくにマンションでは防水性能が厳格に求められるため、最初から諦めてしまうことがままあると聞きます。しかしJAXSONの場合は、マンションや2階設置の住宅に求められる防水パン構造を持ち、壁や洗い場を在来工法のようにタイルで仕上げることができる「フルオーダーユニット」の設計施工会社と提携しているとのこと。
せっかく素敵な空間を得られるなら、ありふれたユニットバスではなく、在来工法にかぎりなく近いJAXSONのジャグジーバスを選択肢に入れたいところです。
- JAXSONの特徴のひとつ、ジェットバス。マッサージ効果を得たいときは背中からのジェット、リフレッシュしたいなら下から気泡が吹き上がるブロア、静かに音楽を聴きたいときは水中照明だけでムーディーに…といったようにシーンが選べます
引き出しの中にバスタブが! 一覧できて試せる充実の展示室
JAXSON TOKYOでは、とくに住宅向けにお薦めするバスタブ10モデルを1400から1800mmサイズまで奥の一角で一堂に展示、体験できます。長さ1400mmのように、小さければ小さいほど、入り心地は実際に体験してみることが大切だそう。
驚くのはその展示手法で、引き出し式! バスタブ専門ブランドとして培ってきた理想のバスタブ選びのための工夫がうかがえます。同じ家に住む家族が入れ替わり立ち替わり何度も訪れては体験し、会話も弾みます。
- 両側に10モデルの引き出しがズラリ。バスルームのサイズが決まっていれば候補のモデルを引き出して、実際にバスタブに入って心地を確かめることができます。一見似ているように見えても、アームレストのゆったり具合や脚の伸ばし加減など、入り心地がまったく異なります
- 「Venti(ベンティ)」
埋め込みタイプの “ザ・スタンダード”。写真左側の座面が少し傾斜しており、対面は脚置きにも。逆に右側は半身浴ではお尻にフィットする半身浴を、左段差はフットレスト代わりになり安定した姿勢を保てます
「根っこがないといずれ廃れてしまう」品質至上主義
創業者でデザイナーの清水秀男さんは、JAXSONブランドを立ち上げたときの気持ちについて、次のように語っています。
「日本の会社が世界に打って出ようとするとき、ブランドを建てなければならないと思いました。そこで社名をジャパンとお釈迦様からとりました。だとしても、根っこがないといずれ廃れてしまう。品質こそが重要ですから。当時いいお手本がありました。arflex(アルフレックス)の「MARENCO(マレンコ)」というソファです。当時、私の親戚が国内製造しており、車用シートのクッション材に使うモールドウレタンを取り入れたのです。
そんなリビングチェア・ソファの流れを実際に目の当たりにして、私は早い時期からインテリアの感覚で、お風呂にも文化の視点を採り入れました。自らの工場を立ち上げ、品質管理から社員教育、デザインチームの立ち上げまですべて個人でおこないました。利益はすべて品質向上に注ぎ込み、そこから世界展開しようと決めたのです。
ひとりで全財産を担保して進んでいくのは、対外的な責任もあるし、家族も巻き込むことになる。それを乗り切っていくのは、運、そして諦めないという心だと思います」
JAXSONブランドは縁あって一旦売却されましたが、13年後、再び清水さんがJAXSONの社長に就任し、ブランドの再構築を手掛けることになりました。
「結局ブランドというものは、創業家本人がおこなわなければならないということだったのだと思います。会社は戻ってきたけれど、13年のブランクがあるので、まずはしっかりと原点に戻る。私が実際工場に入り、1人ひとりとものづくりについて語り合う必要がありました」
清水さんの「諦めない」という言葉に励まされる思いがするのは、私だけではないでしょう。次回は、清水さんがその後新たに立ち上げた新ブランドHIDEO(ハイデオ)についてリポートします。
[店舗概要]
JAXSON TOKYO
東京都港区赤坂3丁目3−3住友生命赤坂ビル1F
TEL;03-6826-7775
営業時間:10:30 – 18:00(予約制)
定休日:月曜日、日曜日
https://jaxson.jp/showroom/tokyo/