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  • 伊CASSINAが新作コレクションを青山本店でお披露目! 3/6から 工業生産されたことのない往年の名作をリデザイン

    取材・執筆 / 遠藤義人
    2025年3月5日更新

    • ホームシアター・コンシェルジュ
      遠藤義人

イタリアの家具ブランド、カッシーナの日本総代理店であるCassina ixc.(カッシーナ・イクスシー)は、2024年ミラノデザインウィークで発表したシャルロット・ペリアン20周年コレクションほか新作アイテムを、3月6日(木)より国内で順次展示を開始します。

ソファ/ラグ/テーブル/照明/アクセサリーなど充実のラインアップ

シャルロット・ペリアンは20世紀初頭以来、インテリアデザインの美的価値を広範囲にわたり刷新し、日常生活に対する真に現代的な感性を生み出した文化的前衛派のデザイナーです。

カッシーナは、ペリアンの娘であり唯一の後継者であるペルネット・ペリアン=バルサックとの密接なコラボレーションにより、2004年、シャルロット・ペリアンコレクションを発表。以来常に進化、拡張し続けています。それから20周年を迎えたことを契機にペリアンにオマージュを捧げ、工業生産されたことのないモデルを発表することとしたのです。

1943年11月、シャルロット・ペリアンがインドシナの工芸局長としてインドシナに滞在していた時のこと。妊娠後期の数ヶ月間、医療上の理由からベッドに寝たきりにならざるを得なかった彼女は、読書や執筆、デザインを続けられるよう、アーム付きのシェーズロングをデザインしました。

戦時中ゆえクロム管は入手不可能だったため、最初のモデルは籐で作られ、それ以来編集されることはありませんでした。しかし今回カッシーナは、ペルネット・ペリアン=バルサックとの密接なコラボレーションにより、この象徴的なデザインを形にし、塗装されたチューブ状の金属で構造を作り上げました。シートには再生PET繊維のソフトなパッディングが入っているほか、アクセントとして端までステッチが入ったキルティングモチーフが施されています。

下掲画像のINDOCHINE CHAISE LONGUE下に敷かれているウール製のラグは、パトリシア・ウルキオラが手掛けた「RIGADINO(リガディーノ)」。そのデザインは、彼女の「SESTIERE(セスティエーレ)」フラワーベースや「NO VANITAS(ノー・ヴァニタス)」ミラーと同じく、ヴェネチアの歴史的なクラフトマンシップからインスピレーションを得た “フィル・ルージュ(赤い糸)”を受け継いでいます。

ムラーノガラス細工の伝統的なストライプモチーフを、テキスタイルパターンで見事に再解釈したもの。“リガディン” 装飾の特徴である黒い線で飾られた太い輪郭がラグの不規則な周囲を縁取り、動きとリズムを感じるグラフィカルな表情を生み出しています。

  • 「INDOCHINE CHAISE LONGUE」designed by Charlotte Perriand」

1938年、シャルロット・ペリアンがパリの同名の地区にあるアトリエのために製作したTABLE MONTPARNASSE(ターブル・モンパルナス)は「en forme libre(自由な形)」シリーズのひとつ。単純な幾何学的形状が一般的だった当時のテーブル群にあって、6つの面で構成された特徴的な非対称の形は革命を引き起こしました。コンパクトな空間に適したオブジェであると同時に、より多くのゲストと快適に囲むための機能も備えています。

TABLE MONTPARNASSEが1940年代から1950年代にかけて製造されたのはわずか7台。オリジナルはパリのポンピドゥー・センターに所蔵され、その他は一流のプライベート・コレクションとなった希少品です。

そんな公式には販売されなかったモデルが、その独特の質感とユニークな輪郭を讃えるため、マット仕上げの2種類の木材(アメリカンウォールナット材ナチュラル/アッシュ材ブラック染色)で製品化されました。

  • 「TABLE MONTPARNASSE」designed by Charlotte Perriand

オリジナルは1940年代にデザインされたもの。シャルロット・ペリアンが日本でデザインした数点のスケッチをもとに、カッシーナが復刻しました。手触りがよくシンプルなこのフラワーベースは、鋳鉄製の型に吹きガラスを入れ、熟練した職人が手作業で生み出しています。この工程により意図的な凹凸のあるラインが形作られ、製品ひとつひとつの個性が強調されます。丸みを帯びた縁取りのたっぷりとした厚みが、VASE À FLEURS ÉCHANCRÉの洗練された触感をさらに際立たせています。

  • 「VASE À FLEURS ÉCHANCRÉ」designed by Charlotte Perriand

パトリシア・ウルキオラがデザインし2021年に発表された「DUDET(デュデット)アームチェア」のユニークな美しさと包み込まれるような座り心地はそのままに、新たに2人掛けソファとラウンジチェアがシリーズに加わりました。

2人掛けソファは “イージーダイニング” というコンテンポラリーなコンセプトを取り入れており、ダイニング空間に新しい魅力をプラスします。またホスピタリティ空間など、さまざまなシーンで多目的に使えます。

ラウンジチェアは、丸みを帯びたフォルムと豊かなパッディングが特徴。アームチェアよりもふっくらとしたクッションで、本を読んだり、映画を楽しんだりと、くつろぎの時間に最適です。さらに、背もたれには異なる密度のパッディングを採用し、安定感のある快適な座り心地で、会話のひとときもゆったりと楽しめます。

またカッシーナの研究開発によって、環境への配慮も実現しました。金属構造とポリウレタンフォームを分離できる設計で、脚の内側にあるファスナーで張地の取り外しも可能。持続可能な未来を見据えた、洗練されたデザインです。

  • 「DUDET SOFA」designed by Patricia Urquiola

1949年、デトロイト美術館で開催された「An Exhibition for Modern Living」で初めて披露されたGALAXY(ギャラクシー)ペンダントランプ。チャールズ&レイ・イームズが手掛け、イームズ・オフィスの試作工房で、自動車部品と異なるサイズの真鍮管を組み合わせて製作されたモデルです。当時は木製の球体に真鍮のステムを挿入するという独創的な構造が特徴でした。

これまで大量生産されることはありませんでしたが、カッシーナはイームズ・オフィスと緊密に連携し、2人のデザイナーの理念と研究プロセスを尊重しながら、現代の技術と素材を取り入れることで量産化を実現しました。この深い研究の成果が、まるで光の爆発”のような輝きを生み出しています。

中心の球体から放射状に広がる36本のステム(15cm/30cm/45cmの3種類)が、星のように周囲を照らします。カスタマイズされたLED光源に加え、カッシーナ独自の「プラグ&プレイ」システムを採用しています。

仕上げはマットブラックとアルミニウム・ポリッシュ仕上げの2種類。オリジナルデザインへの敬意を大切にしながら、現代の空間にも美しく調和するタイムレスな照明です。

  • 「GALAXY」pendant lamp designed by Charles and Ray Eames

マイケル・アナスタシアデスが手掛けたGIBBOUS(ギブス)ミラーは、彼の特徴であるエレガントで詩的なミニマリズムを体現しています。職人技と革新性が見事に融合し、シンプルながらも強い存在感を放つデザインです。

しなやかなカーブで結ばれた丸みのあるアウトラインは、柔らかな陰影を生み出すだけでなく、取り付ける角度によって小物を置けるシェルフとしても機能。実用性と美しさがさりげなく共存しています。

この独特なフォルムは、ガラス板を高温で数時間かけて成形するという精緻な工程から生まれます。緩やかなカーブとエレガントなウェーブが手仕事ならではの個性を宿し、同じものは2つとない唯一無二のミラーとなっています。

家具の上に飾る、壁のコーナーに沿わせる、オブジェの輪郭に合わせて水平に置くなど、クリエイティブな配置が可能。置く角度や高さによって、光と影の表情が変わり、空間に新たな魅力を与えてくれます。

  • 「GIBBOUS」mirror designed by Michael Anastassiades

著名なシェフ、グアルティエロ・マルケージの門下生でありPOPキュイジーヌ創始者のダヴィデ・オルダーニによるデザイン。自然や日常の味わいからインスピレーションを得たオブジェを通じて、食卓における季節の意味を比喩的に再解釈しています。

カボチャ/タマネギ/アスパラガス/雄鶏をかたどったエナメル加工のセラミック製コンテナで、チョークホワイト/グレー/コバルトブルーの3色展開。これら4つの要素は、感覚的な魅力を通じて食材そのものの価値を引き立てます。

クロッシュ型の蓋付きコンテナで構成されており、それぞれが四季のいずれかを象徴し、季節ごとの使い方をインスピレーションとして提案します。機能性と装飾性を兼ね備えており、キッチンはもちろん、食卓やリビングでも活躍するデザインです。

  • 「TAAC」container designed by Davide Oldani

なお、東京・六本木の国立新美術館で3月19日(水)から6月30日(月)に開催される展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験1920s-1970s」に連動した展示企画「リビング・モダニティtoday」でも、シャルロット・ぺリアンコレクションを展示予定とのことで、こちらも楽しみです。

[新作展示スケジュール]
青山本店:3月6日(木)から
名古屋店:3月20日(木・祝)から
大阪店:3月20日(木・祝)から
福岡店: 3月29日(土)から ※リニューアルグランドオープン

[お問合せ先]
カッシーナ・イクスシー青山本店
住所:東京都港区南青山2-12-14ユニマット青山ビル1,2,3F
TEL:03-5474-9001
営業時間:11:00 – 18:00
定休日:水曜日