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  • 鴻池賢三のホームシアターTips 新生活のテレビ選び、ゲームも楽しみたいならココに注目! 3つの注目すべきポイントをプロが解説

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2025年3月7日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

近年のテレビ製品は大画面&低価格化がトレンド。新製品は4K/HDRが標準化しているといえ、放送番組やネット動画視聴に加えて、ゲーミングにも適した進化を遂げています。そこで、今回はとくに「ゲーミング」に焦点を当て、よりよいテレビ選びのポイントをご紹介します。

「ゲーミング」も楽しむのに適した要素とは?

据え置き型ゲーム機といえば「PlayStation 5」や「Xbox Series X」が人気ですが、実はこうした製品は最大4K/HDR/120Hz出力に対応しています。そう、最新の4Kテレビと好相性なのです。

さらにゲーム機で生成された動画映像は、レンダリング時にロッシー圧縮を経ていない点で、放送番組や映像配信よりも高画質なソースといえます。機能にこだわってテレビを選べば、より美しい映像でゲームプレイを楽しめる可能性があるのです。ほか、人気の「Nintendo Switch」(HDMI出力最大フルHD/60fps)も、4K大画面テレビなら迫力の映像で楽しめるはずです。

ゲームと一口にいっても、FPS(ファーストパーソンシューティング)/RPG/オープンワールド/アクションアドベンチャー/シミュレーションなど、様々なジャンルがありますが、勝敗にこだわるFPSプレーヤーは別として、映像美を重視するなら、以下のポイントに注目するとよいでしょう。

その1 リフレッシュレート

リフレッシュレートとは、表示ディスプレイ側で1秒間に画面を更新する回数を指します。似たようなワードとしてフレームレート(frames per second/fps)がありますが、こちらはソースやプレーヤー側で1秒間の動画を何コマで構成あるいは送り出すか、という違いがあります。

最新ゲーム機の場合は最大4K/120fpsで出力が可能。4K/120Hz入力および表示に対応したテレビを使用すれば、映画や放送よりも動きがよりなめらかな映像が楽しめる可能性があります。なお、120Hz対応を謳うテレビでも、120Hzまで対応している端子が1基だけ、あるいは2基などと限定される場合もあるので留意しましょう。

  • PlayStation 5やXbox Series X、そしてPC(一定性能を備えるグラフィックボード)では、「VRR(Variable Refresh Rate/可変リフレッシュレート)」が利用可能です。PlayStation 5やXbox Series Xの出力は最大120fpsですが、映像の内容や動きによってグラフィック処理が追い付かなくなると、フレームレートを下げて対応します。テレビ側にもこのVRR機能が備わっていると、最小限のリフレッシュレートに固定することなく、出来るかぎりなめらかに表示しつつ、必要な際のみコマ数を減らすというVRR機能のメリットを享受できます(画像はTVS REGZAのVRR対応4K液晶テレビ「Z970Nシリーズ」製品ページから)

その2 低遅延表示モード搭載

デジタル方式の場合、映像処理には遅延がつきまといます。とくに高性能な超解像技術を謳う製品の場合、数フレームを蓄積して分析および処理をおこなうので、0.2秒程度の遅延が生じます。素早い反応が勝敗を分けるFPSではもちろんですが、ドライビングシミュレーションでも違和感に。時速300kmで走る車は、0.2秒で約17m進んでしまう計算なので侮れません。

ちなみにテレビの「低遅延モード」(ゲームモード)は、高度な超解像処理をバイパスするなどして実現しています。とくにNintendo Switchの映像を4Kテレビで表示する場合は4Kへのアップスケーリングが不可欠なので、遅延が気にならないゲームタイトルをプレイする際は、低遅延モード以外の映像モードを選ぶ方が、テレビの超解像機能を存分に発揮したよりキレイな映像で楽しめるでしょう。一定の超解像処理を施しつつ、低遅延をアピールする製品もあります。

  • ALLM(Auto Low Latency Mode)は、ゲーム機が起動すると自動的にテレビを低遅延モードに切り替える便利な機能です。利用に際しては、再生ソースとなるゲーム機、HDMI 2.1による接続において有効で、テレビもこの機能に対応している必要があります。VRRと並んで、近年は4Kテレビ各種に標準装備されているケースも多くなっています(画像はPANASONICのラインアップ比較

テレビなら欲しいモデルを豊富な製品群から選べる

4Kの高精細な映像を大画面で映し出すことで、ゲームのプレイ体験に、新しい楽しみが見つかるかもしれません。各ブランドによる超解像エンジンによって、4K出力に対応していないゲーム機も、エッジのギザギザが目立たないキレイな映像で表示できます。

テレビなら有機ELと液晶の両モデルにおいて、画面サイズやモデル数が豊富なので、予算に合わせて柔軟に選択ができるはず。また放送番組やネット動画、映像配信も視聴でき、1台で完結できればスペースの節約にもなります。ゲームに興味があるなら、本記事を参考に、より自分に最適なテレビを選んでみてはいかがでしょうか?

  • 映像の動きのなめらかさや、応答性にこだわるなら、解像度を低くしてでも240Hz/240fpsという世界もあります。フレームレートが240Hzに上がると映像の動きがよりなめらかになるのに加えて、1フレームの表示時間が計算上0.00416秒、つまり遅延時間も極小になり、とくにシビアなFPSプレーヤーには常識となっています。このクラスになると、残像が少ない有機ELディスプレイやDLPプロジェクターも注目されています(画像はLG ELECTRONICSの240Hz対応有機ELモニター「39GX90SA-W」)
  • 鴻池賢三 氏。VGP審査副委員長、オーディオ・ビジュアル評論家。メーカーにてAV機器の商品企画職、アメリカ・シリコンバレーのデジタルAV機器用ICを手掛けるベンチャー企業を経て独立。THX/ISF認定のホームシアターデザイナーとしても活躍しています