VGP phileweb

ガイド

  • 「全自動」の次世代スマートホームを体験! HOMMAがつくる快適でエコな暮らし 人の暮らしに適応して家の機能が変化する

    取材・執筆 / 松原ひな子(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2025年3月28日更新

アメリカはシリコンバレーを拠点に、住宅とテクノロジーが融合した次世代のスマートホームを提案するHOMMA(ホンマ)が、日本国内での展開を開始しました。東京にあるデベロッパー向けのショールームを訪問して、代表の本間毅さんにHOMMA独自の魅力を伺い、実際に “HOMMA化” されたスマートホームを体験してきました。

HOMMAの賃貸スマートホームは設定も操作も不要

HOMMAのソリューションが特別なのは、スイッチを入れたり切ったりなどといった操作が不要な点。ショールームにてスマート化されているのは照明、電動シェード、オートロックなど。とくに照明は壁スイッチやスマホアプリ、スマートスピーカーなどによる操作が必要なく、すべて自動運転化されています。また、ただ点灯/消灯する、というだけでなく、時間帯に応じて適切な明るさや色温度に調整。リアルタイムの行動データをもとにした自動制御(オートメーション)も組み込まれています。

通常、住宅規模でスマートホーム化する場合、入居後に大量のデバイスを自分で設置・設定する必要があったり、オートメーションの設定変更のたびにエンジニアが家に出入りする必要があったりなど、手順やサポートは複雑になりがち。より多くの機器やブランドを採用するほど、その傾向は顕著です。

HOMMAでは、そういった複雑さを一切取り除いています。というのも、実は住宅をスマート化するために、ゼロから建築設計。すべてのデバイスがビルトインされ、デザイン住宅のような外見でありながら、自社開発のプラットフォームとかけあわせて、ストレスなく快適に、そして簡単で便利につかえるスマートホームを実現しています。

近年は、ボストンの高層マンション、ポートランドの高層アパート、ベニシアの戸建など、本拠地であるアメリカでつくりあげたさまざまなプロジェクトのフィードバックを活かして、セットアップの工数を極力減らしたスマートホームの設計ノウハウを確立。国内ではおもに新築の賃貸マンションに独自のスマートシステムを導入して “HOMMA化” する、というかたちのライセンス展開をおこなっているそう。東京ショールームも、設計やデザインは外部デベロッパーによるもので、マンションの一室のみをリフォームしてHOMMA化しています。

  • 東京ショールームはマンションの一室を竣工後にリフォームでHOMMA化
  • アメリカのオレゴン州ポートランドの高層マンション。15階と16階がHOMMA化されており、現在もリース中です

カスタム手動でシーンに合わせた空間演出も可能

「まずはご体験ください」と代表の本間さんがショールームを案内してくれました。ここからは実際にHOMMA化された賃貸マンションの一室での暮らし体験をご紹介します。

  • 部屋は1LDKの間取り。玄関、リビング、キッチン、ベッドルーム、バスルームなどを備えています
  • キッチン、バスルームを含む4つのエリアがHOMMA化されています
  • 空間デザインはDNPが担当。機器が視覚的なストレスにならないように内装と一体化させています。壁面と一体化したスピーカー「DNPサウンドパネル」(写真右側にある木目調のパネル)のほか、家具のコーディネートもDNPのインテリアデザインチームによるもの

注目したいのはやはり照明システム。HOMMAスマートホームの照明は、入居開始したその時から完全自動でコントロールされます。ショールームでは、玄関扉を開けるとまず玄関と廊下の照明がオンに。次にリビングに続く扉を開け部屋に入ると、同時にリビングの照明も明るく。この時点では奥のベッドルームの照明までは点灯せず、ベッドルームへと足を進めるとセンサーが反応して照明がつきます。また、リビング扉を閉めて談笑していると、玄関照明はいつの間に消えていました。

この間、壁スイッチの操作や音声コントロールは一切おこなっておらず、ただ部屋の奥へと進んでいっただけ。必要な場所を必要なタイミングで的確に、自動で明るくしてくれます。消灯時も同様で、人がいなくなれば自然に消えるため、消し忘れるということはありません。

  • 本間氏によると、1世帯あたり1日に照明の点灯/消灯が動作しているのは平均300回ほど。スマートホーム化することで1日の中で電気のスイッチをオンオフするというマイクロタスクがなくなっているということになります

照明はサーカディアンリズムという人体の概日リズムに合わせてオートメーション化されており(サーカディアンライティング)、自然の昼夜サイクルに基づいて、明るさや色温度を自動で調整。朝は柔らかな光で自然な目覚めを促し、昼間には集中力を高める明るい白色光に。夕方から夜にかけてはリラックスを促す暖かい色温度に段階的に移行、といったように、1日を通して過ごしやすい自然な明るさと色へと変化していきます。デフォルトでは日の出と日の入りの時間をそれぞれ自動で取得して1日のリズムをつくっていますが、切り替えのポイントは任意の時間に変更が可能。また、それぞれの時間帯の照明の設定も任意に細かく調整できます。

また、通常のサーカディアンライティングだけでなく、使いたいシーンに合わせた好みの照明環境をカスタムプリセットしておくことも可能。「シアターを使うから足元だけを間接光で照らす」「夕食を食べる時は通常の夜の設定よりも明るめに」といったシーンを設定しておけば、使いたいタイミングで呼び出しできます。

  • サーカディアンライティングのデモ(画像をクリックすると動画を展開)。デフォルトでは「入眠がスムーズになるリズム」を採用しており、1日を通してオンオフを含めてゆっくりと変化していきます。外出して照明がオフになってから、帰宅して再度点灯した時は、その時間に適した明るさと色温度の照明を呼び出します

コントロールする機器の設定はすべてHOMMAアプリを使います。オートメーションの時間帯の変更に加えて、センサーの反応速度、消灯するまでのフェードの時間、複数の照明器具がある部屋はどれをどの程度ブレンドするかなど、細かな調整が可能。シェードや空調、オートロックの操作と連携にも対応しています。

  • コントロールパッドは、プリセット呼び出し、サーカディアンライティングのオン、照明をすべてオフ、の3つの操作ボタンを装備。割り当てできるプリセットは2つまで。3つ以上のシーン登録も可能ですが、アプリで呼び出す必要があります。後述のローカルネットワークで制御されているので、本体の設置時に必要なのは電源供給のみ
  • カスタムプリセットの設定のほか、サーカディアンライティングにおける各時間帯の照明の明るさと色温度、切り替えのリズムなどは実際にプレビューしながらアプリで操作できます。スマートロックの番号設定など、住宅内のスマートデバイスは機器の種類やブランドに関わらず、HOMMAアプリに操作が集約されています
  • アプリの操作端末はiPadを採用。造作家具に埋め込んで設置し、特殊なフィルムによって存在感をなくしつつ、操作感は変わらず両立しています。これはDNP独自の技術で、もとは車載パネル用だった特殊フィルムを応用したもの

ローカル制御で遅延が起きにくく安定した動作に

なぜ自動なのか答えは簡単で、センサーで人の動きを感知して機器の制御をおこなうからです。室内に感知できない場所が生まれないよう、設計時に考慮しながら設置位置や個数を調整します。ビルトインで機器は露出しないだけでなく、入居した直後から設定まで完了しているため、賃貸でもすぐにサーカディアンラインティングをはじめとするスマートシステム各種を利用することができます。また、センサーが取得した室内のデータを利活用することで、よりシステムをパーソナライズしていくため、住めば住むほど心地のよい家へと進化していきます。

実は一般的なスマートホームデバイスとHOMMAスマートホームシステムの大きく異なる点がもう一つ。それは住宅規模の大きさに関わらず、センサーはローカルネットワークを介して制御をおこなうことです。

具体的には、天井にセンサーをビルトインしてセンサーネットワークをつくり、1台のローカルコンピューターを設置。これがエッジコンピューターとなり、リアルタイムの情報を取得、計算、フィードバックして機器の制御をおこないます。この制御に用いるソフトウェアこそHOMMAが独自に開発したソリューション。クラウドは日常生活ではあまり使わず、インターネットがなくても動くよう設計されています。これによって、遅延が起きにくく安定している動作と、操作の自動化を両立しています。

  • 住宅内に設置した「ハブ」が各デバイスへの指示役。コアとなるOS、操作用のアプリ、管理用のクラウドなどは、AI技術を活用して独自に開発、スマートホームに最適化しています
  • 各デバイスとの互換性に制約がない点にも注目で、たとえば実際にショールームの照明システムへと組み込まれている機器は、アイリスオーヤマ「LiCONEX(ライコネックス)」、Philips「Philips Hue」などさまざま。機器のブランドや機能に依存せず、スマートホームシステムに対応させることができます

サポート体制も万全! 知らないうちに遠隔で解決

居住者が快適に過ごせるよう住宅や暮らし目線でテクノロジーを開発しているHOMMA。ここからはその快適な体験につながる、デベロッパー向けの設計・施工のメソッドや、入居後のサポートについてもご紹介します。

HOMMAは実際に設置するハードウェア、それらを連携させるソフトウェアに加えて、住宅そのものの設計ノウハウ、インストール時の設定ツールも独自に確立しています。この設定ツールはセットアップを極力簡素にできるとのことで、何部屋もあるマンション、一部屋につき数十個のデバイスを設置する‥というケースでも安心。

まず事前にソフトウェアを流しこんだデバイスを現場に運び込み、ランダムに設置して、後から間取り図を参照しながら位置合わせでマッピングしていきます。設定ツールはタブレットで操作可能。手元に各デバイスのIPアドレスと、部屋の中のどこに設置されているのか、という情報がわかる状態でセッティングしていくことができます。

実は住宅内でなにか問題が起きると、エッジコンピューターからエンジニアのチャットにエラーログを直接送信されるようセッティングされているのですが、このエラーログは上述のマッピングデータと対応しているため、「〇〇という物件の」「◯号室の」「照明のペアリングが」「エラーを起こしている」、といったことがただちにわかります。するとユーザーがエラーに気づく前にエンジニアがリモートで直してしまう、といったこともまま起こるそう。スマートホームに抱きがちな「トラブル解決が難しそう」という懸念も丁寧にケアします。

  • 「この設定ツールを使う方法は従来と比べて10倍ほど早いです」と本間さん。さらに、センサーを含むさまざまなデバイスの位置情報を間取り図にマッピングしてデータ化していけるので、のちのちのメンテナンスにも大いに役立つといいます
  • 入居後も定期的なシステムメンテナンスやソフトウェアアップデートによって、使い勝手の向上や新機能の追加が期待できます。住宅に業者が出入りすることなく、遠隔で実施されるため、居住者の負担はありません

こうしてHOMMA化された物件は、似た条件を持つ周辺の賃貸に比べて賃料を高く設定しているとのことですが、ほぼ100%でまわっているとのこと(2025年1月)。たとえば新築タワーマンションの事例にて、工事途中でHOMMAのシステム導入が決まり、丸ごとHOMMA化されている15階フロアと、間に合わず入れられなかった14階フロアを比較できる機会があったそう。本来、賃料設定は同等程度ですが、「HOMMA化されたフロアは賃料を6%高く取ることができました」と代表の本間毅さん。

  • 入居が決まる早さ、長く定着する割合を比べてみても、HOMMA化された部屋の方がより成果が出ているといいます

「通常スタートアップの賃貸物件ではIoTデバイスをつくることが多いです。HOMMAもそれ自体はやっていますが、ただそれだけやっていても、部分的なところしかスマート化できません。『人の生活スタイルまで変えていきたい』と考えて、行き着いたのは自分たちでハードウェアとして家をつくって、ソフトウェアとして中のサービスをつくって、両方やらないと、ということでした」(本間さん)

「『1日中電気のスイッチをさわらない』という体験は誰もしたことがありませんよね。こういったマイクロタスクがなくなるだけでなく、電気の消し忘れがゼロになり、照明の電力消費が約3割減になるというデータも実はあります。便利なだけでなく、気が付かないところでストレスが減っていたり、エコになっていたり。住宅が人に合わせて機能して、心地よい暮らしをサポートする、そういう快適なスマートホームを目指しています。なにを措いても、まずはご体験いただきたいです」

  • ショールームを案内してくれたHOMMA Group株式会社 Founder & CEO 本間 毅さん。ご本人も大のオーディオ好きで、最近は音楽配信の音質向上に挑戦して楽しんでおられるそう

[お問い合わせ先]
HOMMA Group株式会社
https://www.hom.ma/jp/contact