視界いっぱいに広がる「大画面」と、音が部屋中に駆け巡るような「サラウンド」。まるで映画館のような体験を自宅でできるのがホームシアターの醍醐味です。機器を揃えればホームシアターはできますが、それだけでは満足度の高い空間にはなりません。後悔しないホームシアターづくりのための基礎知識を、4つのパートにわけてご紹介していきましょう。PART1は、ホームシアターのプロ「インストーラー」についてです。
「モノ」ではなく「コト」として考える
ホームシアターといってもスタイルは様々です。「映画館のある家」の理想のカタチは、オーナーによって異なるからです。リビングにつくるか、専用の部屋をつくるか、それとも書斎やデスクトップなどプライベート空間につくるか。機材選びや予算はどうするか。決めるべきことが多すぎて、迷ってしまいます。ホームシアターをつくる前に、「いつ、誰と、何を、どのように楽しみたいか」といった目的を整理しておくことが重要です。たとえば、「お昼に、家族3人で、アクション映画を、映画館さながらの迫力で楽しみたい」、と考えたら「大画面テレビをメインに、スピーカーで視聴位置を取り囲むドルビーアトモス環境を構築するのがお薦め」というふうな目安ができます。
近年はプロジェクターで1万円を切るような安価なモデルも増え、ネット販売で「衝動買い」したくなりますが、一度立ち止まって「モノ」ではなく「コト」に目を向けて、自分の理想のホームシアター像をイメージしましょう。
ホームシアターのプロに相談する
ネット通販で激安プロジェクターを購入した人が口にすることでよくあるのは「買ったけど使わなくなった」という話。使うたびに出して設置するのは、ちょっと面倒です。これは常設していないことが原因で起こるトラブルです。つまり、ホームシアターは機器を購入して終わりではなく、毎日使えるように整えて初めて完成といえます。ケーブルを隠したり、機器を天井や壁に設置したり、設備化する場合には、安全面を考慮してホームシアターのプロである「インストーラー」に依頼することをお薦めします。
- 映画館のような徐々に照明が暗くなってゆく演出は、ホームシアターでも構築できます。「調光装置」を導入することで、複数の照明の明るさを調節したり場所ごとにオン/オフの切り替えをしたりも可能で、映像の臨場感を高めたり部屋の雰囲気を醸成したりできます。
インストーラーの仕事は多岐に渡る
ホームシアターのコンセプトが固まったら、それを実現してくれるプロフェッショナルを探しましょう。ホームシアターの専門家は「インストーラー」と呼ばれています。インストーラーは機器の販売や設置、システムプランニング、インテリアコーディネートなど、ホームシアターに関することなら何でも相談できるパートナーです。施主の希望に沿ったホームシアターがつくれるよう、設計図作成の段階から相談に乗り、ハウスメーカーや設計士との打ち合わせを行い、美と質の両方にこだわるホームシアターづくりをサポートしてくれます。
ホームシアターショップに在籍するインストーラーの仕事は多岐に渡ります。機器の選定や設置はもちろん、ケーブルの隠蔽などの施工が伴う際は、工事業者とのやり取りをはじめ、適切な位置にコンセントなどをレイアウトする配管指示図面を作成します。つまり、準備からか完成まで、ホームシアターに関することはすべてインストーラーにお願いできます。これらをコスト削減と思ってDIYでやろうとすると、住宅の専門知識が求められるだけでなく、ハウスメーカーとのやり取りも頻繁に必要になるケースもあります。美しいホームシアターづくりには、インストーラーは欠かせない存在なのです。