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  • 8K最前線インタビュー 連載 第2回 8K最前線インタビューPART.1[後編]
    世界初8Kテレビが描く新たな映像体験
    サウンドバーと合わせて
    8K映像&立体音響

    取材・執筆 / 松井泰裕(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2019年5月13日更新

8K放送を楽しめる唯一のテレビ

2015年に業務用の8K対応モニター「LV-85001」を発表し、2018年にはついに8Kチューナー内蔵テレビ「AX1シリーズ」を発売するなど、シャープはどこよりも早く8Kの魅力を体験できる製品をユーザーに届けてきました。また、8K放送の22.2ch音響に対応したサウンドバー、8K放送番組の録画に対応したUSBハードディスクまで、8K放送のフルスペックを網羅しているのもシャープならでは。そんなシャープが、8K製品を開発する上でどのような取り組みを果たしてきたのか、前編に引き続き、シャープの8K推進部で活躍されている上杉氏にお話を伺いました。

  • 取材にご協力いただいた、シャープ株式会社 スマートTVシステム事業本部 部長 上杉俊介氏

前編はこちら>>>8K最前線インタビューPART.1[前編]シャープに聞いた!8Kならではの魅力とは?

AQUOS史上最高の映像美!

約3,300万画素にも及ぶ高解像度を再現する液晶パネルを生かす映像処理エンジン「AQUOS 8K Smart Engine PRO」をはじめ、8K映像をより滑らかに表現する120Hz補完表示や、2Kや4K映像を8Kの高解像度にアップコンバートする機能など、8Kモデルならではの高画質技術を搭載する「AX1シリーズ」。

  • 世界初となる8Kチューナー内蔵のテレビ「AX1シリーズ」

「8K製品の基礎開発はずいぶん前から行ってきたため、8K放送のスタートに合わせたコンシューマーモデルの発売は、我々にとっての責務であると考えておりました。8Kの高解像度を活かすために液晶パネルはどうあるべきか、8Kの膨大な情報量をストレスなく処理できる高性能なチップをどのように搭載するかなど、問題が山積みの中、どこよりも先駆けて8Kモデルを市場に打ち出すことを目標に製品開発を行ってきました。」(上杉氏)

従来から培ってきた液晶パネルの高画質技術を継承しながら、さらに8Kならではの映像美を再現できるよう、パネルから映像チップに至るまで長期の開発期間を経て、AX1シリーズで“AQUOS史上最高画質”を実現しました。

  • 高い透過率を持つ「UV2A/UV2AⅡ液晶技術」により、明るく抜けの良い高輝度8K映像を実現。特に80型では従来機種から4倍もの輝き復元を可能にしています。さらに映像信号を自動解析し、LEDバックライトを部分制御する輝き復元技術「メガコントラスト」(写真)を採用。また、4K8K放送で採用される高色域表現を豊かに再現する「リッチカラーテクノロジープロ」など、AQUOSで培ってきた高画質技術を惜しみなく投入しています。

インチサイズを豊富に揃える

「AX1シリーズ」のラインアップは、圧倒的な没入感を味わうことのできる80型だけでなく、70型や60型など、3つのインチサイズを取り揃えています。

「高解像度の映像は、大画面であればあるほどその魅力が伝わります。そのため、家庭用では限界に近い80型は何としても発売したいモデルでした。一方で、少しでも8Kの裾野を広げたいという意味を込めたラインアップを揃えたいという想いもありました。そして、開発をずっと進めていた70型、さらにインチサイズを抑えた60型も揃えることで、8Kを楽しんでみたいというニーズに応えられるようにしました。」(上杉氏)

  • 80型「8T-C80AX1」、70型「8T-C70AX1」、60型「8T-C60AX1」を揃えるなど、8Kの裾野を広げるラインアップもAX1シリーズならではの魅力です。8Kを体感したいユーザーの期待に応えたラインアップは、8Kファンの拡充という願いを込めた取り組みです。

迫力のサウンド&8K録画もできる

シャープならではの取り組みは、映像だけでなく音響や録画においても8K放送の魅力を堪能できる点です。特に注目したいのが、8K放送に採用された22.2chの立体音響を体感できるサウンドバー「8A-C31AX1」。

「8K放送のコンセプトは、8K映像と22.2chの立体音響が一体となった、リアルな体験を味わえることです。パブリックビューイングの会場では、24個のスピーカーによって、22.2chフルデコードのサウンドを、前後・上下・左右から再生できる最高の環境を作ることができますが、そのサウンドを一般家庭で体感できるようにするためにどうすればいいのか、非常に悩みました。そこで8A-C31AX1は、独自のアルゴリズムでミックスを施し、立体音響の成分をしっかりと残しながらも一本のサウンドバーで再現できるように設計されています。手軽に本格的な22.2chの立体音響を楽しめる、そんなコンセプトから誕生しており、世界初の22.2ch対応サウンドバーを市場に打ち出すことができました。」(上杉氏)

  • サウンドバー「8A-C31AX1」は、AX1シリーズと組み合わせることで、8K放送で採用される22.2chの音声に対して、水平方向・鉛直方向・低域効果音の3種類の信号に分離して独自方式にリミックスします。また、2chや5.1chの音声に対しても、アップミックス信号処理を施し、様々なコンテンツを立体音響で楽しむことができます。

また、AX1シリーズで8K放送を録画する際、その保存先となるUSBハードディスク「8R-C80A1」も揃えているシャープ。8R-C80A1も並行して開発を進めていたとのこと。

「記録メディアの世界では、まだ4Kが精一杯だった開発当時、ようやくブルーレイディスクで4K録画の規格が出てきた時期でもありました。それでも、ものすごく良質なコンテンツが多い8K放送を、じっくり何度でも観たいというユーザーのため、AX1シリーズから8K番組を録画保存できるUSBハードディスクの開発も進めておりました。サウンドバーも含めて、想像を絶するほどの大きなプロジェクトとなり、正直、社内的には大変な負荷が掛かりましたが(笑)、8K放送を待ち望んだユーザーの期待に十分応えられる製品群をご用意できたことを誇りに思っています。」(上杉氏)

8K放送を「観る・聴く・残す」ことができる製品として誕生したシャープ「8Kワールド」。8K放送開始とともに発売された合計7製品は、オーディオビジュアル体験に新たな息吹をもたらす存在となりました。

  • 大容量8TBのハードディスクを搭載した「8R-C80A1」は、8K番組を約170時間も録画することが可能です。AX1シリーズのほか、シャープから発売されている8Kチューナー「8S-C00AW1」にも接続して使用することもできます。

完成度を認めてもらえた多くの声

「CEATEC JAPAN 2018」にて、初めて披露された「AX1シリーズ」。実際に8K映像を観たことがなかった来場者から、デモを体感してもらったことで嬉しい感想が飛び交ったと言います。

「8Kならではの高精細な映像を来場者の方々にご体感いただいた際、『ものすごく立体的に見える』、『リアリティが高くまるで本物のようだ』など、大変嬉しいご感想をいただくことができました。まさに、我々がずっと目指してきた“実物感を映像で表現する”ことが伝わった瞬間であり、「AX1シリーズ」を認めていただけたことは大変光栄でした。AX1シリーズは将来を見据えて次世代のHDMI端子にも対応する計画をしているなど、永く安心してご使用いただける設計ですので、今後も皆さまのご期待に応えていける製品であると思います。」(上杉氏)

今放送されているプレミアムな8K番組を、安心のアフターフォローも備えた8Kチューナー内蔵テレビ「AX1シリーズ」、音響面でも魅力を引き立てるサウンドバー「8A-C31AX1」、8K録画の必需品であるUSBハードディスク「8R-C80A1」による“8Kワールド”でぜひ体感してほしいです。

  • IT・エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC 2018 JAPAN」のシャープブースにて初披露された8Kチューナー内蔵テレビ「AX1シリーズ」。当日は、いち早く8Kの映像を体験できるということで、数多くの来場者を集めていました。