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レビュー

  • 動画視聴の画質&音質でスマホを見極める!?
    厳選モデルを徹底レビュー PART2
    「スタンダードクラス(10万円未満)」

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2020年10月14日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

10万円未満のスマホ6機種をレビュー

スマートフォンの動画再生クオリティチェック企画、PART2は「スタンダードクラス」として本体価格が10万円未満のスマホをレビューします。今回も、スマホの主要ブランドから注目度の高い6モデルに絞って、画質と音質をチェックしました。
スタンダードクラスには、高級機から多数の機能を継承し、コストパフォーマンスが高いアイテムが揃っています。それは高画質/高音質技術においても同様で、各社の代表的なテクノロジーが搭載されていて、それぞれにオーディオビジュアル面での性能、画づくりや音づくりの個性が異なります。この価格帯では、どのモデルの画質と音質が優れているのか、動画配信サービスの視聴比較と測定を併せて検証しているので、ぜひお楽しみください!

  • 「スタンダードクラス(10万円未満)」では、APPLE、GOOGLE、MOTOROLA、OPPO、SONY、XIAOMIのハイコスパモデルをチェック。YouTubeの4K/HDRのビデオコンテンツや、NetflixやAmazon Prime Video、Gyaoなど主要の動画配信サービスから、映画・ドラマ、音楽ライブなどの映像作品まで視聴して、動画再生クオリティをレビューしました。

APPLE「iPhone SE」

  • APPLE
    「iPhone SE」

4.7インチ、1334×750ピクセル(約100万画素)のIPS液晶パネルを搭載しています。HDR再生はHDR10に加えDolby Visionにも対応するなど、今回厳選した6モデルの中でも高機能といえます。色温度の設定機能はありませんが、「Night Shift」を利用すると暖色寄りに調整することは可能です。今回は、照明を暖色で暗く整え、センサーで周囲の光環境を測定し、色の見え方を適正化する「True Tone」はオフで検証しました。

  • iPhoneで設定できる映像調整項目はとてもシンプルで、環境光の状況に最適な色再現に自動調整する「Treu Tone」や設定時間によってディスプレイの色を自動的に暖色に変更する「Night Shift」がメインの調整項目だが、今回の検証ではパネル性能をチェックするためどちらもオフに設定しました。

有機ELに引けを取らない色再現

IPS液晶パネルながら、黒の輝度が0.34cd/㎡、白の輝度が586.4cd/㎡で、コントラスト比は約1700:1と高水準。映像の印象としても、コントラストが高くかつ黒が沈んで落ち着きを感じ、また、視野角が広く見た目にもナチュラル。映画『ジョーカー』は、暗いシーンで暗部に僅かな青味を感じるものの、有機ELに大きく引けを取らない印象。画面サイズが小さいことから、臨場感や没入感を得るのは難しいですが、色再現は測定結果と符合してナチュラルで映画の雰囲気も充分に感じられるでしょう。サウンドは芯が通っていて明瞭で耳に届き易く、その分迫力も上々。Shawn Mendesの『If I can’t Have You』は快活で広がりのあるステレオ音声が楽しめます。コンパクトボディーながら大健闘しています。

  • 最大画面輝度が586cd/㎡と明るく、今回比較した6モデルの中で最高でした。色温度はD65に照らすとやや高めで、iPhone 11 Proと異なる部分ですが、暗部から明部までバラつきが少なく、きちんと調整されている様子から、何らかの意図があると考えられます。色の再現精度も、Δ値が平均で1.4程度と優秀でした。
  • 「iPhone SE」の音質・画質傾向

GOOGLE「Google Pixel 4」

  • GOOGLE
    「Google Pixel 4」

5.7インチ、2400×1080ピクセル(約260万画素)の有機ELパネルを搭載しています。スペックや映像エンジンなどは特にアピールしていませんが、ディスプレイ部分は平面でインカメラは画面外にあり、小画面ながらしっかりとスクリーンを確保するなど、表示装置としてのこだわりが感じられます。スピーカーはステレオで、BluetoothはaptX HDおよびLDACといったハイレゾ級ワイヤレスのコーデックにも対応しています。

  • 画面の調整は「ディスプレイ」から設定でき、明るさの自動調整を行う「アンビエントEQ」はオフに、「カラー」の設定項目ではブーストやアダプティブなどある中からナチュラルを選択してクオリティチェックを行いました。

シャープな音像とボーカル表現が秀逸なサウンド

有機ELパネルを搭載しており、優れた色域性能も合わせて、この価格帯として十分なレベルにある高画質。小型画面なので凝縮感から解像度も高く感じ、総じて「美しい」と感じる画質です。ただし、有機ELパネルながら、斜めから見ると少し輝度低下が見られ、色味の大きな変化こそ感じませんが、映画『ジョーカー』は、トーンが少し明るめで粒状ノイズが目立ちやすい印象でした。YouTube『Bulgaria』は1080pながらHDR再生可能。輝度の高さで映像に力があり、ピュアで自然な色再現にも好感を持ちました。映画の雰囲気にはあまり向かず、中間調が見やすく、モバイルディスプレイとしては扱いやすそうです。特筆すべきは音質のよさ。Shawn Mendesの『If I can’t Have You』は、音像がシャープでボーカルに存在感が秀逸。また、音場が驚くほどワイドでステージの雰囲気が豊かな様子は、ハイグレードモデルをも凌ぐ出来栄えです。

  • 今回比較した6モデルの中では、測定結果は最も好成績でした。色温度はD65狙いで、明るさ100%時に少し青に寄りますが、グレースケールは暗部から明部まで整いガンマも2.2に高精度に準拠。色再現もRGBCMY全てのポイントでΔ1程度に収まるなど忠実。最大輝度も484.6cd/㎡と高水準で、総じて、ハイグレードモデルとも競えるレベルであることが分かりました。
  • 「Google Pixel 4」の音質・画質傾向

MOTOROLA「moto g8 plus」

  • MOTOROLA
    「moto g8 plus」

6.3インチ、アスペクト比19:9、2280×1080ピクセル(約246万画素)、画素密度400ppiのIPS液晶パネルを搭載しています。インカメラはUノッチと呼ぶ手法で画面内に収められ、本体面積に対し画面が占める割合が大きく、コンパクトボディで大画面を実現しているのが特徴です。スピーカーシステムはステレオでドルビーオーディオにも対応し、このクラスのモデルとしては、サウンド体験も期待できる仕様です。

  • 「ディスプレイ」項目にある、画面の自動明るさ調整に関連する機能である「明るさの自動調整」と「ナイトディスプレイ」をオフに、「カラー」は自然を選択しました。

輝度が高く色乗りも適正でパワフル

液晶パネルを採用しているため、黒の浮きや視野角によるコントラストの低下、画面周辺部の輝度ムラが見られます。映画『ジョーカー』は、暗いシーンが多いため、全編を通じて暗部の階調不足や色純度の低下が目立ってしまいます。黒浮きに青味が乗らないので不快さはありませんが、映画鑑賞にはもう一歩という印象です。ただし、液晶の強みが発揮されるコンテンツもあります。YouTube『Bulgaria』の映像は平均輝度の高いシーンが多く、画面全体が100%の明るさに達しても輝度落ちせず、液晶の強みを感じさせてくれました。色乗りも適正で精細度も高く、パワフルかつ見映えするルックで鑑賞に値します。サウンドは、映画で厚みが不足する感が否めず、Shawn Mendesの『If I can’t Have You』はボーカルが薄く硬い印象ながら、ステレオスピーカーで一定の広がり感と量感を確保できています。

  • グレースケールのグラフは乱れているように見えますが、緑方向へのブレはなく、色温度を高く設定した画作りと考えて良いでしょう。黒輝度が0.43cd/㎡と浮き気味なのが気になりますが、最大輝度は431/㎡でコントラスト比は1000:1を確保。色再現はCとMが基準点を外れていますが、高い色温度に引っ張られているのが主な理由です。
  • 「moto g8 plus」の音質・画質傾向

OPPO「Reno3 A」

  • OPPO
    「Reno3 A」

6.44インチ、2400×1080ピクセル(約260万画素)の有機ELパネルを搭載しています。有機ELに加え、今回比較する6モデルの中では最も画面の面積が広いのも、映像視聴を目的とした用途では特長といえるでしょう。ほか、YouTube、Netflix、Amazonプライム・ビデオといった人気サービスをアプリで難なく視聴できるのもポイントです。フラグシップモデル「Find X2 Pro」のように、第三者の認証は謳っていませんが、その実力は気になるところです。

  • 画面設定は、「ディスプレイと輝度」から調整できます。「明るさの自動調整」の機能をオフに、「画面色温度」をデフォルト、「画面色モード」を穏やかに設定してクオリティチェックを行いました。

精細感が抜群に高くコントラストも優秀

有機ELパネルによる黒の引き締まり、ピーク輝度の高さと相まって、ダイナミックで艶やかな高画質です。映画『ジョーカー』は、暗部の階調表現やノイズ感などにおいてハイグレードモデルに及びませんが、パッと見たルックはハイエンドモデル以上に感じることも。場面によって、僅かに色がくどい、あるいは薄いなど、バラつく傾向があるものの、この価格帯の製品としては良くコントロールされていて優秀です。測定では赤色が基準に対して少し外れていますが、彩度が高く明度を抑える方向で、深みを感じさせる色調。画作り上の意図かもしれません。YouTube『Bulgaria』は、比較した6モデル中、精細感が抜群に高く感じ、これはコントラストの高さが影響している模様。サウンドはモノラルながらエネルギッシュでShawn Mendesはライブ感が上々でした。

  • 有機ELで最大輝度は511cd/㎡をマーク。高コントラストが期待できます。色温度が高めで、輝度60%からR成分の不足、また、ガンマが深く中間調が暗めに見える傾向があるなど、グレースケールは調整の余地がありますが、色再現の忠実さは今回測定した6モデルの中で次点クラス。トータルでまずまず良好な性能と言えます。
  • 「Reno3 A」の音質・画質傾向

SONY「Xperia 10 Ⅱ」

  • SONY
    「Xperia 10 Ⅱ」

フラグシップモデル「Xperia 1 Ⅱ」と同じくシネマスコープ21:9画角のウルトラワイド画面が特長です。パネルは6.0インチ、解像度は公称Full HD+で、推定2520×1080ピクセル(約272万画素)クラス。Xperiaのミドルクラスモデルとしては初めて有機ELパネルを採用したのもトピックです。ほか、ソニーがブラビアで培った映像技術を活かした「トリルミナス ディスプレイ for mobile」を謳い、色再現の繊細さと豊かさをアピールしています。

  • 設定項目「画質設定」は、オリジナルモードを選択。ホワイトバランスは、4つの項目がある中から中間色を選択して視聴を実施しました。

色純度が高く自然な色彩感を演出

グレースケール測定で見られる暗部の乱れと直接関係はなさそうですが、輝度が5%以下程度の非常に暗い領域で階調潰れがあります。映画『ジョーカー』の暗いシーン、たとえば薄暗い室内でさらに影になる後ろ姿などは、情報が欠落して平面状態に。大部分のシーンでは見過ごしてしまうレベルで、実用上では大きな問題はなさそうですが、今後、ファームウェアのアップデートなど、何らかの改善に期待です。YouTube『Bulgaria』はSDR再生ながら、黒の引き締まりで色純度が高く映える画作り。鮮やかながらくどく感じさせずナチュラルな美しさは、Xperia 1 Ⅱに近い印象です。音質ですが、本体スピーカーはモノラルで、細いスリットから音が出る構造であるため、量感はこじんまりしているものの、歪感が少ないのは流石。充実したBluetooth接続や有線イヤホン端子の活用もご検討を。

  • 今回の測定条件では、最大輝度は361cd/㎡と控えめでした。原理上、色純度を高めると輝度面で不利になり、広色域との兼ね合いかもしれません。グレースケールは輝度が5%~10%付近で、GとRの落ち込みや乱れが気になります。色の忠実度は今回比較したモデルの中では凡庸ですが、テレビ製品と比べると高精度です。
  • 「Xperia 10 Ⅱ」の音質・画質傾向

XIAOMI「RedMi Note 9S」

  • XIAOMI
    「RedMi Note 9S」

6.67インチ、2400×1080ピクセル(約260万画素)の液晶パネルを搭載しています。スクリーン面内にインカメラ用の穴を設け、本体に対し画面が91%と大面積を占めているのが特長です。ディスプレイ関連のスペックとしてはコントラスト比1500:1を謳い、NTSC:84%(typ)という指標を掲示するのみで、映像エンジンなどについては特に訴求していません。中国メーカーは共通してディスプレイに関するアピールが少なく、検証で明らかにしたいと思います。

  • 「ディスプレイ」の中にある、「明るさのレベル」の自動調整機能をオフに、「配色」の「色温度」をデフォルト、「色」を標準に設定項目を調整しています。

精度が良好ですっきりと見やすい傾向

液晶パネルは測定上黒の輝度が低く抑えられているものの、視野角性能が限定的で、実際の視聴では黒が浮いて見えがちです。映画『ジョーカー』は、暗いシーンで暗部階調が乏しく、色も薄まってしまうのが気になります。良質な映画映像を堪能するには、もう一段の実効コントラストがほしいところです。もっとも、測定結果通り精度も良好で見た目にもナチュラルなので、スッキリして見やすいともいえます。YouTube『Bulgaria』は、明るいシーンが多く、こうした映像では暗部の浮きは気にならず、明るくパワフルな画調で好感を持ちました。色再現もナチュラルで、自然の美しさを楽しむことができました。Shawn Mendesの『If I can’t Have You』は、音はゴーとこもる感じが気になるものの、ステレオスピーカーで量感はしっかりと確保しています。

  • 黒の輝度はiPhoneSEと同等レベルに低く抑えられているものの、白の輝度が約430/㎡でコントラスト比は約1300:1。色温度はD65よりも少し高めながら大きな乱れはなく、色再現の忠実性も良好。今回測定した6モデルの中では次点クラスで価格相応ですが、一般的な液晶テレビ製品と比較すると高精度といえるレベルです。
  • 「RedMi Note 9S」の音質・画質傾向

フルHDの利点と上位機譲りの画作りを兼備

今回検証した6モデルの解像度は1080pのフルHD相当ですが、コンテンツはまだまだフルHDが主流ですので、解像度の点で3K~4K相当のハイグレードモデルに大きく劣る印象はありませんでした。むしろ、画素数が少なければ映像の明るさや消費電力の点で有利になるのも事実です。
測定結果を分析すると、Google Pixel4が抜群の好成績でした。実際、動画視聴でも誇張感のないナチュラルな表現が好印象で、制作者の意図した映像をストレートに楽しみたいなら最もお勧めできます。また、音質のよさや広がり感も素晴らしく、手の平に乗るAV機器として大変お勧めできます。次点はiPhone SE。液晶パネルながら視野角も含めて黒浮きが目立たず、測定結果と符合して映像は明るく基準に忠実でナチュラルな美しさが魅力です。もう一つの次点がOPPO Reno3A。iPhoneSEと比べると測定結果は一歩譲りますが、有機ELパネルで黒が引き締まり、ピュアな発色には惚れ惚れするほどです。用途や予算に応じて、ピッタリの1台を見つけてください。

  • 制作者の意図するナチュラルな印象の画作りや、音質の良さや広がりを小さい筐体で表現するGOOGLE「Google Pixel 4」。また、上位機種でも評価の高かったAPPLEから、液晶でありながら基準に忠実でナチュラルな色表現の「iPhone SE」。有機ELを採用したことで発色のよさを実現したOPPO「Reno3 A」も、低価格帯ながら高画質でオススメです。

SPEC

APPLE「iPhone SE
●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:4.7型 ●画素数:1334×750 ●カメラ:標準 1200万画素、インカメラ 700万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、MP3、リニアPCM、ALAC、FLAC、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス ●外形寸法:67.3W×138.4H×7.3Dmm ●質量:148g

GOOGLE「Google Pixel 4
●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:5.7型 ●画素数:2400 x 1080 ●カメラ:標準 1220万画素、望遠 1600万画素、インカメラ 800万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、aptX、aptX HD、LDAC、MP3、WAV ●外形寸法:68.8W×147.1H×8.2Dmm ●質量:162g

MOTOROLA「moto g8 plus
●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:6.3型 ●画素数:2280×1080 ●内部メモリー:64GB ●RAM:4GB ●カメラ:標準 4800万画素、動画カメラ 1600万画素、インカメラ 2500万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、SBC、MP3、リニアPCM、ALAC、FLAC ●外形寸法:75.8W×158.4H×8.27Dmm ●質量:188g

OPPO「Reno3 A
●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:6.44型 ●画素数:2400×1080 ●カメラ:超広角 800万画素、標準 4800万画素、モノクロ 200万画素、ポートレート 200万画素、インカメラ 1600万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、SBC、aptX、aptX HD、LDAC、MP3、WAV、FLAC ●外形寸法:74.1W×160.9H×8.2Dmm ●質量:175g

SONY「Xperia 10 Ⅱ
●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:6.0型(21:9 シネマワイド) ●カメラ:超広角 800万画素、標準 1200万画素、望遠 800万画素、インカメラ 800万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、ABC、aptX、aptX HD、aptX Adaptive、LDAC、MP3、FLAC、ALAC、リニアPCM、DSD ●外形寸法:69W×157H×8.2Dmm ●質量:151g

XIAOMI「RedMi Note 9S
●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:6.67型 ●画素数:2400×1080 ●カメラ:超広角 800万画素、標準 4800万画素、マクロ 500万画素、インカメラ 1600万画素 ●主な対応音声フォーマット:AAC、MP3、WAV、FLAC ●外形寸法:76.68W×165.75H×8.8Dmm ●質量:209g

REFERENCE

今回行った測定の意図、方法、結果の読み方について説明します。測定の基準は、色温度が制作基準のD65、ガンマは2.2、色域はBT.709です。測定結果が基準に近いほど、制作者の意図に忠実な映像(明暗や色味)が表示できることを意味します。但し、ヒトの視覚には明暗や色に対する順応機能が常に働いているため、周囲の光環境(明るさや色温度)が変化すると、映像の見え方は相対的に変化することになります。特にスマホの場合、画面は数インチと非常に小さく、利用場所も刻々と変化するため、こうした順応機能の影響を大きく受けるので考慮が必要です。つまり、制作基準に合致することが絶対ではなく、実使用を考えた画作りも大切という事です。たとえばiPhoneで利用できる「True Tone」機能は、色順応で生じる差異を補正しようとするものです。

測定用パターン(パッチ)は、画面に対し面積が50%を占める設定を適用しました。有機ELディスプレイはこの面積をできる限り小さく、液晶ディスプレイは全画面100%で行うのが定石ですが、今回は画面が小さく、また、有機ELと液晶が混在するため、中間的な50%としました。これにより、有機ELタイプの測定輝度は、仕様最高輝度よりも低く出る傾向がありますのでご留意ください。

グラフ「グレースケール」はD65、ガンマは2.2を基準に、暗部(輝度0%)~明部(輝度100%)を5%ステップ(21ポイント)で測定した結果です。水平のセンターラインに沿ってフラットなほど、基準に近いと判断できます。B(青)のグラフが上振れしているモデルが散見されますが、これはディスプレイの色温度設定が高い場合の特徴で、乱高下がない限り異常ではありません。チャート「色域」の全体(馬蹄形)は、ヒトが見ることのできる色の範囲で、その中の白い三角形がBT.709の再現範囲を示しています。この三角の頂点に当たるRGBとそれぞれの中間のCMYの各四角枠が測定基準で、プロットされた丸印が測定結果です。各四角枠の中心に丸印が近いほど、色再現が制作基準に近いと判断できます。

ただし、この測定は、それぞれ、明るさ75%時の1点ですので、有力な指標ではあるものの、全ての色が正確に表示されるか否かを判断できるものではありません。ほか、色温度が高い場合、C(シアン)とM(マゼンタ)の2点は、B(青)側にシフトするのは正しく、基準枠に合致していないから「NG」という訳ではありませんので、ご留意ください。

  • ソフトウェア
    CALMAN
    「CalMAN Studio -Software Only-」
    ソフトウェア&技術提供 EDIPIT
  • スマホにアプリCALMAN「MobileForge for CalMAN」をインストールし、スマホ画面に測定パターンを表示、その画面をCA-VP410で撮影しています。

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